「無理」と「無茶」。
凄く似た意味の言葉です。
もしかして同じ意味なのだろうか…??
確かに、「ハンバーガー屋でザルそばを頼むなんて、無理な注文だよ」といいますし、「ハンバーガー屋でザルそばを頼むなんて、無茶な注文だよ」といってもおかしくないですよね…。
でもよく考えると、「レジ袋に無理に詰め込む」とはいいますが、「レジ袋に無茶に詰め込む」とはいわないような…。
ということは、「無理」と「無茶」には違いがあるということか…???
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「無理」と「無茶」には確かな違いがありました!!
本記事では、「無理」と「無茶」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「無理」と「無茶」の意味の違い!
最初に、「無理」と「無茶」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
(a)筋道が立たず、道理に合わないこと。
(b)実現するのがむずかしいこと。
(c)困難を承知で強引に行うこと。
「無茶」の意味は2つ。
(a)筋道が立たず、道理に合わないこと。
(b)度を越していること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に(a)(b)(c)の意味をそれぞれ紐解いていきますね。
①「無理」と「無茶」の共通(a)の意味!
最初は、「無理」と「無茶」の共通の意味である(a)から。
(a)は、筋道が立たず、道理に合わないこと。
たとえば、ハンバーガー屋さんで、店員に「ザルそばを3人前ください」と注文したとしましょう。
もちろん、ハンバーガー屋さんでザルそばをつくれるはずがありません。
まさに、筋道が立たず道理に合わない注文ですよね。
この場合は、「無理な注文」「無理難題」「無茶な注文」「無茶苦茶」ということです。
②「無理」と「無茶」の似た(b)の意味!
続いて、意味の(b)。
「無理」は、(b)実現するのがむずかしいこと。
「無茶」は、(b)度を越していること。
ある意味、これらは前項の(a)と似ていますが、道理に反していない場合はこの(b)の意味として使われます。
たとえば、仕事が山積み状態なのに、上司から別案件の仕事を指示されたとしましょう。
この場合、部下は実現が難しいという意味で「この状態で、その仕事は無理です」といいます。
また、仕事の量が度を越しているという意味で「この状態で、いくらなんでもその仕事は無茶ですよ」ともいいます。
③「無理」の独自(c)の意味!
最後は、「無理」独自の意味である(c)。
(c)は、困難を承知で強引に行うこと。
この意味は、「無茶」にはありません。
たとえば、「体調が悪いが、無理して出社した」「1枚のレジ袋に無理に詰め込む」といった使い方をします。
困難ではありますが、何とかなるレベルで押しとおしてしまうということですね。
この「無理」の意味は、よく「無茶」との違いとして比較対象にされます。
よく、「無理はいいけど、無茶はするな!」といいますよね。
これはつまり、「ギリギリまで頑張るのはいいが、常軌を逸するレベルになってはいけない」ということ。
ただし、「無理」には前項の(a)(b)の意味もありますので、そうなると意味も違ってきます。
そもそも、道理に反して良いわけがありませんし、どうしても実現不可能なこともあるわけで…。
④「無理」と「無茶」の違いを整理!
それでは、ここで一度「無理」と「無茶」の違いを整理します。
(a)筋道が立たず道理に合わないという意味は、「無理」と「無茶」の共通の意味。
そして、「無理」の(b)実現するのがむずかしいという意味と、「無茶」の(b)度を越しているという意味は、似たような場面で使われる意味。
最後の(c)困難を承知で強引に行うという意味は、「無理」だけの独自の意味です。
2.「無理」と「無茶」の辞書での意味!
続いて、辞書による「無理」と「無茶」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「無理」の辞書での意味!
【無理】
①道理に反すること。「―を通す」「彼が怒るのも―はない」
②困難などを押し切ってすること。「―がきかない」
③行うのが難しいこと。「それは―だ」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「無茶」の辞書での意味!
【無茶】
①筋道の通らないこと。道理にはずれていること。また、そのさま。「―な話」
②ひどく度を越していること。むやみ。また、そのさま。「―な飲み方」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「無理」と「無茶」の使い方!
次に、「無理」と「無茶」の使い方を例文で紹介します。
①「無理」の使い方!
・クレーマーの無理な要求に応じてはいけません。(a)
・全てのニュースをくまなくチェックするのは時間的に無理だ。(b)
・軽自動車は乗車定員が4名以下と決まっているため、5人目の乗車は無理。(b)
・鉛筆を正しく持つと、文字も無理なく書けるといわれる。(c)
・無理に契約を迫るのは好ましくない。(c)
②「無茶」の使い方!
・扉が閉まって動いている電車に乗ろうとするのは無茶だろう。(a)
・東京からフランスまで今日中に届けろというのは無茶な要求だ。(a)
・ブラックリストに登録されている状態で借金したいというのは無茶だ。(a)
・一般の車はそんな無茶な運転をしないので煽られることはないと思いきや結構ある。(b)
・税や社会保険料の無茶な差押えが横行しているのか。(b)
4.「無理」や「無茶」には似た意味の言葉がたくさんある!
「無理」や「無茶」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「無理」と「無茶」の意味の違いと使い分けについてでした。
「無理」は、(a)筋道が立たず、道理に合わないこと、(b)実現するのがむずかしいこと、(c)困難を承知で強引に行うこと。
「無茶」は、(a)筋道が立たず、道理に合わないこと、(b)度を越していること。
どちらも意味が似ていますが、(c)に関しては「無理」独自の意味です。