「訴求」「遡及」「遡求」。
読み方は全て「そきゅう」です。
しかも漢字も似ているし…。
まぎらわしい…。
読みが同じなので、パソコンやスマホで変換すると「どれ?」ってなりますよね…。
ということで、この3つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり「訴求」「遡及」「遡求」は、意味も使う場面も全く違いました!
本記事では、「訴求」「遡及」「遡求」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「訴求」「遡及」「遡求」の意味の違い!
最初に、「訴求」「遡及」「遡求」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「遡及」とは、過去にさかのぼって影響や効力を及ぼすこと。
「遡求」とは、さかのぼって追求すること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「訴求」の意味とは!
「訴求」は、宣伝や広告などによって、買い手の欲求に働きかけること。
つまり、消費者に製品の長所を「訴え」、購入を「求める」ということです。
「訴え」、そして「求める」で、その字のとおり「訴求」。
たとえば、「今まで落ちにくかった油汚れが、あっという間にキレイになります」とか。
それから、「今買えば、もう1本プレゼント!」というのも「訴求」です。
また、「女優の○○さんも愛用しています」といったものも。
このように、消費者が「買いたい!!」という気持ちになるよう、働きかけるのが「訴求」です。
②「遡及」の意味とは!
「遡及」は、過去にさかのぼって影響や効力を及ぼすこと。
「遡及」の「遡」は、「流れにさからってのぼる」という意味があります。
そして、この「遡及」の場合は、何をさかのぼるのかという部分が意味のポイント。
「遡及」は、時間の流れにさからってさかのぼります。
要するに、過去にもどるということ。
そして、「遡及」の「及」は、「およぼす」という意味。
「波及」「普及」といった、およぼすという意味で使われます。
たとえば、「5年前より、毎月のガス料金の請求額に誤りがあり、過大に支払っていたことがわかった」といった場合。
普通は、「これまでの間違いはチャラにして、来月から正しい料金で請求しますね」とはなりませんよね。
通常は、5年前まで過去にさかのぼり、過大に収めた料金を返金してもらいます。
これが、さかのぼって清算する、つまり「遡及清算」ということ。
③「遡求」の意味とは!
「遡求」は、さかのぼって追求すること。
「遡求」の「遡」は、前項でも説明しましたが「流れにさからってのぼる」という意味。
ですが、この「遡求」の場合、さかのぼるのは「時間」ではありません。
「遡求」は、小切手の支払いを拒絶された際に、「誰が支払うのか?」ということで裏書人や振出人などの担保責任者をさかのぼります。
支払う責任がある人たちを、実際に支払ってくれる人まで、次々とさかのぼるということ。
つまり、支払いを「さかのぼって」「求める」で「遡求」です。
ちなみに、「遡求」の意味はさかのぼって追求することとなっていますが、主にこの「小切手の支払い」に関して使われる言葉です。
④「訴求」「遡及」「遡求」の違いを整理!
それでは、ここで一度「訴求」「遡及」「遡求」の違いを整理します。
「この製品は、こんなに凄いよ!!」と、買い手の欲求に働きかけることが「訴求」。
「5年前にさかのぼって精算します!」というように、過去にさかのぼって影響や効力を及ぼすことが「遡及」。
「この小切手は、誰が責任を持って支払ってくれるのか?」と、さかのぼって追求することが「遡求」。
読み方は同じで、しかも漢字も似ていますが、意味は全く違います。
2.「訴求」「遡及」「遡求」の辞書での意味!
続いて、辞書による「訴求」「遡及」「遡求」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「訴求」の辞書での意味!
【訴求】
・(広告などで)買ってもらうように相手に働きかけること。「―効果」「―対象」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですね。
②「遡及」の辞書での意味!
【遡及】
・過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすこと。「―力」「二年前まで―して適用する」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明したとおりの内容です。
③「遡求」の辞書での意味!
【遡求】
①さかのぼって追求すること。
②手形・小切手の支払いがないときなどに、その所持人が、裏書人など流通過程上自己の前者に該当する者に対して代償の支払いを請求すること。償還請求。「―権」
引用元:大辞林 第三版
なぜか、自分の辞書にこの「遡求」が載っていませんでした。
ということで、「大辞林 第三版」の内容です。
内容は説明どおりですね。
3.「訴求」「遡及」「遡求」の使い方!
次に、「訴求」「遡及」「遡求」の使い方を例文で紹介します。
①「訴求」の使い方!
・新製品のタイヤは、低燃費ながら操縦安定性にも優れるタイヤとして訴求する。
・椅子の可動部分が360度動く点の訴求に力を入れ、初年度販売目標は15億円と設定。
・日用品の市場では「クールタイプ」を訴求する商品が増えています。
②「遡及」の使い方!
・本会計基準の適用後は、変更後の会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用します。
・徴収漏れの対象となる皆様に遡及して下水道使用料のお支払いをお願いする。
・音楽教室は、JASRACが徴収を開始する2018年まで遡及して著作権料を支払う必要は?
③「遡求」の使い方!
・手形の場合と異なり、電子記録債権の譲受人は、譲渡人に対して遡求権を有しない。
・裏書人に対する遡求権は、支払期日の翌日から起算して1年めで時効消滅となります。
・満期以後の利息、遡求の通知等のための諸費用を請求することができる。
4.「訴求」「遡及」「遡求」には似た意味の言葉がたくさんある!
「訴求」「遡及」「遡求」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「訴求」「遡及」「遡求」の意味の違いと使い分けについてでした。
「訴求」は、宣伝や広告などによって、買い手の欲求に働きかけること。
「遡及」は、過去にさかのぼって影響や効力を及ぼすこと。
「遡求」は、さかのぼって追求すること。
「訴」は「うったえる」、「遡」は「流れにさからってのぼる」、そして「求」は「求める」、「及」は「およぼす」です。