引っ越しに伴う、挨拶状。
人生のつきものですね。
挨拶状を作成する際に必ずと言っていいほど使う言葉が「移転」です。
この「移転」、前後を入れ替えると「転移」になりますが…。
あれ?「移転」と「転移」は同じ意味なのか??
でも、「転移」は「がんの転移」といった使い方を目にします。
「転移」は病気だけなのか?と思い、調べてみたら意外な事実がわかりました!
ということでこの「移転」と「転移」、いったい何がどう違うのか徹底調査してみましたよ!
本記事では、「移転」と「転移」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「移転」と「転移」の意味の違い!
まずは、「移転」と「転移」の意味の違いを端的にお伝えします。
そして「転移」とは、場所を移すことです。
どちらも「移す」「移る」ことなのですが、違いを一言で表現するならばこういったことです。
では、さらに深く紐解いていきますね。
①「移転」と「転移」の違いのポイント!
「移転」も「転移」も、「移す」「移る」ことですが、何が移るのかというのが違いのポイント。
「移転」で移るものは、主に「住所」になります。
事務所や家などを解体して、別の住所に新築する、これが「移転」ですね。
また、○○アパートの203号室から○○マンションの506号室へ引っ越し、これも「移転」。
一方の「転移」は、「移る」物の対象に定義はありません。
何が移動しても「転移」です。
ですから、引っ越しも「転移」だし、将棋の駒を一マス移動するのも「転移」ということ。
大きな「転移」があり、その意味の中に「移転」が含まれるということです。
②「移転」には別の意味も!
前の項で、「移転」は主に住所の移動することであるといった説明をしました。
ですが、「移転」で移すものはもう一つあります。
「移転」を使う住所以外のものとは「権利」の移動。
たとえば、「特許」などが対象となります。
具体的には、「特許の移転登録申請」といった使い方。
また、「所有権の移転」「移転登記」といった使い方もあります。
③「転移」は医療用語として使われることが多い!
「転移」は、腫瘍の移動など、医療用語として定着している言葉です。
たとえば、「がんが転移しているのが発覚した」といった使い方をします。
この「がんの転移」が、特に多く使われていて報道などでもよく目にしますね。
そういった報道の影響もあり、「転移」とは腫瘍などの移動に使う医療用語であるといった意見も多いです。
確かに医療用語であることは間違いないのですが、医療以外でも全ての物の移動に使う言葉です。
④「移転」と「転移」の違いを整理!
ということで、ここで一度「移転」と「転移」の違いを整理します。
主に住所が移動することが「移転」。
また、権利の移動も「移転」を使います。
そして、全ての物が移動する時に使うのが「転移」。
ですから、住所の移動は「移転」でも「転移」でもよいことになります。
「転移」は、腫瘍の移動など医療用語として使われることが多い言葉です。
2.「移転」と「転移」の辞書での意味!
続いて、辞書による「移転」と「転移」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「移転」の辞書での意味!
【移転】
①(事務所・役所などの)場所・住所を移すこと。引っ越し。「会社を―する」「―届」
②権利を他に移すこと。「―登記」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおり、「住所」と「権利」の移動ですね。
②「転移」の辞書での意味!
【転移】
①場所が移ること。また、場所を移すこと。
②[医]病原体や腫瘍細胞などが体内の他の場所へうつり、そこではじめの病巣と同様の変化を起こすこと。「癌が―する」
引用元:旺文社国語辞典
意味①で「場所が移ること」とありますが、「何が」という定義がありません。
つまり、全ての物が対象となるのです。
意味②は医療用語としての「転移」。
3.「移転」と「転移」の使い方!
次に、「移転」と「転移」の使い方を例文で紹介します。
①「移転」の使い方!
・事務所移転の挨拶状を発送した。
・借金返済が厳しくなってきたことから、実家に移転することにした。
・家族全員で話し合った結果、移転することとした。
・不動産売買では、所有権移転登記が必要。
・会社の合併などでは、商標権の移転手続きが伴う。
②「転移」の使い方!
・会社の更生施設が転移することになった。
・気化熱のように物質が変化する時に発生する熱を転移熱といいます。
・物質が変化する時の沸点や融点などのことを転移点といいます。
・このがんは転移性のものと思われる。
・大腸がんの転移には原因があるのか。
4.「移転」や「転移」には似た意味の言葉がたくさんある!
「移転」や「転移」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「移転」と「転移」の意味の違いと使い分けについてでした。
「移転」は、主に住所と権利を移動すること。
一方の「転移」は、全ての物が移動することです。
大きな「転移」の意味に「移転」が含まれますので、住所の移動は「移転」でも「転移」でも間違いではありません。
「転移」は、腫瘍の移動など医療用語として使われることが多い言葉です。