文章を書くときや話すとき、「なお」「また」「さらに」ってなんとなく使っていませんか?意味は似ているけど、実はそれぞれにハッキリした使い分けと順番があるんです。
特にビジネス文書や公用文では、使い方を間違えると伝えたいことが伝わらなかったり、誤解を招いたりすることも。
この記事では、「なお」「また」「さらに」の意味の違いから、正しい順番、そして公用文での使い方まで、わかりやすく徹底解説します!例文やクイズも交えて、今日から使える実践的な知識が満載です。
目次
Toggle『なお』『また』『さらに』の意味と違いをサクッと解説!
それぞれの言葉がどんな意味を持ち、どんな場面で使うのか。まずは基本的な意味と違いを押さえていきましょう。
『なお』の意味と特徴とは?
「なお」は、すでに述べたことに対して補足や追加の情報を付け加えるときによく使われる言葉です。特に注意点や条件、例外などを伝えるときに便利な表現です。たとえば、「明日は休業です。なお、電話でのお問い合わせには対応しております。」というように、最初の情報に対して補足的な内容を自然に繋げる働きがあります。
また、「なお」は公用文やビジネス文書でも非常に多用されます。文体としても丁寧でかたく見えるため、公式な資料や説明書、役所の通知文などでも見かけることが多いのが特徴です。
「なお」の持つ印象としては、「すこしトーンを落とした丁寧な補足」といった感じです。情報の優先順位としては、主文に続く補足という位置づけなので、強調よりも整合性や説明の役割が強いといえます。
言い換えると、「念のため伝えておきます」「ちなみに」といったニュアンスに近く、相手にとって重要かもしれない情報をさりげなく伝えたいときに使うのがぴったりの表現です。話し言葉ではややフォーマルすぎる場面もあるので、使う場面には少し注意が必要です。
『また』の意味と特徴とは?
「また」は、同じ種類の情報を並べて伝えたいときに使われる言葉です。英語でいう「also」や「and」的な役割を持ちます。たとえば、「この商品は高性能です。また、使いやすさにも優れています。」という文章では、2つのメリットを並列的に紹介しています。
このように「また」は、文章を論理的に並列させたり、同等レベルの情報を追加する際に役立ちます。使い方としては非常にシンプルで、ビジネス文書から日常会話まで幅広く使える万能型の接続語といえるでしょう。
特に公用文や説明文では、「第一に〜、また、第二に〜」のように情報を整然と並べるためによく使用されます。論理的に物事を説明したいとき、また読み手に「等しい重要度の情報です」と伝えたいときに効果的です。
注意点として、「また」は話し言葉ではやや硬めの印象になる場合があります。特に若年層の会話などでは「それに」「あと」などに置き換えられることもあります。ただし、公的な文章や説明文では正確性が求められるため、「また」が安心して使える言葉です。
『さらに』の意味と特徴とは?
「さらに」は、前の情報をより強く補強したり、強調したりするときに使う言葉です。たとえば、「この商品は安くて高性能です。さらに、保証もついています。」のように、どんどん内容を“盛り上げていく”イメージです。
「また」と似たように追加の情報を加える言葉ですが、「さらに」は情報の価値や重要度が増していくときに使います。感覚的には「レベルアップさせる言葉」です。
そのため、文章の流れとして「さらに」は後半や締めくくりに近い部分で使われることが多くなります。強調したいポイントをより印象付けたいときには効果的で、キャッチコピーや営業トークなどでもよく使われます。
「さらに」は話し言葉でも書き言葉でも使える柔軟性を持っていますが、使いすぎると少し大げさに聞こえる可能性もあるため、文脈に応じた適量を意識しましょう。
3語のニュアンスの違いを簡単にまとめると?
