「廃止」と「撤廃」。
似ていて、まぎらわしいです…。
もしかして、同じ意味なのだろうか…???
しかし、「練習場を廃止する」とはいいますが、「練習場を撤廃する」となるなんとなく違和感が…。
ということは、「廃止」と「撤廃」には違いがあるということか??
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「廃止」と「撤廃」には確かな違いがありました!
本記事では、「廃止」と「撤廃」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「廃止」と「撤廃」の意味の違い!
最初に、「廃止」と「撤廃」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「撤廃」とは、予定していたことをやめること、また、それまであった制度・法規などをやめること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「廃止」の意味とは!
「廃止」は、やめて行わないこと。
つまりは、不用なものであるという判断のもと、やめてしまうことです。
やめてしまうことなので、意味が広くなります。
ですが、一般的にプライベートな物事に対して「廃止」を使うのは適していません。
たとえば、「頑張って筋トレを1年以上継続してきたが、今日を最後に廃止する」とはいいませんよね。
「廃止」の通常の使い方は、公の場で、しかも公に関係する物事に対して使います。
たとえば、「野球部の二か所ある屋内練習場のうち、一か所が廃止されることになった」といった使い方。
プライベートではなく、野球部という公のことに使っています。
②「撤廃」の意味とは!
「撤廃」は、予定していたことをやめること、また、それまであった制度・法規などをやめること。
ただ単にやめて行わない「廃止」よりも、様々な条件が加わります。
そして、大きな「廃止」があり、その意味の中に「撤廃」が含まれるということも覚えておいてください。
「撤廃」の「撤」という字は、「撤収」「撤退」という言葉があるとおり、引き上げるという意味があります。
つまり、進んでいたものを、引き上げるということ。
ですから「撤廃」は、「進んでいた物事に対し、考えが途中で変わりやめる」という意味で使われます。
「撤廃」の意味は、「予定していたことをやめること」と説明しましたが、これは予定実行に向けて進めてきたのに途中で考えが変わって取りやめるということ。
また、「それまであった制度・法規などをやめること」というのは、進めてきた制度を途中で不都合や時代にそぐわないといった考えに変わってやめるということです。
どちらも、「進んでいたものを、途中から引き上げる」ということができますよね。
たとえば、「ドラフト拒否選手に対する復帰制限の撤廃を要望した」「これまで進めてきた都市計画を撤廃する」といった使い方をします。
最初の方は、「これまで進めてきた制度を考え直して、やめてほしい」という意味で、後の方は「進めてきた計画を考え直してやめる」ということ。
ちなみに、この例文の「撤廃」を「廃止」に置き換えても違和感なく使うことができます。
「ドラフト拒否選手に対する復帰制限の廃止を要望した」
「これまで進めてきた都市計画を廃止する」
しかし、前項の例文「野球部の二か所ある屋内練習場のうち、一か所が廃止されることになった」の「廃止」を「撤廃」に置き換えるとどうなるか?
「野球部の二か所ある屋内練習場のうち、一か所が撤廃されることになった」
この練習場は、「進めるもの」ではなく、「進んでいたものを、途中で引き上げる」ということではありません。
ですから、「撤廃」では違和感のある文章になってしまいます。
それから、「撤廃」も「廃止」同様にプライベートな物事には使いません。
「頑張って筋トレを1年以上継続してきたが、今日を最後に撤廃する」
この筋トレは「進めてきた」自分自身に課した制度ですが、公のものではないため適していません。
③「廃止」と「撤廃」の違いを整理!
それでは、ここで一度「廃止」と「撤廃」の違いを整理します。
やめて行わないことが「廃止」。
意味が広いため、様々な物事対して使うことができます。
予定していたことをやめること、また、それまであった制度・法規などをやめることが「撤廃」。
進んでいた物事に対し、考えが途中で変わり引き上げる場面で使われます。
2.「廃止」と「撤廃」の辞書での意味!
続いて、辞書による「廃止」と「撤廃」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「廃止」の辞書での意味!
【廃止】
・今まであった制度・設備などをなくすこと。「虚礼―」「在来線の―」↔存置
引用元:旺文社国語辞典
この説明では、「制度」「設備」などに限定していますが…。
多くの辞書では、「やめて行なわないこと」となっています。
②「撤廃」の辞書での意味!
【撤廃】
・それまでの制度や法規などをとりやめること。「制限を―する」
引用元:旺文社国語辞典
これは、説明したとおりの内容です。
ただし、多くの辞書では上記の意味の他に「とりやめること」となっています。
「とりやめる」ということは、予定していたことをやめるという意味。
3.「廃止」と「撤廃」の使い方!
次に、「廃止」と「撤廃」の使い方を例文で紹介します。
①「廃止」の使い方!
・2020年シーズンは、F1ドライバーごとのタイヤ選択制の廃止が決定した。
・沖縄県教育委員会は30日、県立伊良部高校の廃止を承認した。
・年末に庁内のテレビで放映してきた知事あいさつも廃止する。
・昼間のみ停車していた陸上競技場西口停留所が廃止され、全便通過となります。
②「撤廃」の使い方!
・日本から輸出する自動車関税を段階的に下げ、2026年に撤廃することで一致した。
・マカオ当局との間で条件撤廃のため検疫協議を進めてきたが、このほど合意した。
・クリーンパワー計画の撤廃を提案するためのルール設定に関する告示を発表した。
・政府は、イベントに参加できる人数の制限を来月1日に撤廃する予定でした。
4.「廃止」や「撤廃」には似た意味の言葉がたくさんある!
「廃止」や「撤廃」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「廃止」と「撤廃」の意味の違いと使い分けについてでした。
「廃止」は、やめて行わないこと。
「撤廃」は、予定していたことをやめること、また、それまであった制度・法規などをやめること。
大きな「廃止」の意味があり、その中に「撤廃」の意味が含まれます。