「大きい」と「大きな」。
どちらも同じ意味…と思っていたのですが…。
下の例文をご覧ください。
「自分にとって、これはとても大きな出会いです」
「自分にとって、これはとても大きい出会いです」
「大きな出会い」は自然ですが、なんとなく「大きい出会い」の方に違和感がありませんか??
これはやはり、「大きい」と「大きな」は使い分けのルールがあるのでは?
ということで、この2つの言葉の使い方を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「大きい」と「大きな」の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「大きい」と「大きな」の違いと使い分け!
最初に、「大きい」と「大きな」の違いと使い分けを簡潔にお伝えします。
ただし、「大きい」は形容詞で「大きな」は連体詞であり、意味は同じですが使い方に若干の違いがあります。
「大きい」は「○○が大きい」も「大きい○○」というように名詞の前後に使用可能。
「大きな」は「大きな○○」というように名詞の前だけに使用可能。
そして、最大の特徴は「目に見えないもの」に多く使われるのが「大きな」の方ということ。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「大きい」とは!
「大きい」は、全体の長さや幅、度合いなどが多いという意味。
具体的には、「物体」「程度」「年齢」「規模」「単位」といったものが対象に使われます。
「物体」であれば、「大きい液晶画面」。
「程度」は、「台風の被害が予想以上に大きい」。
「年齢」は、「2歳も大きいのだから」。
「規模」は、「インフルエンザの感染規模が大きい」。
「単位」は、「残念ながらおつりは無理、大きいお金しかない」。
といった具合ですね。
あとは、「度量」にも使います。
「あの人の器は大きい」
「自分は大きい人間になりたい」
といった使い方。
使い方も、名詞の前でも後でも自由に使うことができます。
②「大きな」とは!
「大きな」も、意味は「大きい」と全く同じです。
違いは「大きい」は形容詞であるのに対し「大きな」は連体詞であるということ。
そして、「大きな」に限っては必ず名詞の前に付くということです。
たとえば、前の項の例文を「大きい」から「大きな」に置き換えてみますね。
「大きな液晶画面」
「予想以上に大きな台風の被害」
「2歳も大きな子」
「大きなインフルエンザの感染規模」
「残念ながらおつりは無理、大きなお金しかない」
「あの人は大きな器を持つ」
「自分は大きな人間になりたい」
では、「大きな」の特徴はなにか?ですよね。
それは、「大きな」は「目に見えないもの」に多く使われるということ。
たとえば、ある人が人生を左右するほどの影響力を持った人物と出会ったとします。
さて、この「出会い」を表現する時に、どういった表現が適切でしょうか?
「自分にとって、これはとても大きな出会いです」
といった表現が、一般的でではないでしょうか。
仮に、以下のような表現にした場合。
「自分にとって、これはとても大きい出会いです」
意味が通じないこともないのですが、なんとなく「大きな出会い」と表現した方がズシッときませんか?
その他には。
「大きな愛情を受けて育つ」
「大きな悲しみから立ち直った」
「大きな憎しみ」
「大きな怨み」
「大きな影響力を持つ人物」
「大きな権限を乱用」
「大きな任務を背負う」
こういった目に見えない、抽象的なものに対しては「大きな」の方が多く使われます。
仮に、上の例文を全て「大きい」に置き換えた場合、意味は通じるのですが少し違和感があります。
③「大きい」と「大きな」の違いを整理!
それでは、ここで一度「大きい」と「大きな」の違いを整理します。
「大きい」と「大きな」は、どちらも意味は同じ。
ただし、「大きい」は形容詞で名詞の前後に使うことができます。
そして、「大きな」は連体詞で名詞の前だけに使用可能、名詞の後ろに使うことはできません。
なんといっても、「大きな」の最大の特徴は「抽象的なもの」に多く使われるということ。
2.「大きい」と「大きな」の辞書での意味!
続いて、辞書による「大きい」と「大きな」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「大きい」の辞書での意味!
【大きい】
(形)
①全体の型・長さや事柄の度合いが自分の考えているよりも多い。
㋐面積・体積・長さが多い。「アメリカは日本より―」「―荷物」「背丈が―」
㋑程度などが多い。はなはだしい。「被害が―」
㋒年が上である。大人だ。「僕は君より三つ―」
㋓規模や範囲が広い。「騒ぎが―・くなる」
㋔単位が大である。「―お金しか持っていない」②度量が広い。「人物が―」
③偉ぶっている。おおげさである。「態度が―」「―ことを言う」
④重大である。「―問題」
⦅↔小さい⦆
引用元:旺文社国語辞典
(形)ということは「形容詞」ということ。
「品詞」の違いはわかりますが、「大きな」との違いが何なのかよくわかりませんね。
②「大きな」の辞書での意味!
【大きな】
(連体)
・大きい。「―家」「―声をたてる」「―影響を与える」↔小さな
引用元:旺文社国語辞典
意味が「大きい」…。
「連体詞」であるということしかわかりません。
3.「大きい」と「大きな」の使い方!
次に、「大きい」と「大きな」の使い方を例文で紹介します。
①「大きい」の使い方!
・車内空間が大きい車が好まれる中国ではコンパクトカーの人気は高くはない。
・穴子に負けないほど大きい海老は箸で持ち上げるのがやっと。
・ラグビーなど芝生への影響が大きい競技については利用を断念。
・大きいサイズの専門店ミッドで販売中。
②「大きな」の使い方!
・地震により、設備などに大きな被害はなかった。
・新外国人3選手に大きな期待を寄せた。
・苦楽を共にしてきた側近のまさかの裏切りに大きな衝撃を受けた。
・記念の日に生まれた元気な赤ちゃんを前に家族は大きな喜びに包まれた。
4.「大きい」や「大きな」には似た意味の言葉がたくさんある!
「大きい」や「大きな」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「大きい」と「大きな」の違いと使い分けについてでした。
「大きい」と「大きな」の意味は同じ。
ただし、「大きな」は目に見えない抽象的なものに多く使われる傾向があります。
「大きい」を抽象的なものに使えないということではありませんが、「大きな」の方がよりフィットするということですね。