接続語 | 主な意味 | 主な役割 | 印象 | 使用シーン |
---|---|---|---|---|
なお | 補足・注意 | 補足情報を加える | 丁寧・静か | 公用文・ビジネス文 |
また | 並列追加 | 同等の情報を追加 | 論理的・中立 | 公用文・説明文 |
さらに | 強調追加 | より強調した内容 | 強め・前向き | PR・販売・強調したい文脈 |
3つの言葉はいずれも「追加」の役割を持ちますが、その「追加」の種類が違うということがポイントです。補足なのか、同列なのか、強調なのか。それによって使うべき接続語が変わってきます。
文章内での基本的な「順番」の考え方
「なお」「また」「さらに」を文章内で並べるときの基本的な順番としては、
「また → さらに → なお」
という順序が自然です。
この順番には理由があります。まず「また」で同じレベルの情報を追加し、その次に「さらに」で話を盛り上げ、最後に「なお」で補足情報や注意点を落ち着いたトーンで伝える流れが、読み手にとって最も分かりやすい構造になるからです。
例えば:
このサービスは低価格です。また、導入も簡単です。さらに、サポート体制も万全です。なお、一部の機能はオプション扱いとなります。
このような順番で使うことで、文章に抑揚と論理性が生まれ、説得力が増します。特にプレゼンや営業資料、公式な説明文ではこの順序を意識すると、読者にスムーズに伝わります。
実例で学ぶ!「なお」「また」「さらに」の自然な使い分け方
実際の文章や会話の中では、どう使い分ければ自然に聞こえるのでしょうか?シーン別に詳しく見ていきます。
カジュアル会話での使い分けのコツ
日常の会話では、「なお」「また」「さらに」はそれほど頻繁に登場するわけではありませんが、使い方のニュアンスを知っておくと、話に説得力や丁寧さを加えることができます。とはいえ、少し硬めの印象を持つ言葉もあるため、使う場面や相手に合わせた表現が大切です。
たとえば、友達との会話では、「また」はとても自然に使うことができます。例としては、「この映画すごく面白かった!また、音楽も良かったよ」といった具合です。この場合、「また」は単純に“追加の情報”を伝える接続語として働いています。
一方で、「さらに」は少し“盛る”感じがあるので、相手にもっと強く印象づけたいときに使います。「このカフェ、居心地いいし、さらにケーキが最高だった!」というように、良いことが重なっていることを強調したいときにピッタリです。
「なお」は日常会話だとややフォーマルに聞こえるため、注意が必要です。たとえば、「なお、明日は提出日です」などと使うと、先生や上司のような立場を感じさせます。友達同士の会話では少し距離を感じさせることもあるため、「ちなみに」「そういえば」などに言い換えるほうが自然な場合もあります。
日常会話における使い分けのポイントをまとめると:
-
「また」=自然で使いやすい。追加情報を並べるときに。
-
「さらに」=テンション高め。良いことを強調したいときに。
-
「なお」=フォーマル感あり。丁寧だけど少し堅め。
これらを意識すれば、自然な会話の中でも適切に接続語を使い分けることができます。
ビジネス文書・公用文における使い分け
ビジネス文書や公用文では、「なお」「また」「さらに」は非常に重要な接続語です。理由は、論理的で丁寧な文書を作成するためには、それぞれの言葉が持つ役割を理解し、正しく使い分ける必要があるからです。
まず、「また」は最も使用頻度が高い接続語です。ビジネスメールや報告書では、「この件に関しては了承済みです。また、関係部署にも共有済みです。」のように、同じ重要度の内容を並べて伝える場合に使われます。
次に「さらに」は、強調や改善点、利点などを付け加えるときに有効です。「このプロジェクトではコスト削減を実現しました。さらに、納期短縮にも成功しています。」のように、良い点を次々とアピールする際に使われます。
一方「なお」は、補足説明や注意事項を伝えるときに重宝されます。「なお、本件についてご不明点がある場合はご連絡ください。」というように、主文から外れるけれど、必要な情報を穏やかに伝える働きをします。
