漢字の「身」。
「身体」や「自身」といった使い方をするとおり、「からだ」「自分」を意味する漢字。
実は、この「身」の漢字について、昔と書き方が変わったのかと噂になっています…。
それは、昔は一番下の横棒「一」が右端の縦棒「|」を突き出ることはなかったのですが、突き出ても間違いではないというもの…。
「身」は上のように斜めの「ノ」は突き出るのですが、果たして「一」は突き出ても良いのか?
急いで書くと、ついついはみ出してしまうこともありますので、正誤をはっきりさせたいところ!
ということで、国が「突き出し」を認めているのかどうかを徹底的に調査してみました。
本記事では、「身」の漢字は突き出る形に変わったのか?正しい「身」の書き方について根拠も含めわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「身」の漢字は変わった?突き出るのは?
最初に、正しい「身」の書き方を簡潔にお伝えします。
「身」の漢字の下の「一」は、突き出ても正解。
もちろん、今までどおり突き出ない書き方をしても正解です。
要するに、どちらでも正しい漢字ということ。
そして、「身」の漢字が変わったのかどうかについてですが…。
実は、この件については少し微妙です。
というのも、そもそも「突き出ると誤字!」とか「突き出ても誤字ではない!」といった規則のようなものがなかったから…。
ですが、平成28年(2016年)2月29日に行政機関である文化庁が、「突き出るのは誤字ではない」と明確に文書で示してくれました。
決まりがなかったものが、「突き出るのは誤字ではない」と明確になりましたので、変わったといえば変わったということなのでしょう。
文化庁が出した文書については、次項で詳しくお伝えします。
現在は、WEB上や印刷物で様々な字体が使われますが、多くの字体は下のとおり突き出ていません。
ご覧のように、突き出ていませんよね…。
ですから、こういった字体が頭に染み付くことで、「突き出るのは誤字」と思ってしまうのは普通のこと。
私自身も、「突き出してはいけない!」と思っていましたから。
ですが、現在は文化庁が示しているとおり、誤字ではありませんよ。
細かいことを気にする必要はありません。
2.「身」の漢字に対する文化庁の見解!
続いて、文化庁が発信した「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」の内容を紹介します。
この文書は、前項でも触れましたが、平成28年(2016年)2月29日に出されたもの。
4 手書き(筆写)の楷書では、いろいろな書き方があるもの
手書きの楷書においては、以下に挙げるような漢字の構成要素及び漢字の例のように、字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできるものがある。
それらを(1)~(6)に分類して示した。
(6)その他そのほか、漢字の点画について、いろいろな書き表し方があるものとして、以下のような例が挙げられる。
ここに挙げるような違いは、字体の判別の上で問題にならない。
ア 点画が交わるように書くことも、交わらないように書くこともあるもの◇ 上記を含め、同様に考えることができる漢字の例
※1 「化」や「花」で「匕」のように交差する形については、辞書等によっては旧字体とされる場合もある。
※2 「身」は、最終画「ノ」だけでなく、長い横画が右の縦画より右に出る形で書かれることがある。
引用元:常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
このように、「交わる」「交わらない」はどちらでも良い旨が書かれています。
これ、「交差」のことであり、「突き出る」か「突き出ない」かということ。
「身」については、一番下の※2に丁寧に説明してくれています。
まとめ
以上が、正しい「身」の漢字についてでした。
「身」の漢字の下の「一」は、突き出ても正解。
もちろん、今までどおり突き出ない書き方をしても正解です。
つまり、どちらも正しい漢字ですよ。