「共に」と「一緒に」。
この二つの言葉は、同じ意味だと思うのです…。
「二人で共に出張する」といいますし、「二人で一緒に出張する」ともいいます…。
これ、意味は違わないと思うのですよ…。
でも、「あなたの意見と、私の意見が一緒になった」とはいいますが、「あなたの意見と、私の意見が共になった」とはいいません…。
同じようにみえた「共に」と「一緒に」ですが、意味に違いがあるということか…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「共に」と「一緒に」には、確かな違いがありました!
本記事では、「共に」と「一緒に」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「共に」と「一緒に」の意味の違い!
まずは、「共に」と「一緒に」の意味の違いを端的にお伝えします。
「一緒に」とは、複数が伴って同じ行動をすること、また、同時にという意味。
ただし、「一緒に」には、ひとまとめにすること、また、同じであることという意味もあります。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「共に」と「一緒に」の共通の意味とは!
「共に」と「一緒に」には、共通の意味が二つあります。
複数が伴って同じ行動をすることと、同時にという意味。
「複数が伴って同じ行動をすること」から説明しますね。
これは、「そろって」に言い換えが可能です。
たとえば、会社で主任と係長が二人で九州へ出張したとしましょう。
この場合は、「主任と係長が共に九州へ出張だ」といいます。
これは、「主任と係長が一緒に九州へ出張だ」へ言い換えが可能。
どちらも、共通の意味ですので違和感はありません。
それから、「同時に」という意味。
たとえば、埼玉県と栃木県の甲子園地方予選が同時に開幕したとしましょう。
この場合は、「埼玉県と栃木県の甲子園予選が本日共に開幕した」といいます。
これも、「埼玉県と栃木県の甲子園予選が本日一緒に開幕した」へ言い換えが可能。
いずれも、違和感はありません。
②「一緒に」独自の意味とは!
「共に」の意味は前項で説明したとおりですが、「一緒に」は他の意味もあります。
それは、ひとまとめにすることと、同じであることという2つの意味。
一つ目の「ひとまとめにすること」というのは…。
たとえば、「二人の荷物を一つのカバンに一緒に入れる」といった使い方をする「一緒に」です。
まさに、二人の荷物をひとまとめにしていますよね。
二つ目の意味が「同じであること」。
これは、「二人の意見が一緒になってしまった」といった使い方をします。
つまりは、意見が同じになったということですね。
この二つの意味は、「一緒に」独自の意味であり、「共に」の方にはありません。
したがって、「二人の意見が一緒になってしまった」を「共に」に置き換えることはできませんよ。
「二人の意見が共になってしまった」となると、変ですよね。
それから、「二人の荷物を一つのカバンに一緒に入れる」を「共に」に置き換えると…。
「二人の荷物を一つのカバンに共に入れる」となり、なんとなくありそうな感じがします。
ですが、「共に」には「ひとまとめにすること」という意味はありません。
この場合は、二人分の荷物が伴って同じ行動をする、つまりは「そろって」という解釈となります。
要するに、前の項目で説明した意味。
「二人の荷物を一つのカバンに共に入れる」は、「まとめる」ではなく「そろって」です。
③「共に」と「一緒に」の違いを整理!
それでは、ここで一度「共に」と「一緒に」の違いを整理します。
複数が伴って同じ行動をすること、また、同時にという意味は、「共に」と「一緒に」の共通の意味。
ですが「一緒に」には、ひとまとめにすること、また、同じであることという、独自の意味があります。
「まとめる」「同じ」という意味は、「共に」にはありません。
2.「共に」と「一緒に」の辞書での意味!
続いて、辞書による「共に」と「一緒に」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「共に」の辞書での意味!
【共に】
①そろって。いっしょに。「―学ぶ」
②同時に。「うれしいと―に寂しい」
引用元:旺文社国語辞典
意味が二つ、内容も説明したとおりです。
②「一緒に」の辞書での意味!
【一緒】
①ひとまとめにすること。「全部―に入れる」
②同じであること。同一。「ぼくの意見も君と―だ」
③ともに同じ行動をすること。「―に出かける」
④同時。「盆と正月が―に来たような忙しさ」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、意味が四つで内容も説明どおりですね。
3.「共に」と「一緒に」の使い方!
次に、「共に」と「一緒に」の使い方を例文で紹介します。
①「共に」の使い方!
・自転車事故ランキングでは、中高生共に群馬県がワースト1だった。(そろって)
・感染拡大が収まらない恐怖感で4月の後半は心身共にギリギリの状態。(そろって)
・ゆうパケットで2件とも同日に共にコンビニから発送した。(同時)
・複数衛星を同じタイミングで共に打ち上げられる能力を付加した。(同時)
②「一緒に」の使い方!
・お子様と一緒に通学路を歩いて点検を行って下さい。(そろって)
・非常ブレーキに手をかけると、ほぼそれと一緒に車内が停電した。(同時)
・市民が不要なものを全て一緒に処分したことも回収量が増えた要因。(まとめる)
・質問内容が先ほどの質問とほとんど一緒になった。(同じ)
4.「共に」や「一緒に」には似た意味の言葉がたくさんある!
「共に」や「一緒に」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「共に」と「一緒に」の意味の違いと使い分けについてでした。
「共に」と「一緒に」は、複数が伴って同じ行動をすること、また、同時にという意味でどちらも同じ。
「複数が伴って同じ行動をすること」は、「そろって」とも言えます。
それから、「一緒に」には、ひとまとめにすること、また、同じであることという意味もありますが、この意味は「共に」にはありません。