「同一」と「同様」。
「おなじ」の「同」という字が共通していて、似ています…。
使う場面も似ているし…。
たとえば、「同一の労働」といいますし、「同様の労働」といっても間違いではないような…。
しかし、「同一人物」とはいっても、「同様人物」といった使い方はしません…。
これは、「同一」と「同様」は完全に違うということか…???
ということで、この二つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「同一」と「同様」には明確な違いがありました!
本記事では、「同一」と「同様」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「同一」と「同様」の意味の違い!
最初に、「同一」と「同様」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
それから、別のものではなくそのものであること。
「同様」とは、複数の物事が等しく差がないこと、また、ほとんど同じであること。
さらに、「同様」にはその他に、「○○と変わりなく」「○○と同じように」「○○と同然」という意味もあります。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「同一」の意味とは!
「同一」には、意味が二つあります。
この「二つある」という部分、結構大きなポイントですよ!
意味は、複数の物事が等しく差がないことと、別のものではなくそのものであること。
まず、「複数の物事が等しく差がないこと」から説明しますね。
この意味は、前提に「A」と「B」といったように別々の複数の物事が存在します。
この「A」と「B」を比べた時に、どちらも同じであり等しいということ。
たとえば、「同一の労働内容なのに、賃金が違うのはなぜか?」といった使い方をします。
これは、「Aさん」と「Bさん」の労働の内容に差がなく等しいということ。
それから、もう一つの「別のものではなくそのものであること」。
この場合は、複数の物事は存在しません。
「A」だけ、たった一つということ。
たとえば、「複数の犯行と思われたが、たった一人、同一人物の犯行だったのか!」の「同一」です。
「同一人物」とは、一人を指しているのですね。
この「同一」は、「差がない」「等しい」ではなく、「そのもの」ということです。
②「同様」の意味とは!
「同様」の意味も、大きく二つあります。
一つ目の「同様」の意味は、複数の物事が等しく差がないこと、また、ほとんど同じであること。
「複数の物事が等しく差がないこと」という意味は、前項の「同一」と共通しています。
ただし、ポイントとなるのがそのあとの「ほとんど同じであること」という部分。
これは、要するに複数の物事が「全く同じ」から「ほとんど同じ」まで幅があるということです。
つまりは、「完全に同じ」場合もあれば、「やや同じ」「似ている」場合もあるということ。
たとえば、「最近の事件は、全て同様の手口だ」といった使い方をします。
これは、犯行の手口が似ているということですね。
もちろん、全く同じ場合であっても「同様」を使うことができますよ。
二つ目の「同様」の意味は、「○○と変わりなく」「○○と同じように」「○○と同然」という意味。
意味的には、最初に説明したものとすごく似ているのですが、使い方が独特。
「A」と「B」といった複数の物事を比較するのではなく、前提にまず「A」だけが存在します。
その「A」と、「変わりなく」「同じように」「同然」という意味で使うということ。
具体的には、「Aと同じようにBにも」といった使い方ですね。
したがって、この「同様」の前には必ず「A」に値する「名詞」が付きます。
たとえば、「親戚同様の付き合いだった」「我が子同様に育てた」といった使い方。
ちなみに、この場合は「親戚」「我が子」が「A」で、「名詞」です。
③「同一」と「同様」の違いを整理!
それでは、ここで一度「同一」と「同様」の違いを整理します。
複数の物事が等しく差がないという意味と、別のものではなくそのものであるという、二つの意味があるのが「同一」。
「同様」の意味も二つ。
複数の物事が等しく差がないことから、ほとんど同じまで、幅があるのが一つ目の「同様」の意味。
その他に「同様」には、必ず名詞の後ろに付けて「○○と変わりなく」「○○と同じように」「○○と同然」という意味もあります。
2.「同一」と「同様」の辞書での意味!
続いて、辞書による「同一」と「同様」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「同一」の辞書での意味!
【同一】
①同じであること。「―人物」「―線上に並ぶ」
②差別がないさま。平等。「―に扱う」
引用元:旺文社国語辞典
意味が二つ、内容も説明したとおりです。
②「同様」の辞書での意味!
【同様】
①ようす・状態が同じであること。また、そのさま。「私も彼と―に考える」
②(接尾語的に用いて)「…と同じくらい(に)」「…と同じように」の意。同然。「彼―私も英語を話せない」「我が子―に可愛がる」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、意味が二つで内容も説明どおりですね。
3.「同一」と「同様」の使い方!
次に、「同一」と「同様」の使い方を例文で紹介します。
①「同一」の使い方!
・タイヤはサイズや銘柄が同一であれば同じ性能かといえばそうともいえない。(等しい)
・従来製品と同一サイズのため、 既存システムへの置き換えも簡単にできる。(等しい)
・「受験に勝つ」は「人生の幸せ」と同一線上にあるのか?(そのもの)
・民俗調査をしたが、同一地域内で両方の名称が混在していることがわかった。(そのもの)
②「同様」の使い方!
・実は、先月も神奈川県で同様の事故が発生しました。(同じような)
・昼間も昨日と同様に気温が上がらず、肌寒さが続く見込みです。(同じような)
・ペットを家族同様に大切にされる方が増えている。(変わらず)
・兄弟同様に育てられた。(変わらず)
4.「同一」や「同様」には似た意味の言葉がたくさんある!
「同一」や「同様」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「同一」と「同様」の意味の違いと使い分けについてでした。
「同一」は、「A=B」、また「Aそのもの」ということ。
「同様」は、「A=B」~「A≒B」ということ。
また、「同様」には「○○と変わりなく」「○○と同じように」「○○と同然」という意味もあります。