「崩壊」と「崩落」。
似ていて、まぎらわしいですよね…。
地震などで、家屋がこわれた場合は…。
「家屋の崩壊」
「家屋の崩落」
ん…、どっちも正解のような…???
もしかして、一方が間違いなのか?
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「崩壊」と「崩落」を使い分ける際のポイントがありました!
本記事では、「崩壊」と「崩落」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「崩壊」と「崩落」の意味の違い!
最初に、「崩壊」と「崩落」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「崩落」とは、くずれて下に落ちること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「崩壊」の意味とは!
「崩壊」は、くずれてこわれること。
「こわれる」という部分がポイントです。
「崩落」は必ず下に落ちるのですが、「崩壊」はこわれることであり必ず下に落ちるとは限りません。
ですが、地球上には重力がありますので、物体は必ず地面に向かいます。
つまり、物体がこわれた場合には、その多くが下に落ちることになります。
となると、「崩壊」と「崩落」は同じ意味ではないか?と思われるかもしれませんが、微妙な使い分けがされています。
基本的に、家屋など地面に密着している物体については「崩壊」を使うのが一般的。
「地面」といいましたが、正確には物がこわれた場合の最終的な終着点のことです。
要するに、「家屋」は地面に「落下」するというものではありませんよね。
「落下」のイメージがない物については「崩壊」を使いましょう。
それから、「崩壊」は「物体」以外のものにも使います。
たとえば、「信頼関係が崩壊した」といった使い方。
「信頼関係」というものは、当然ですが「物体」ではありませんので落下はしません。
ですから、「信頼関係が崩落した」とはいいませんよ。
②「崩落」の意味とは!
「崩落」は、くずれて下に落ちること。
「下の落ちる」という部分がポイント。
つまり、「落下」ですね。
たとえば、「岩石が崩落する」といった使い方をします。
でも、「岩石」は山肌に密着していますよね?
確かに、前の項で説明した家屋は地面に密着していますし、岩石も山肌に密着しています。
ですが、「岩石」は高い位置の山肌を離れて、確実に下方向に「落下」します。
要するに、斜面の岩石がただこわれてその場に留まった場合は「崩壊」ですが、こわれた上に下方向に落下した場合は「崩落」ということ。
その他にも、「トンネルの天井が崩落する」とか「橋が崩落する」といった使い方をします。
どちらも、こわれた位置と地面(橋の場合は水面)との間に「空間」が存在しますよね。
つまり、その空間をこわれた物体が落下するということです。
③「崩壊」と「崩落」の違いを整理!
それでは、ここで一度「崩壊」と「崩落」の意味の違いを整理します。
くずれてこわれるのが「崩壊」。
くずれて下に落ちるのが「崩落」。
「落下」するイメージのものは「崩落」、「落下」するイメージがないものは「崩壊」といった使い分けです。
2.「崩壊」と「崩落」の辞書での意味!
続いて、辞書による「崩壊」と「崩落」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「崩壊」の辞書での意味!
【崩壊】
①くずれこわれること。「家屋の―」
②⦅物⦆放射性元素が自然に放射線を出して他の元素に変化する現象。壊変。
引用元:旺文社国語辞典
意味②は説明しませんでしたが物理用語です。
意味①は説明どおりですね。
②「崩落」の辞書での意味!
【崩落】
①くずれ落ちること。「岩盤が―する」
②⦅経⦆相場が急に大幅に下がること。「株価の―」
引用元:旺文社国語辞典
意味①は説明したとおりの内容です。
意味②は株価が高い位置から落下するということで、比喩的な使い方の一つですね。
3.「崩壊」と「崩落」の使い方!
最後に、「崩壊」と「崩落」の使い方を例文で紹介します。
①「崩壊」の使い方!
・日本はバブル経済崩壊後の長期景気低迷が続いていた。
・建設中だった7階建てビルが崩壊した事故から一夜明けた23日…。
・信頼関係ゼロ?そして不仲による年内のチーム崩壊を予告。
・トルコ・イスタンブールで6日に発生したアパート崩壊事故で…。
②「崩落」の使い方!
・熊本地震で崩落した国道325号「阿蘇大橋」の架け替え工事。
・50~60mの幅でのり面2段分が崩落しており、復旧は1週間程度要する。
・神奈川県逗子市池子の市道脇の斜面が崩落した。
・集合住宅の擁壁が隣接する掘っ立て小屋の上に崩落した。
まとめ
以上が、「崩壊」と「崩落」の意味の違いと使い分けについてでした。
「崩壊」は、くずれてこわれること。
「崩落」は、くずれて下に落ちること。
下に落ちるかどうかの使い分けです。