「併合」と「植民地」。
よく、歴史認識で論争になる言葉ですね。
ちまたでは、「併合も植民地も同じ意味!」といった意見もあるようですが、本当に同じなのだろうか?
ということで、言葉の意味という視点で「併合」と「植民地」を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「併合」と「植民地」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「併合」と「植民地」の意味の違い!
最初に、「併合」と「植民地」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
ですから、国にたとえるならば2つ以上の国が1つの国になることです。
「植民地」とは、国外の領地を本国の統治下にすること。
一言で表現すると、こういった違いになります。
では、さらに詳しく紐解いていきますね。
①そもそも「植民」の意味とは!
「植民地」の前に、「植民」という言葉の意味を説明します。
そもそも「植民」とは、別の国家を支配したり、国家を合わせるといった意味とは関係ありません。
「植民」とは、本国ではない別の国に移住して、開拓などを行うという意味があります。
「移住」して「開拓」するということ。
ですから、「国」がどうなるかという意味はないのですね。
②「併合」と「植民地」の違いは国を一つにするかしないか!
ということで、前項でなんとなく違いに気づかれたかと思いますが、「植民地」は移住して開拓などを行いますが、領土を自国のものにするものではありません。
開拓するにあたり、その土地は本国が統治するのですが、その国の領土ではないのですね。
統治下ではあるのですが領土ではないということで、実に微妙なものではありますが…。
一方の「併合」は、1つに合わせることなので、国でいうならば2つ以上の国が1つの国になるということ。
領土全てが1つの国家となるということですね。
この部分が最大の違いと言えます。
③実際の「併合」と「植民地」の事例!
世界の歴史上、数々の「併合」や「植民地」の事例が存在します。
実際の「併合」では、他国を支配するというものではなく、元々他国だった領土に学校を建築したり社会インフラを整えるなど、合わさった両国を格差がない同等の社会にしようとした事例があります。
学校建設の目的の一つは、本国の識字率が90%以上で、他国の識字率20%だったものを、同等のレベルに近づけようとしたもの。
これはつまり、本国も他国もどちらかが支配するというものではなく、あくまでも同等であるといった概念が基礎にあるということですね。
一方の「植民地」では、移住した他国の土地を開拓するのですが、その労働者の多くは原住民となります。
しかも、開拓した土地の農作物の栽培や収穫作業も、多くが原住民の作業となるのですね。
奴隷のような扱いも実際に存在していました。
そして、多くの富は植民地支配している国民のものとなるのです。
時々原住民による反乱なども発生し、そのつど鎮圧され迫害されてきた歴史もあるのですね。
④「併合」と「植民地」の違いを整理!
ということで、ここで一度「併合」と「植民地」の違いを整理します。
2つ以上のものを1つに合わせることが「併合」。
国ならば、複数の国が合わさり1つの国になることです。
国外の領地を本国の統治下にするのが「植民地」。
「植民地」は、あくまでも他国なのです。
2.「併合」と「植民地」の辞書での意味!
続いて、辞書による「併合」と「植民地」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「併合」の辞書での意味!
【併合】
・二つ以上のものを一つに合わせること。合併。統合。「関連企業を―する」
引用元:旺文社国語辞典
前項で説明したとおりの内容ですね。
国に限らず、企業などにも使います。
②「植民地」の辞書での意味!
【植民地】
・属領として本国の統治下にある国外の領地。
引用元:旺文社国語辞典
統治下にはしますが、国としてまとまるという意味はありません。
ちなみに「属領」とは、ある国の支配下にある領土のこと。
3.「併合」と「植民地」の使い方!
最後に、「併合」と「植民地」の使い方を例文で紹介します。
①「併合」の使い方!
・障害年金の併合認定。
・株式併合銘柄
・併合罪加重
・クリミア併合
・併合条約
②「植民地」の使い方!
・植民地主義
・植民地資本主義
・植民地政策
・ヨーロッパ諸国が植民地時代に各国から集めた文化遺産。
・激しい植民地争奪戦。
まとめ
以上が、「併合」と「植民地」の意味の違いと使い分けについてでした。
「併合」は、2つ以上のものを1つに合わせることで、国ならば複数の国が1つの国になること。
「植民地」は、国外の領地を本国の統治下にすることです。
その国の領土がどこの国に属すのかという部分が違いのポイントですね。