「綿密」と「緻密」。
この言葉の意味、似ていてまぎらわしいですよね…。
といいますか…、もしかして同じ意味なのかな??
確かに、「綿密な計画を練る」といいますし、「緻密な計画を練る」ともいいます…。
しかし、よく考えてみたら「緻密な頭脳の持ち主」とはいいますが、「綿密な頭脳の持ち主」とはいわないような…。
これは、いった何がどう違うのか…???
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「綿密」と「緻密」には明確な違いがありました!
本記事では、「綿密」と「緻密」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「綿密」と「緻密」の意味の違い!
最初に、「綿密」と「緻密」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「緻密」も、細かいところまで注意が行き届いていることで、人の「行動」「動き」に対して使う言葉。
ただし「緻密」には、きめが細かいこと、細かく詳しいことという意味もあり、こちらは「静止した物事」「人以外の物事」にも使うことができます。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「綿密」の意味とは!
「綿密」は、細かいところまで注意が行き届いていること。
この意味は「緻密」との共通点です。
そして、人の「行動」や「動き」に対して使うのが基本。
たとえば、以下のような使い方をします。
「綿密な計画を練る」
「綿密な調査を行う」
「綿密に計算する」
「綿密に点検する」
ということで、「計画を練る」「調査を行う」「計算する」「点検する」ということで、これ全て人の「行動」「動き」。
では、この例文を「綿密な計画書」「綿密な調査結果」「綿密な計算書」「綿密な点検結果」としたらどうなるか?
こうなると、全て「動き」のないもので、一見「静止」しています。
したがって、「綿密」はふさわしくないのか?と思われるかもしれませんが、違いますよ。
「計画書」「調査結果」「計算書」「点検結果」を導き出すためには、全て人の「行動」があってのもの。
「綿密」は、その「行動」「動き」に対しての評価の言葉なのです。
②「緻密」の意味とは!
「緻密」も、細かいところまで注意が行き届いていること。
そしてこの意味は、「綿密」同様に人の「行動」や「動き」に対して使います。
ですから、前項の「綿密」と同じ意味として使うことができます。
前項の例文の「綿密」を、「緻密」に置き換えてみましょう。
「緻密な計画を練る」
「緻密な調査を行う」
「緻密に計算する」
「緻密に点検する」
というように、全く違和感はありません。
そして問題は「緻密」のもう一つの意味、きめが細かいこと、細かく詳しいことの方。
この意味は、「静止した物事」「人以外の物事」にも使うことができます。
たとえば、以下のとおり。
「緻密な構造」
「緻密な頭脳の持ち主」
「緻密な回路」
これは、全て「行動」「動き」のことではありませんし、人の「行動」あってのものとも限りません。
「静止した物事」「人以外の物事」が、きめ細かい、細かく詳しいということです。
ちなみに、この例文の「緻密」を「綿密」に置き換えるとどうなるか?
「綿密な構造」
「綿密な頭脳の持ち主」
「綿密な回路」
というように、違和感満載な文になってしまいます。
③「綿密」と「緻密」の違いを整理!
それでは、ここで一度「綿密」と「緻密」の違いを整理します。
細かいところまで注意が行き届いていること、という意味は「綿密」と「緻密」の共通の意味。
どちらも、人の「行動」「動き」に対して使います。
ただし、きめが細かいこと、細かく詳しいことという独自の意味を持っているのが「緻密」。
この意味の「緻密」は、「静止した物事」「人以外の物事」にも使うことができます。
2.「綿密」と「緻密」の辞書での意味!
続いて、辞書による「綿密」と「緻密」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「綿密」の辞書での意味!
【綿密】
・細かいところまで注意が行き届いているさま。念入り。「―な計画を立てる」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「緻密」の辞書での意味!
【緻密】
①きめの細かいこと。「―な織り」
②細かいところまで配慮のゆき届いていること。「―な計画」
引用元:旺文社国語辞典
意味②は「行動」について、意味①は「行動」「動き」ではありません。
3.「綿密」と「緻密」の使い方!
次に、「綿密」と「緻密」の使い方を例文で紹介します。
①「綿密」の使い方!
・顧客の声と綿密な分析で市場のニーズを予測し、常にトレンドを生み出しています。(行動)
・社内法務部の担当と綿密な打ち合わせをして、英語の規約書づくりに着手した。(行動)
・提携関係にある複数のアジア企業との綿密な協議により決定されます。(行動)
・残溝値から摩耗状況まで綿密に測定・点検し、点検データを一元管理する。(行動)
②「緻密」の使い方!
・十分な補償や緻密な検証もないまま自粛を受け入れられないという声は多い。(行動)
・コンクリートの緻密性は、コンクリート構造物の耐久性に係わる重要な要因の一つ。(静止)
・合金組織が緻密で鋳巣が少なく、高品質な鋳物を安定して製造することができる。(静止)
・緻密なトレーニング計画と、厳しい鍛練で復活を果たした。(行動)
4.「綿密」や「緻密」には似た意味の言葉がたくさんある!
「綿密」や「緻密」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「綿密」と「緻密」の意味の違いと使い分けについてでした。
「綿密」と「緻密」はどちらも、細かいところまで注意が行き届いていることで、人の「行動」「動き」に対して使う言葉。
ただし「緻密」には、きめが細かいこと、細かく詳しいことという意味もあり、こちらは「静止した物事」「人以外の物事」にも使うことができます。
この意味は、「綿密」にはありません。
ですから、「緻密な組織構造」を「綿密な組織構造」とはいいません。