「樹」という漢字があります。
「樹木」の「樹」ですが、よく名前に使われる漢字。
女性であれば「美沙樹」「樹里」、男性ならば「大樹」「樹生」など…まだまだたくさんあります。
そういった重要な漢字である「樹」なのですが…。
上部にある字が、「土(つち)」が正しいのか「士(し)」が正しいのかといったことで、ちょっとした論争があるらしい…。
上の「樹」は「土(つち)」ですし、下の「樹」は「士(し)」が使われています。
どっちが正解なのか??
名前に使われる「樹」ですので、誤字のまま使うわけにはいけません!
ということで、国の機関である文化庁の見解を徹底的に調査してみました。
本記事では、「樹」の漢字は「土」で下が長いのか、「士」で上が長いのかを、根拠も含めわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「樹」の漢字は「土・士」どっち?下が長いの?
最初に、正しい「樹」の漢字を端的にお伝えします。
「樹」の漢字は、「土(つち)」でも正解ですし、「士(し)」でも正解。
つまり、どっちも正しい漢字ということ。
この件については、文化庁の「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」という文書の中に記載されています。
詳しい内容については次項で紹介しますが、「樹」の「土」「士」については「字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできる」「長短の違いは、字体の判別の上で問題にならない」となっていますよ。
実は、パソコン内のフォントでも「土」の「樹」と、「士」の「樹」の双方が存在しています。
たとえば、「MS明朝体」や「HGP行書体」は以下のとおり「土(つち)」。
そして、「HGP教科書体」や「ARP楷書体M04」などは「士(し)」が使われています。
上下の横棒の長さは様々ですが…、ただし「土(つち)」より「士(し)」を使った「樹」のフォントが多いです。
双方の漢字が存在する理由はわかりませんが、歴史的にはどちらも使われた形跡があるのは確か。
そういった歴史もあり、「一方が誤字」とはいえないのだと思います。
ですが、「常用漢字表」では「士(し)」が使われていますので、普段は「士(し)」の方を心がけるのが良いのではないでしょうか。
ただし、下が長い「土(つち)」になってしまったとしても、それは間違いではないということを覚えておきましょう。
2.「樹」の漢字に対する文化庁の見解!
続いて、文化庁の「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」の内容を要約してお伝えします。
この文書は、平成28年(2016年)2月29日に出されました。
4 手書き(筆写)の楷書では、いろいろな書き方があるもの
手書きの楷書においては、以下に挙げるような漢字の構成要素及び漢字の例のように、字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできるものがある。
それらを(1)~(6)に分類して示した。
(1)長短に関する例漢字の点画の長短にいろいろな書き表し方があるものとして、以下のような漢字の構成要素及び漢字の例が挙げられる。
ここに挙げるような長短の違いは、字体の判別の上で問題にならない。
オ 画の長短が字体の判別に関わるものとして「士」と「土」※1が挙げられるが、これらが別の漢字の構成要素になっている場合に、必ずしも長短を問題にする必要のないもの※1 構成要素としての「士」と「土」について、横画の長短が問題にされないのは、漢字の右部や上部の狭い部分にはまるような場合が多い。
「士」と「土」と同様に、横画の長短が字体の判別に関わるものに「末」と「未」があるが、構成要素としての「末」と「未」は、音符(漢字の音を表す部分)となっているケースが多いことなどのため、長短が入れ替わるように書かれることが少ない。
引用元:常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
ということで、「字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできる」とハッキリ書かれています。
「図」には、「樹」の他に「週」もありますが、その他には「荘」「周」もありました。
こういった漢字は全て、「土」か「士」が加わりますが、どっちを使っても間違いではありません。
まとめ
以上が、「樹」の漢字は「土」で下が長いのか、「士」で上が長いのかについてでした。
「樹」の漢字は、「土」「士」どちらでも正解。
上下どっちの横棒が長くても、間違いではありません。
ただし、現在の常用漢字表には「士(し)」の方が使われていますので、「士(し)」を心がけるのをおすすめします。