漢字の「切」。
小学校2年で習う簡単な漢字なのですが…。
「七」と「刀」の組み合わせの中で、「七」の書き方が問題になっているようです。
それは、「七」の最後を、「①曲げてとめる」「②曲げてからはねる」「③曲げずに、『レ』のようにはねる」といった3通りの筆運びのうち、どれが正解なのかといったもの…。
一番上が「①曲げてとめる」、その下が「②曲げてからはねる」、一番下が「③曲げずに、『レ』のようにはねる」といった筆運びをしています。
この中で、どれが正解なのか??
よく使う漢字ですので、誤字のまま使い続けるわけにはいきません!
ということで、国はどういった筆運びを推奨しているのか、徹底的に調べてみました。
本記事では、「切」の漢字は「はねる」のか?正しい「切」の筆運びを根拠も含めわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「切」の漢字、はねるの?正しい筆運びは?
最初に、正しい「切」の筆運びを端的にお伝えします。
「切」の漢字は、「①曲げてとめる」「②曲げてからはねる」「③曲げずに、『レ』のようにはねる」これら全て正解。
つまり、どういった筆運びをしても正しい漢字ということ。
正しい根拠については、国が文書で明確に示しています。
行政機関である文化庁が出した文書ですが、その内容については次項で紹介しますね。
実は、①~③の3通りの筆運びは、パソコンなどのフォントでも使い分けされています。
下は「教科書体」の「切」ですが、これは①の「曲げてとめる」。
そして、下の「明朝体」「ゴシック体」は、②の「曲げてからはねる」筆運び。
最後は、③の「曲げずに、『レ』のようにはねる」筆運びをした「切」。
このように、公式に販売されているフォントでも3通りの筆運びがあります。
つまりは、誤字ではないということ。
各字体を紹介しましたが…。
学校の教科書に使われる字体が、その名の通り「教科書体」。
要するに、学校での教育では①の「曲げてとめる」字体がお手本になります。
ただし、こういった筆運び以外は全て「誤字」ということではありませんので、気をつけてくださいね。
2.「切」の漢字に対する国の見解!
前項でも触れましたが、「どういった筆運びをしても間違いではない」という根拠をお伝えしますね。
それは、「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」という、文化庁から平成28年(2016年)2月29日に出された文書です。
4 手書き(筆写)の楷書では、いろいろな書き方があるもの
手書きの楷書においては、以下に挙げるような漢字の構成要素及び漢字の例のように、字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできるものがある。
それらを(1)~(6)に分類して示した。
(5)はねるか、とめるかに関する例漢字の点画の終筆をはねるか、とめるかについて、いろいろな書き表し方があるものとして、以下のような例が挙げられる。
ここに挙げるような点画のはね方、とめ方の違いは、字体の判別の上で問題にならない。
イ 縦に下ろして右に曲げる点画(乚)の終筆を、とめて書くことも、はねて書くこともあるもの
◇ 上記を含め、同様に考えることができる漢字の例
引用元:常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
2つある画像のうち、上の画像では「改」という漢字が例になっています。
「改」の「己」の部分が、まさに「①曲げてとめる」「②曲げてからはねる」「③曲げずに、『レ』のようにはねる」の3通りの筆運びをしていますが、どれも間違いではない旨が説明されていますね。
その下の画像には、「切」も載っています。
それから、Q&A集もありましたので、どうぞ。
Q45
はねるか、とめるか(「改」など)
例えば、「改」という漢字の「己」の最後のように、印刷文字でははねていますが、学校でははねないと教わった漢字があります。
どちらが正しいのでしょうか。
Aどちらで書いても誤りではありません。
手書きの楷書では、とめる書き方が多く見られますが、明朝体では、はねているのが一般的です。
「改」については、「字体についての解説」にも、両方の書き方があることが下記のように例示されています。
伝統的に、手書きの楷書では、明朝体のようにはねる形で書くことは少ないのですが、戦後の教科書にも、次のように、はねる形の例が見られます。
どちらも誤りではありません。
はねるか、とめるかについて、同様に考えられる部分を持った漢字には「役」、「化」、「起」、「空」、「指」、「酒」、「切」、「比」、「陸」などを挙げることができます。
また、「字体についての解説」に示されているとおり、「改」の3画目や「切」の2画目などは、右上方向に折ってぬくように書かれることもあります。
引用元:常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
このQ&Aは、「改」の「己」の部分に対するものですが…。
後半の方で、「切」の2画目も同じ扱いということが書かれています。
要するに、とめても、はねても、「レ」のように書いても間違いではないということ。
まとめ
以上が、正しい「切」の筆運びについてでした。
「切」の漢字は、「①曲げてとめる」「②曲げてからはねる」「③曲げずに、『レ』のようにはねる」これら全て正解。
つまり、どういった筆運びをしても正しい漢字ということ。
手で「切」を書く時は、気にせずに堂々と書いてください。