公用文でもこの使い分けは基本的に同じです。官公庁の文書などでは、以下のような順番で使われることが多く見られます。
-
主文:基本の伝えたい内容
-
また:関連する他の内容
-
さらに:加えて強調したい内容
-
なお:補足・例外・注意点など
この順序を守ることで、公用文としての形式が整い、読みやすさが向上します。特に「なお」は公用文の中で非常に多用される表現なので、文例に触れて慣れておくと安心です。
説明文・報告書での使い方の違い
説明文や報告書では、読者に正確で論理的に情報を伝えることが求められます。そのため、「なお」「また」「さらに」の使い分けは極めて重要です。正しい順序や役割を理解して使わなければ、読みにくい文章になってしまいます。
「また」は情報を列挙するときの基本接続語です。内容に優先順位がなく、等価の情報を並べる場合に使います。「製品Aは高性能で人気があります。また、コストパフォーマンスにも優れています。」というように、複数の利点を同じレベルで説明するのに最適です。
「さらに」は、情報のインパクトを増したいときに使います。「また」の次に来ることが多く、情報の“深掘り”や“強化”を意識するとよいでしょう。例:「また、操作も簡単です。さらに、省エネ性能も備えています。」
そして「なお」は、本文の補足や例外、注意事項を伝えるために使います。たとえば、「なお、本製品は一部店舗では取り扱っておりません。」というように、文全体の補完や、条件の説明に活用されます。
報告書などでは以下のような文章構成が理想です。
今回の研修は予定通り実施されました。
また、全参加者がアンケートに回答しました。
さらに、満足度は95%を超えています。
なお、来年度は別会場での開催が予定されています。
このように順番と使い方を意識することで、伝えたい情報をより明確に、論理的に伝えることができます。
SNSやブログでの自然な印象の演出
SNSやブログでは、読者の目を引くようなリズム感や感情の伝わり方が大切になります。その中で「なお」「また」「さらに」を使うと、文章がかたくなりすぎてしまうこともあるため、選び方にコツがあります。
まず、「また」はブログ記事の中でも特に使いやすい接続語です。たとえば、「このアプリは無料です。また、登録もとても簡単です。」のように、特徴や利点を並列で紹介したいときに便利です。
「さらに」は、インパクトのある表現が求められる場面にぴったりです。「このラーメン、味もボリュームも最高!さらに、替え玉無料は嬉しすぎる!」のように、読者の興味を引きつけながら情報を盛り上げることができます。
一方「なお」は、読み手に注意してもらいたい情報や条件を伝えるときに使うと効果的です。たとえば、「なお、イベントは雨天中止となります。」のように、知っておくべき注意点を最後に付け加えるイメージです。
SNSやブログではあまり形式ばらず、リズムよく、わかりやすく伝えることが大切です。「なお」はやや堅めなので、内容によっては「ちなみに」などに言い換えても良いでしょう。
間違いやすい使い方の例とその修正ポイント
3つの言葉は似たように見えても、間違った文脈で使うと違和感が生じたり、読み手に正しく伝わらないことがあります。ここではよくある誤用例を挙げながら、正しい使い方をチェックしましょう。
誤用例1:
「このカメラは軽量です。なお、防水機能もあります。」
→ 修正案: 「このカメラは軽量です。また、防水機能もあります。」
※「なお」は補足情報なので、並列の利点を挙げるには「また」が適切です。
誤用例2:
「このソフトは安いです。また、高機能です。なお、サポートも完璧です。」
→ 修正案: 「このソフトは安いです。また、高機能です。さらに、サポートも完璧です。」
※「なお」ではなく、さらに内容が魅力的になるので「さらに」が自然です。
誤用例3:
「社員全員が参加しました。さらに、時間通りに終了しました。」
→ 修正案: 「社員全員が参加しました。なお、時間通りに終了しました。」
※終了時間は“付加情報”なので「なお」が適切。
こうした細かい使い方の違いを意識するだけで、文章の印象や伝わり方が格段に向上します。
「なお・また・さらに」の順番ルールを徹底解説!
