「もち」は好物で、正月以外でも結構食べます…。
でも、知らず知らずのうちに食べ過ぎて…体重が…。
ところで、この「もち」ですが…。
パソコンなどで漢字変換すると、下の2種類の漢字が現れます…。
しかも、ワードやエクセルなどでフォントを変更すると、下のような「食偏」の部分が違う字も出てきます…。
そうなると、「偏」が2種類で「つくり」も2種類なので、それぞれ組み合わせると4種類の漢字が存在するということ。
これら4種類の漢字は、どれを使うべきなのか?
ということで、「もち」の漢字を徹底的に分析してみました!
本記事では、「もち」の漢字はどっちが正しいのか、また、使い分けの要否について、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「餅」の漢字はどっちが正しい?
最初に、4種類ある「餅」の漢字の違いを簡潔にお伝えします。
わかりやすくするために、A~Dの記号をつけますね。
この「餅」は、「新字体」というくくりに入る漢字で、「常用漢字」であるため公用文などに使うこともできます。
この「餠」は、古い漢字「旧字体」というくくりで、こっちも「常用漢字」ですので公用文で使用可能。
この字は、【A】の漢字を「行書体」や「教科書体」などにフォント変更した字で、【A】と全く同じ「新字体」であり「常用漢字」です。
この字は、【B】の漢字を「行書体」や「教科書体」などにフォント変更した字で、【B】と全く同じ「旧字体」であり「常用漢字」。
ちなみに、【A】や【B】は「明朝体」「ゴシック体」などで現れる「食偏」です。
4種類のどの漢字を使用しても、全く問題ありません。
使い分ける必要もなく、全て正しい漢字です。
2.「餅」の「食偏」が2種類存在する理由!
まずは、「偏」の部分から。
食偏は、なぜか下のように2種類存在します。
【①】の食偏は、手書きをした場合の字体です。
印刷技術がなかった時代は、当然手書きしかできませんでしたので、全て【①】の食偏でした。
そして、16世紀ころの中国で、木版印刷技術が確立し「明朝体」という字体が誕生します。
木板を削って文字を描き、それを紙に印刷するのですが…。
この削る作業の中でも、鋭角に削ることが、非常に時間がかかり困難だったらしいのです…。
そこで、印刷業者の彫る担当者の都合によって字の形状が変更されました。
たとえば、下の「令」という字。
上の「令」が手書きの字体で、下の「令」が印刷用の明朝体。
「マ」という部分を「ア」にすることで、まっすぐ下に一直線に削れますので手間がかからなくなりました。
そして、「食偏」についても、同様の理由で明朝体専用の文字が誕生したと推測されます。
そういった事情により、食偏が①と②の2種類存在することになりました。
ただし、同じ食偏であっても、全ての漢字が2種類あるとは限りません。
たとえば、「飯」という字は明朝体にしてもこの形状のまま。
これは、戦後のGHQによる政策で、漢字を簡単にわかりやすくするという理由で「当用漢字」ができますが…。
その政策の中で、食偏の漢字を統一すべきだったものを、なぜか、統一された漢字と統一されない漢字を混在させてしまったようです…。
理由はわかりませんが、もしかしたら手違いだったのかもしれません。
3.「餅」と「餠」の2種類の漢字が存在する理由!
この「餅」と「餠」というように、2種類の漢字が存在する理由は…。
前項の「食偏」と同じで、「当用漢字」が関係しています。
元々は旧字体の「餠」が広く使われていたのですが…。
戦後のGHQの政策によって、「餅」の方が当用漢字として使われるようになりました。
当用漢字の制定によって、旧字体の「餠」の漢字の使用を制限しましたので、しばらくの間は「餅」という漢字しか使われなくなります。
その後、当用漢字はなくなって「常用漢字」が制定されました。
そして、現在「餅」と「餠」はどちらも常用漢字。
したがって、旧字体の「餠」が復活したわけです。
ちなみに常用漢字とは、「この範囲内で使いましょう」と国が定めた漢字のことで、使う漢字の目安のこと。
常用漢字以外は使用禁止ということではありません。
ただし、公用文などに関しては、常用漢字に限定されますので気をつけてください。
まとめ
以上が、「もち」の漢字についてでした。
「もち」の漢字は、全部で4種類ありますが、どれを使っても間違いではありません。
「食偏」が2種類、「つくり」も2種類ありますが、どっちも正しい漢字です。
「餠」は旧字体、「餅」は新字体。
そして、食偏については「明朝体」と「教科書体」のフォントによって漢字がかわってきます。