「返す」と「戻す」。
この違い、まぎらわしいですよね…。
もしかして、違いはないのか??
確かに「お金を返す」といいますし、「お金を戻す」ともいいます…。
ですが、よく考えたら「手の平を返す」といいますが、「手の平を戻す」となると意味が違ってくるような…。
ということは、「返す」と「戻す」には違いがあるということか??
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「返す」と「戻す」には明確な違いがありました!
本記事では、「返す」と「戻す」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「返す」と「戻す」の意味の違い!
最初に、「返す」と「戻す」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
さらに「返す」には、表と裏や上と下を逆にするという意味もあります。
「戻す」とは、もとの状態にすること、また物などをもとの場所・所有者へ移すこと。
ただし「戻す」には、飲食したものを胃から吐き出すという意味もあります。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「返す」の意味とは!
「返す」は、大きく2つの意味があります。
そのうちの1つが、もとの状態にすること、また物などをもとの場所・所有者へ移すこと。
そしてもう1つが、表と裏や上と下を逆にすることです。
ちなみに、「戻す」には表裏・上下を逆にするという意味はありません。
まず1つめの、もとの状態にする、また物などをもとの場所・所有者へ移す意味から説明していきます。
もとの状態にするというのは、「話を白紙に返す」といった使い方をする「返す」。
この使い方は、どちらかといえば「戻す」の方が多く使われますが、「返す」でも間違いではありません。
あとは、もとの場所・所有者へ移すというのは「お金を返す」といった使い方をする「返す」です。
ですが、この使い方は、言い換えれば「もとの状態にする」ということともいえます。
つまり、「もとの状態にする」と「もとの場所・所有者に移す」という意味はほぼ同じといってもよいでしょう。
それから、もう一つの意味である、表と裏や上と下を逆にするという意味を説明します。
たとえば、「手の平を返す」といった使い方をする「返す」。
これは、「戻す」にはない「返す」独自の意味です。
「手の平を戻す」にすると「逆にする」ではなく「もとの状態にする」になりますので、意味が違ってきますよ。
他には、「せんべいを返しながら焼く」「ひっくり返す」「土を返す」といった使い方も。
ちなみに、「土を返す」の場合は厳密には表裏でも上下でもないのですが…。
下にある土を上に、また上にある土を下にするということで、かろうじて上と下を逆にしています。
②「戻す」の意味とは!
「戻す」の意味も、大きく2つあります。
そのうちの1つが、もとの状態にすること、また物などをもとの場所・所有者へ移すこと。
この意味は、「返す」と全く同じです。
ですから、前項の例文の「話を白紙に返す」「お金を返す」の「返す」を「戻す」に置き換えることが可能。
「話を白紙に戻す」「お金を戻す」といったように、違和感はありません。
噂では、「お金を返す」と「お金を戻す」では意味に若干の違いがあるといった主張もあるようですが、基本的には違いはありません。
もう1つの「戻す」の意味として、飲食したものを胃から吐き出すという意味もあります。
「乗り物酔いで、食べ物を戻してしまった…」といった使い方をする「戻す」ですね。
ちなみに、この意味は「返す」にはありません。
③「返す」と「戻す」の違いを整理!
それでは、ここで一度「返す」と「戻す」の違いを整理します。
「返す」と「戻す」はどちらも、もとの状態にすること、また物などをもとの場所・所有者へ移すこと。
この部分は共通の意味です。
ただし、表と裏や上と下を逆にするという意味は「返す」独自のもの。
そして、飲食したものを胃から吐き出すという意味は「戻す」独自のものです。
2.「返す」と「戻す」の辞書での意味!
続いて、辞書による「返す」と「戻す」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「返す」の辞書での意味!
【返す】
①もとの状態にする。「白紙に―」
②物をもとの場所・持ち主にもどす。「本を棚に―」「借金を―」
③相手からの働きかけに対し、こちらからもそれに応じて働きかける。「恩を―」「杯を―」
④裏と表、上と下を逆にする。ひっくりかえす。「軍配を―」「袖を―」
⑤たがやす。土などを掘りおこす。「田を―」
⑥返歌をする。「歌を―」
⑦(動詞の連用形の下について)㋐相手から受けたのと同じ行為を、相手に対して行う。「言い―」「なぐり―」
⑦(動詞の連用形の下について)㋑繰り返してする。反復する。「思い―」「読み―」
引用元:旺文社国語辞典
意味が7つありますが、意味①②と意味④⑤は、説明したとおりの内容です。
他の意味についての説明はしませんでしたが、微妙な違いはああるものの意味①②④⑤とだいたい同じような意味なので省略しました。
ただし、説明しなかった意味の「返す」を、全て「戻す」に置き換えることが可能か?といえばそうではありません。
「返す」が浸透しきっているため、独自の意味といった位置付けと言えるのかもしれません。
②「戻す」の辞書での意味!
【戻す】
①もとの所へ返す。
②もとの状態に返す。「白紙に―」
③飲食したものを胃から吐き出す。嘔吐する。
引用元:旺文社国語辞典
「戻す」については、全て説明どおりですね。
3.「返す」と「戻す」の使い方!
次に、「返す」と「戻す」の使い方を例文で紹介します。
①「返す」の使い方!
・改革の2本柱がともに崩れ、事実上白紙に返すことになった。
・国を相手に裁判を起こす予定の男性が会見を開き、「人生を返してほしい」と訴えた。
・オリンピックの借りはオリンピックで返すと言ってきた。
・市場は5月初頭の高騰をひっくり返す結果になるのではないか。
②「戻す」の使い方!
・退去する際は借りた時の状態に戻す「原状回復費用」が必要となる。
・「裁判をすれば必ずお金を取り戻せる」などと勧誘したとされる。
・突然、胃の内容物を吐き戻してしまった。
・乗り捨てられた乗用車のレンタカーを運転して元の営業所に戻すお仕事。
4.「返す」や「戻す」には似た意味の言葉がたくさんある!
「返す」や「戻す」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「返す」と「戻す」の意味の違いと使い分けについてでした。
もとの状態に「返す」「戻す」、借りた物を「返す」「戻す」、この部分は共通の意味。
ただし「返す」には、表と裏や上と下を逆にするという意味があります。
また「戻す」には、飲食したものを胃から吐き出すという意味があります。