これらの言葉をどう並べると読み手に伝わりやすいか?「順番」に注目して詳しく解説していきます。
順番に意味はある?実例で検証
「なお」「また」「さらに」はいずれも情報を追加する接続語ですが、実は順番によって伝わり方や印象が大きく変わります。では、この3語に「正しい順番」はあるのでしょうか?実は、明確な文法ルールがあるわけではありませんが、読み手にとって自然で理解しやすい順序があります。
基本的には次の順番が読みやすいとされています:
①また → ②さらに → ③なお
この順番の理由は、それぞれの接続語の役割にあります。
-
「また」は、最初に主文を受けて同等の情報を追加する役目。
-
「さらに」は、「また」で挙げた情報に強調・上乗せする形で続く。
-
「なお」は、それら全体に対する補足や注意点を最後に伝える。
以下の例文で見てみましょう。
この製品は軽量です。また、デザインも優れています。さらに、価格もお手頃です。なお、一部のカラーは数量限定となります。
このように並べることで、読み手にとって「追加→強調→補足」という論理的な流れが自然に理解できます。
順番を入れ替えるとどうなるでしょうか。
この製品は軽量です。なお、一部のカラーは数量限定となります。さらに、価格もお手頃です。
この文は意味が通じなくはないものの、補足的な情報を先に出してしまうことで、全体のリズムや説得力が弱くなります。
したがって、「また→さらに→なお」の順で使うことが、自然で分かりやすい文章構成につながります。
公用文で推奨される表現の順序とは
公用文においても、「なお」「また」「さらに」の順番は重要です。なぜなら、公文書では情報の階層や関係性がはっきりと伝わる構成が求められるからです。
たとえば、行政機関の文書では以下のような順序が典型です。
-
主文(最も伝えたい内容)
-
また(関連情報を追加)
-
さらに(強調・詳細を追加)
-
なお(補足や例外)
この順番は、法令や通達、通知文書などでもよく見られます。たとえば:
令和◯年度の申請受付を開始します。
また、対象事業者は小規模企業に限ります。
さらに、申請内容によっては追加書類が必要です。
なお、詳細は市のホームページをご確認ください。
このように構成することで、情報の構造が明確になり、読み手に正確な理解を促すことができます。特に「なお」は、読み手にとっての注意点や例外、確認事項を伝えるために、公用文で頻繁に用いられる表現です。
公用文では句読点の使い方や敬語表現などにも厳密なルールがあるため、接続語の順番も「形式の美しさ」や「意味の明確さ」に直結します。
強調の度合いと語順の関係性
接続語の「強調の度合い」にもとづいて語順を考えると、次のように整理できます。
接続語 | 役割 | 強調度 |
---|---|---|
また | 同列の追加 | 弱〜中 |
さらに | 強調した追加 | 強 |
なお | 補足・注意 | 弱 |
つまり、「また」は“横並びの情報”、“さらに”は“盛り上げる情報”、“なお”は“そっと添える補足”というイメージです。これを踏まえると、自然な語順は以下の通りになります:
-
また → さらに → なお
この順番は、読み手の「感情の起伏」や「理解の流れ」に合致するため、非常に読みやすい構造となります。逆にこの順番を崩すと、情報の優先順位が曖昧になってしまい、読者が「どれが一番大事なのか」がわからなくなることも。
たとえば文章に次のような順序をとった場合:
なお、○○です。さらに、××です。
この順では「なお」で一度情報を補足してしまったあとに「さらに」で強調を加える形になるため、盛り下がった後に持ち上げる形になってしまい、読者の理解に違和感が生まれる可能性があります。
接続詞としての論理的な流れの作り方
論理的に情報を整理し、伝えたいことを正確に届けるためには、「接続語の使い方」だけでなく、「順番」も重要な要素です。特に「また」「さらに」「なお」は、段階的に情報を積み上げていく型を作るときに重宝します。
