漢字の「非」。
「非常事態」や「非常口」といった使い方をするお馴染みの漢字です。
この漢字の「非」の書き方について、ある疑問が噴出しているらしい…。
それは、左側の縦棒に3本の横棒がくっつくのですが、そのうちの一番下の横棒が縦棒を「突き抜ける」べきなのかといったもの…。
確かに、字体をよく見ると、下のとおり突き抜けています…。
しかし、下のように出ていないタイプもあるようですね…。
「突き抜ける」べきか「出さない」べきか？？
仮に、一方が誤字なのであれば…、そのままにしておくわけにはいきません！
ということで、国がどういった見解を示しているのか徹底的に調べてみました。
本記事では、「非」の漢字は突き抜けるの？正しい「非」の書き方について根拠も含めわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください！
1.「非」の漢字は突き抜ける？出るのか出ないのか？
最初に、正しい「非」の漢字について簡潔にお伝えします。
「非」の漢字は、「突き抜ける」書き方も正解ですし、「出ない」書き方も正解。
つまり、どちらも正しい漢字ということ。
この根拠については、国が明確に文書で示してくれていました。
その文書は、国の行政機関である文化庁が発信したもので、「常用漢字表の字体・字形に関する指針（報告）について」というもの。
文書の内容については、次項で詳しくお伝えします。
実は、「突き抜ける」か「突き抜けない」かは、パソコンなどのフォントでも様々。
たとえば、「明朝体」や「楷書体」などは下の「突き抜ける」形。
また、「ゴシック体」や「教科書体」などは「突き抜けない」形。
このとおり、両方のタイプが実在しています。
日本全国で使われている字体ですので、まあ、これだけでも「片方が誤字」ということはないでしょう…。
ところで、「出る」「出ない」が統一されていない理由は不明です…。
もしかしたら、元々そういった細かいことまで厳密にこだわっていないのかもしれません…。
ちなみに、学校では上に紹介した「教科書体」の字体をお手本にします…。
そのため、「突き抜けるのは誤字」と判定する学校があるかもしれませんが、正確には突き抜けても誤字ではありませんよ。
2.「非」の漢字に対する国の見解！
次に、国の行政機関である文化庁が発信した、「常用漢字表の字体・字形に関する指針（報告）について」の内容を紹介します。
この文書は、平成28年（2016年）2月29日に出されました。
４ 手書き（筆写）の楷書では、いろいろな書き方があるもの
手書きの楷書においては、以下に挙げるような漢字の構成要素及び漢字の例のように、字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできるものがある。
それらを（１）～（６）に分類して示した。
（６）その他そのほか、漢字の点画について、いろいろな書き表し方があるものとして、以下のような例が挙げられる。
ここに挙げるような違いは、字体の判別の上で問題にならない。
ア 点画が交わるように書くことも、交わらないように書くこともあるもの
◇ 上記を含め、同様に考えることができる漢字の例
引用元：常用漢字表の字体・字形に関する指針（報告）について
文書には、どちらも誤字ではないということが記載されています。
「非」についての、書き方例の提示はありませんが…。
下の方の画像に「非」が載っています。
また、「非」以外に、「罪」「悲」も同様の扱いですね。
まとめ
以上が、正しい「非」の漢字についてでした。
「非」の漢字は、「突き抜ける」書き方も正解ですし、「出ない」書き方も正解。
つまり、どちらも正しい漢字ということ。
細かいことは気にしないでください。