「耳」は、人間の耳の形をモデルにした漢字…。
言葉としては、「小耳にはさむ」や「耳が早い」といった使い方をします。
その他にも、「耳」は「職」「聞」「聖」「摂」「恥」など…、「へん」や「つくり」などに多く使われる字。
この「耳」という漢字の、5画目の横棒が、縦棒を「突き出る」と「突き出ない」とで論争があるようです…。
上のように、出るスタイルと出ないスタイルがあります。
どっちが正解なのか??
しかも、この横棒を「とめる」か「はらう」かでも、違った意見があるらしい…。
よく使う漢字ですので、不明のまま放っておくわけにはいきません!
ということで、国の機関である文化庁の見解を徹底的に調べてみました。
本記事では、「耳」の5画目は突き出るのか?また、「はらう」か「はらわない」かも含め正しい「漢字」についてわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「耳」の漢字は突き出るの?はらうの?
最初に、正しい「耳」の漢字についてお伝えします。
「耳」の漢字は、突き出ても正解ですし、出なくて正解。
しかもこの横棒、はらっても正解ですし、とめても正解です。
つまり、「出る、出ない」「はらう、はらわない」どっちでもいいということ。
この「耳」の書き方については、「文化庁」の「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」という文書で説明されています。
その文書の詳細は次項で紹介しますが、一言で表すならば「どっちでもいい」となっていますよ。
実は、パソコンのフォントの種類によって「出ない耳」と「出る耳」があります。
たとえば、「MS明朝体」は出ていますが、「ARP行書体B04」は下のとおり出ていません。
それから、この5画目を「はらう」か「はらわない」かも様々。
たとえば、上の「MS明朝体」や「ARP行書体B04」ははらっていますが、下の「ARP楷書体M04」「HGP行書体」「MSゴシック」は完全にとめています。
ということで、「耳」という漢字のスタイルは様々ですが、なぜこうなったのか理由は不明…。
もしかしたら、「字体」の単なるデザイン的なものなのかもしれません。
また、最後の6画目の縦棒についても、スッとはらうのか、ピタッととめるのかを調べてみましたが…。
残念ながら、文化庁ではこの6画目については何も言及していませんでした…。
ただし、先に画像でも紹介したとおり、6画目についてもはらうかとめるかは字体によって様々。
したがって、おそらく文化庁では「どっちでもいい」といった見解をだすのではないかと推測します…。
6画目については、私個人の推測です。
2.「耳」の漢字に対する文化庁の見解!
続いて、「文化庁」が平成28年(2016年)2月29日に出した、「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」の内容を紹介します。
Q43
「女」の「一」と「ノ」の接し方
「女」という漢字の2画目は、3画目の横画よりも上に出ない形で書くようにと学校で習ったのですが、その書き方を間違いだという人もいます。
どちらが正しいのでしょうか。
Aどちらで書いても誤りではありません。
昭和50年代半ば以降、小学校では出る形で教えられていますが、この場合、出るか出ないかは、正誤に関わる問題ではありません。
「字体についての解説」にも、両方の書き方があることが下記のように例示されています。これは、「おんなへん」の場合も同様に考えられます。
現在の小学校の教科書には、全て、2画目を3画目の横画よりも少し上に出す形の字形が示されています。しかし、小学校国語の教科書に用いられた教科書体を戦後すぐまで遡って調べていくと、昭和50年代の半ば頃までは、次に示すようにどちらの形も見受けられますから、世代ごとに見慣れている字形の方を正しいと考える傾向があるのかもしれません。
また、明朝体をはじめとする印刷文字では、出ない形が一般的です。一般の社会では印刷文字に触れる機会の方が多いため、印刷文字のように出ない形の方が正しいと考えている人もいるようです。
これは、出ていても出ていなくても、あるいは、2画目と3画目が僅かに接していないとしても、誤りであるとは言えないものです。これらの違いは、それによって、ほかの漢字に見えたり、字として読み取れなかったりということがありませんから、漢字の正誤の判断基準になりません。
同様に、点画が交差していてもいなくても、誤りであるとみなされないものとしては次のような例が挙げられます。引用元:常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
「女」という漢字に対する説明でしたが、最後の「同様に、点画が交差していてもいなくても、誤りであるとみなされないものとしては次のような例が挙げられます」の下の「画像」で「耳」を挙げていました。
その画像は、下のとおり。
ということで、「耳」は出ても出なくてもいいということです。
それから、「はらう」か「はらわない」かについては、下のとおり。
Q70
はらうか、とめるか(横画・縦画)
「耳」の5画目は右上方向にはらうような字と、とめるように書く字を見ることがあります。
また、「角」の3画目の縦画は、活字でははらっていますが、とめるように書かれているものを見ることがあります。
どちらで書いてもいいのでしょうか。
Aどちらの書き方も、手書きの楷書によく見られるものです。
どちらで書いても誤りではありません。
「耳」の5画目は、明朝体では右上方向にはらうように表現されるのが一般的ですが、手で書く場合にはとめるように書かれることがあります。引用元:常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
ということで、「どちらで書いても誤りではありません」と書いています。
残念ながら、6画目をどうするかについては明記されていませんでした…。
まとめ
以上が、「耳」の漢字は突き出るのか、また、はらうかどうかについてでした。
「耳」の漢字は、「出る」「出ない」どちらでも正解。
しかも、「はらう」「はらない」に関してもどっちも正解です。
「耳」を手書きする際は、細かいことは気にせずにどうどうと書いてください。