たとえば、企画書や提案書、プレゼン資料では以下のような構成が理想的です。
-
主な結論や特徴を述べる
-
「また」で関連情報を追加(同列の要素)
-
「さらに」で強化する(補強・特長)
-
「なお」で補足する(注意事項や条件)
これにより、文章にリズムと説得力が生まれます。読者が自然に情報の流れをたどることができるため、記憶にも残りやすくなります。
例文:
この施策により業務効率が改善されました。
また、社員満足度の向上にもつながりました。
さらに、コスト削減にも成功しています。
なお、改善結果は来月以降に数値化予定です。
こうした構成は、ビジネスシーンでの文書作成スキルとしても評価されやすく、相手に伝わる資料づくりに直結します。
読み手に伝わりやすい順番のコツ
最後に、読み手に伝わりやすく、スムーズに情報を届けるための順番のコツをまとめます。
-
情報の重みを考える
まず「伝えたいことの優先順位」を意識しましょう。最も重要なのは主文、その後に「また」「さらに」「なお」の順で肉付けをしていくのが基本です。 -
視覚的なリズムを意識する
とくにWeb文章では、読み手がスクロールしながら読むため、リズムや流れが重要です。「また→さらに→なお」の構成は、読みやすく整理された印象を与えます。 -
言い換えで文体を調整
文調が固くなりすぎると感じたら、「なお」は「ちなみに」に、「また」は「それに」に、「さらに」は「しかも」などに変えて調整するのも一つの方法です。
これらを意識すれば、「なお・また・さらに」を上手に使いこなし、読み手に伝わる強い文章が書けるようになります。
文法・接続の視点から見る『なお』『また』『さらに』
文法的にはどう分類されるのか?正しく使うための知識として、品詞や構文の観点から整理します。
品詞・文法的な違いはある?
「なお」「また」「さらに」はすべて副詞に分類されますが、文法的には接続副詞(文と文をつなぐ副詞)として使われています。つまり、それぞれが文章同士を滑らかにつなぎ、意味の流れを補助する役割を持っています。
日本語における接続詞は「そして」「しかし」などの純粋な接続詞と、「なお」「また」「さらに」のような**副詞的に働く接続語(接続副詞)**に分かれます。後者は副詞の性質を持ちつつ、文の頭に置かれて文同士をつなぐ働きをします。
それぞれの文法的な役割を見てみましょう:
語句 | 品詞 | 文法的役割 | 備考 |
---|---|---|---|
なお | 副詞(接続副詞) | 補足・条件・注意を付加する | フォーマルな文脈で使用されやすい |
また | 副詞(接続副詞) | 同等の情報を追加する | 並列や列挙に使われる |
さらに | 副詞(接続副詞) | 強調や段階的な追加をする | インパクトが強い、説得力を増す効果 |
つまり、文法的にはすべて「副詞」でありながら、「接続語」の役割を持つということが特徴です。それぞれが持つ役割を理解することで、文章の論理性や読みやすさがぐっと向上します。
接続詞としての文中ポジション
「なお」「また」「さらに」は主に文頭に置かれることが多いのが特徴です。接続副詞として使う場合、文の最初に持ってくることで、前の文とのつながりを自然に感じさせます。
例えば:
この製品は低価格です。また、操作も簡単です。
新サービスの受付を開始しました。なお、受付期間は来月末までです。
コストを削減しました。さらに、売上も前年の1.5倍を記録しました。
このように、3語とも文の先頭に置くのが一般的です。ただし、必ずしも文頭でなければならないというわけではなく、強調したい語句の前に挿入されることもあります。
例:
この商品は、さらに保証期間が延長されていて、非常にお得です。
ただし、文中に挿入する場合は「読点(、)」の扱いや文のリズムに注意が必要です。不自然に感じさせないためには、文頭に置いたほうが無難なケースが多いです。
修飾内容に制限はあるか?
