「停止」と「中止」。
こうして並べてみると、同じ意味にみえてしまいます…。
たしかに、「作業を停止する」ともいいますし、「作業を中止する」ともいいます。
ですが、よくよく考えてみると…。
「来週のイベントは中止となりました」とはいいますが…。
「来週のイベントは停止となりました」となると変です…。
ということは、「停止」と「中止」には違いがあるということか…???
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「停止」と「中止」には決定的な違いがありました!
本記事では、「停止」と「中止」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「停止」と「中止」の意味の違い!
最初に、「停止」と「中止」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「中止」とは、物事を途中でやめる、また、予定された物事をとりやめることで、再開の可能性は含まない。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「停止」の意味とは!
「停止」は、途中でとめる、また、とまること。
「中止」は「やめる」でしたが、「停止」は「とめる」ですので「ストップ」です。
これはつまり、「やめる」わけではないので、とまったものが再び動き出す可能性を含んでいるということ。
ですから、「一時的にとまる」といった意味でもあるということです。
ただし、「一時的」はあくまでも「可能性がある」ということであり、必ずしも再開するとは限りません。
たとえば、「落雷の影響でコンピューターシステムが停止した」といった使い方をします。
この場合、システムの異常個所を直すことで復旧し、再び動き出す可能性は十分あります。
ただし、損傷がひどく再開が不可能な場合もあるわけで。
そういった意味で、「停止」は必ず再開するとは限らないということ。
その他にも、「旅客便の運行停止」や「営業停止」といった使い方をします。
どちらも大半が再開しますが、必ず再開になるとは限りません。
②「中止」の意味とは!
「中止」は、物事を途中でやめる、また、予定された物事をとりやめること。
「停止」は「とめる」「ストップ」でしたが、「中止」は「やめる」です。
「部活動をやめる」「酒をやめる」の「やめる」。
たとえば、「医師から酒をとめられた」と「医師から酒をやめさせられた」では違いますよね。
「酒をとめられた」場合は、もしかして再び酒が飲める日が来るかもしれませんが、「酒をやめさせられた」場合は基本的にもう飲めません…。
つまり、「中止」の意味のポイントは、基本的に再開の可能性はないということです。
たとえば、プロ野球中継で突如雨が降ってきた場合。
最初は、試合を一時的にとめて雨がやむのを待ちます。
その後雨量や天気予報などを考慮し、最終的に「中止」が決断されますが、この場合再開はありません。
言い方をかえれば、もう再開は不可能だから「中止」と判断したということ。
また、「中止」は必ず進行中の物事とは限りません。
まだ始まっていない、未来の予定などに対しても使います。
たとえば、「来週のイベントは、台風の接近が予測されるため中止します」といった使い方。
来週のイベントのことなので、進行中の物事ではありません。
ちなみに、こういったまだ始まっていない予定などに対して「停止」は使うことができませんよ。
③「停止」と「中止」の違いを整理!
それでは、ここで一度「停止」と「中止」の違いを整理します。
物事を途中でとめる、また、とまるのが「停止」。
「停止」は、再開の可能性を含んでいます。
物事を途中でやめる、また、予定された物事をとりやめるのが「中止」。
基本的に、再開の可能性は含んでいません。
また、まだ始まっていない予定などにも使えるのが「中止」です。
2.「停止」と「中止」の辞書での意味!
続いて、辞書による「停止」と「中止」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「停止」の辞書での意味!
【停止】
①動いていたものが途中で止まること。途中で止めること。「エンジンが―する」
②続けていたことをやめること。やめさせること。「営業―」「貸し出しを―する」
引用元:旺文社国語辞典
意味が2種類に分かれていますが、要は①が「物」で②が「事」ということですね。
②「中止」の辞書での意味!
【中止】
・中途でやめること。また、予定されていたことをとりやめること。「雨天―」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
3.「停止」と「中止」の使い方!
次に、「停止」と「中止」の使い方を例文で紹介します。
①「停止」の使い方!
・アイドリングストップ車はエンジンの停止と再始動を自動的に繰り返す仕組み。
・信号機のない横断歩道での車の一時停止率が低く事故も相次いでいる。
・バルセロナはトップチームの活動を無期限で停止すると発表した。
・陸上競技場のフィールド改修工事に伴う施設の利用停止のお知らせ。
・イタリア企業の工場やオフィスの稼働を4月3日まで停止する追加措置を発表した。
②「中止」の使い方!
・国外では、感染症により工事現場の作業も中止されるところもある。
・工事に一部着手した段階で発注者が計画中止を決めた。
・試合は、悪天候及びグラウンドコンディション不良のため中止となりました。
・最終的な中止や延期の判断は工事を受注した建設会社と検討して決める。
・予定していた入社式の中止を決めたことが分かりました。
4.「停止」や「中止」には似た意味の言葉がたくさんある!
「停止」や「中止」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「停止」と「中止」の意味の違いと使い分けについてでした。
「停止」は、物事を途中でとめる、また、とまることですが、再開の可能性を含みます。
「中止」は、物事を途中でやめる、また、予定された物事をとりやめることで、再開の可能性は含みません。
「とめる」と「やめる」の違いです。
また、「中止」は予定などの未来の物事にも使うのが大きな特徴。