「環境」と「状況」。
似ていて、紛らわしいですよね…。
たとえば、「事故現場の環境は?」ときかれた場合と、「事故現場の状況は?」ときかれた場合…。
その回答は、違ってくるのだろうか?
それとも、同じ…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「環境」と「状況」には決定的な違いがありました!
本記事では、「環境」と「状況」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「環境」と「状況」の意味の違い!
最初に、「環境」と「状況」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「状況」とは、移り変わる物事の、その時々の様子のこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「環境」と「状況」の違いをわかりやすく!
「環境」は、人間や生物を取り囲んでいる周りの世界のこと。
しかも、人間や生物に影響を与えます。
「状況」は、移り変わる物事の、その時々の様子のこと。
「環境」と「状況」の違いのポイントは「a.時間経過の概念の有無」と「b.影響を及ぼすかどうか」という2つ。
a.時間経過の概念の有無!
「状況」は移り変わる物事の様子ですので、時間経過の概念があります。
一方の「環境」は周囲の世界のことなので、移り変わりをあらわしているものではありません。
あくまでも、その時点の周囲の世界を切り取った一点をあらわすのが「環境」。
たとえば、「事故現場の現在の状況を教えてください」と「事故現場の現在の環境を教えてください」といった質問を受けたとしましょう。
「状況」の方は、「人がどんどん集まって来て、大変な騒ぎになっている。たった今救急車が到着しました」と言います。
物事の移り変わりが表現されており、時間の経過を感じ取れますよね。
これが「環境」になると、「道路が狭く信号もない上に、標識も見にくい場所にあり事故が起きても仕方がない環境だと思います」と言います。
この場合は、その時点を切り取った世界を表現しており、時間は動いていません。
b.影響を及ぼすかどうか!
「環境」の特徴は、周囲の世界がその人間や生物に対し影響を及ぼすということがあげられます。
「状況」には、影響を及ぼしたり、影響を受けるといった意味はありません。
たとえば、「事故現場の環境」を伝えた時に「道路が狭く信号もない上に、標識も見にくい場所にあり事故が起きても仕方がない環境だと思います」と言いましたよね。
この場合は、「狭い道路」「信号がない」「標識が見にくい」といった3つの要素が影響を及ぼして事故が起きたということです。
それから、「勉強に集中できる環境が整っている」といった使い方をしますが。
具体的には、「静かである」「勉強を邪魔する人がいない」「学校が近い」などといったことがあげられます。
この場合は、勉強する人に対し「集中できる」という影響を及ぼしています。
②「環境」の意味は広い!
「環境」の意味として中心となるのが、人間や生物でした。
ですが、その意味から派生して「コンピューターの状態」という意味で「環境」が使われるようになりました。
たとえば、「ウェブカメラ付きのノートパソコンで、インターネットは光回線です。テレワークには問題ありません」と言ったとしましょう。
こういったそれぞれが「コンピューターの状態」であり「環境」を指しています。
この「環境」は「パソコンの動作」に対し影響を及ぼしているのですが、よく考えるとそのパソコンを操作する「人」に影響を及ぼしているといってもよいのかもしれませんね。
③「環境」と「状況」の違いを整理!
それでは、ここで一度「環境」と「状況」の違いを整理します。
人間や生物を取り囲んでいる周りの世界のことで、その世界が人などに影響を与えるものが「環境」。
移り変わる物事の、その時々の様子が「状況」
「状況」は時間経過の概念がありますが、「環境」にはそういった概念はありません。
「環境」は人や生物に影響を及ぼしますが、「状況」にはそういった意味はありません。
2.「環境」と「状況」の辞書での意味!
続いて、辞書による「環境」と「状況」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「環境」の辞書での意味!
【環境】
・人間その他の生物を取り巻き、それと何らかの関係を持ち、影響を与えると考えられる外界。「家庭―」「―に左右される」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「状況」の辞書での意味!
【状況】
・物事の変化していく、その時その時のようす。「―判断」「―が変わる」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「環境」と「状況」の使い方!
次に、「環境」と「状況」の使い方を例文で紹介します。
①「環境」の使い方!
・母子家庭に限らず子育て中の母親が働ける環境はまだあまり整っていない。
・弟との確執や複雑な家庭環境が今回の事件に大きな影響を与えているのではないか。
・災害時に住民が安全に避難する環境づくりを進める「逃げ遅れゼロ宣言」を発表した。
・高速かつ安定したインターネット環境へのニーズが高まっている。
②「状況」の使い方!
・離れて暮らす家族が、肉親の葬儀に参列することもできない状況が続いている。
・西宮下中妻線整備事業について、現在の進捗状況をご報告いたします。
・この先どのような状態になるのか、まだ予断は許さない状況です。
・リアルな市況をつかむには、中古物件の流通状況を見極めるのが一番早いといわれる。
4.「環境」や「状況」には似た意味の言葉がたくさんある!
「環境」や「状況」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「環境」と「状況」の意味の違いと使い分けについてでした。
「環境」は、人間や生物を取り囲んでいる周りの世界のことで、人間や生物に影響を与えるもののこと。
「状況」は、移り変わる物事の、その時々の様子のこと。
影響の有無と、時間経過の有無が違いのポイントです。