接続副詞である「なお」「また」「さらに」は、それぞれ文全体や節を修飾する性質を持ちます。したがって、特定の名詞や動詞だけを修飾することはできません。これは形容詞や一般の副詞との大きな違いです。
たとえば、次のような使い方は不自然です:
✕「このさらに本」
✕「なお情報を確認する」
このように、「なお」や「さらに」は名詞に直接かかることはなく、文の中で意味の追加や補足を行う文全体への修飾語として使われます。
つまり、使い方としては:
〇「このアプリは無料です。さらに、高機能です。」
〇「参加は無料です。なお、事前申込みが必要です。」
のように、一つの文の冒頭に置いて、その文全体の意味にかかるというのが正しい使い方です。
複文や並列文での注意点
複文(2つ以上の節からなる文)や並列文(同じ構造の文が並ぶ文)では、接続語の使い方一つで、読みやすさや意味の通りやすさが大きく変わってきます。
たとえば、次のような複文に注目してみましょう。
商品の品質が改善された。また、価格も下がったため、売上が伸びた。
この文では「また」が文の切れ目ごとに使われており、情報が整理されていて非常に読みやすい構造になっています。
しかし、以下のように使うと冗長に感じられることも:
また、商品は改良されました。また、価格も下がりました。また、売上も伸びました。
このように連続して「また」を使うとリズムが単調になり、くどく感じられてしまいます。この場合は、「また」「さらに」「そして」などの表現を適宜入れ替えて、変化をつけることが推奨されます。
接続語の選び方や配置は、文章の「見た目」や「読み心地」にも影響するため、複文・並列文では特に配慮が必要です。
他の接続語(ちなみに・そのうえなど)との比較
「なお」「また」「さらに」に似た接続語としてよく使われるのが「ちなみに」「そのうえ」「しかも」などです。これらは似た意味を持っていますが、微妙なニュアンスや使用場面が異なります。
接続語 | 似ている言葉 | 違いのポイント |
---|---|---|
なお | ちなみに | 「なお」のほうがよりフォーマルで、文書向き |
また | それに | 「また」は公的・説明的、「それに」は口語的で柔らかい |
さらに | そのうえ / しかも | 「さらに」は客観的で丁寧、「しかも」はやや感情的・強調調 |
たとえば、ビジネス文書では:
このサービスはコスト削減に貢献します。また、導入も簡単です。さらに、サポートも充実しています。なお、初期費用は発生しません。
という文の方が自然で丁寧ですが、ブログ記事やSNSでは:
このアプリ、無料で使えるし操作もかんたん!そのうえ、広告なしとか神でしょ!
のような、親しみのある言葉遣いの方が読者に刺さるケースもあります。
つまり、**使い分けのポイントは「読み手の期待や場面に合わせること」**です。接続語一つで文全体の印象が変わるため、読み手に応じて調整する感覚が求められます。
理解を深める!練習問題と使い分けクイズでチェック
知識を定着させるにはアウトプットが一番!ここでは練習問題やクイズ形式で理解度をチェックしていきましょう。
どれを使う?3択クイズでチャレンジ
まずは、接続語の使い分けに挑戦できる3択クイズからスタート!以下の文の空欄に入る適切な言葉を選んでください。
Q1:
この本は読みやすく、内容も充実しています。[ ]、価格も手ごろでお得です。
A. なお
B. また
C. さらに
→ 正解:C. さらに
理由:すでに良い点を挙げたうえで、さらに良い情報を加えているので「さらに」が自然です。
Q2:
このシステムは中小企業向けに開発されました。[ ]、個人利用にも対応しています。
A. また
B. さらに
C. なお
→ 正解:A. また
理由:2つの事実を並列して紹介しているので「また」が適しています。
Q3:
ご来場には予約が必要です。[ ]、駐車場の利用には別途申請が必要です。
A. また
B. なお
C. さらに
→ 正解:B. なお
理由:主文への補足的な注意・条件を伝えているので「なお」が適切です。
このように接続語の選択は、文脈と伝えたい意図によって決まります。クイズ形式で練習すると感覚的に身につきやすくなりますよ!
穴埋め形式で確認しよう
以下の文を読んで、適切な接続語(なお・また・さらに)を入れてみましょう。
例文1:
このアプリは無料で利用できます。[ ]、広告表示も一切ありません。
→ 正解:さらに
→ 解説:最初の利点を強調し、さらに良い点を加えているため。
例文2:
今回のイベントは予定通り実施されます。[ ]、感染症対策も徹底しています。
→ 正解:また
→ 解説:同レベルの事実を並列で伝えているので「また」が自然。
例文3:
予約の受付は本日18時までとなります。[ ]、定員に達し次第終了します。
→ 正解:なお
→ 解説:補足的な注意事項を伝える場合には「なお」が適切です。
穴埋め問題は実践的な練習として非常に効果的です。繰り返すことで自然な言い回しが身につきます。
公用文の中から違和感を探せ!
ここでは実際にありそうな公用文の文例を使って、違和感のある接続語の使い方をチェックしてみましょう。
文例:
本市ではゴミの分別ルールを改定しました。さらに、ごみ袋の色も変更となります。なお、ご意見がある方はメールでお寄せください。
→ 正解:違和感なし。◎
文例:
図書館の開館時間は10時から18時です。なお、新刊書の入荷は毎週金曜日に行われます。また、年末年始は休館となります。
→ 正解:順序にやや違和感あり
→ 改善案:
図書館の開館時間は10時から18時です。また、年末年始は休館となります。なお、新刊書の入荷は毎週金曜日に行われます。
※「なお」は補足に使うので、最後に持ってくるのが自然です。
公用文では接続語の順番が意味の理解に直結します。読み手にストレスを与えない構成を心がけましょう。
順番を入れ替えたらどうなる?
実際の例文で、接続語の順番を入れ替えることでどう変わるか確認してみましょう。
元の文章:
このサービスは料金が安い。また、操作も直感的です。さらに、サポートも丁寧です。なお、一部機能は有料です。
順番を変えた例:
このサービスは料金が安い。なお、一部機能は有料です。さらに、サポートも丁寧です。また、操作も直感的です。
→ 結果:情報の整理ができておらず、読者にとって分かりづらくなってしまいます。
特に「なお」が先に来ることで、文章が“終わった感”を与えてしまい、以後の内容が浮いてしまいます。
教訓: 接続語の順番は文章全体のリズムと説得力を左右します!
模範解答とポイント解説付き
最後に練習問題のポイントを整理しておきます。
シーン | 適切な接続語 | 理由 |
---|---|---|
情報の並列(事実を列挙) | また | 同じレベルの情報を自然に追加 |
良い情報を“盛る”場合 | さらに | 読者の感情を乗せて印象づける |
注意事項・補足を伝える場合 | なお | 脱線的に伝えるが必要な情報 |
覚え方のコツは「また→さらに→なお」の順。
この流れを意識することで、自然で論理的な文章が誰でも書けるようになります。
まとめ:『なお』『また』『さらに』を使いこなして、伝わる日本語を!
「なお」「また」「さらに」はどれも“情報を追加する”働きを持つ接続語ですが、それぞれの意味や使い方には明確な違いがあります。「また」は並列の情報を、「さらに」は強調や上乗せの情報を、そして「なお」は補足や注意点を伝えるために使います。
特にビジネス文書や公用文では、この3つの言葉を意味に合わせて適切な順番で使うことが、論理的で読みやすい文章を作るためにとても重要です。
自然な流れは「また → さらに → なお」。この順番を意識すれば、説得力のある文章が誰でも書けるようになります。また、実際の会話やブログでも、この使い分けを意識することで表現に深みと読みやすさを加えることができます。
文章力は「接続語」で決まるといっても過言ではありません。今回ご紹介した内容をぜひ意識して、よりスマートで伝わる日本語を目指してみてください。