「配慮」と「注意」。
この2つの言葉、似ていてまぎらわしいですよね…。
全く同じような意味で使われることもあります。
たとえば、「健康に注意する」と「健康に配慮する」といった具合。
…、この場合は同じ意味なのか…??
でも、「環境に配慮する」とはいいますが、「環境に注意する」となると何だか違和感をおぼえます。
ということは、「配慮」と「注意」は完全に意味が異なるということか…??
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「配慮」と「注意」には確かな違いがありました!
本記事では、「配慮」と「注意」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「配慮」と「注意」の意味の違い!
最初に、「配慮」と「注意」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「注意」とは、気を付けること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「配慮」の意味とは!
「配慮」は、他の人や他の物事に対し心を配ること。
誰に対してなのか?という部分が「注意」との違いのポイントになります。
「配慮」の場合は、必ず自分以外の「人」や「物事」に対して心を配るということ。
しかも、「心を配る」ということは、その気持ちに「思いやり」がなくてはいけません。
ただ単に相手を気に留めるだけではなく、思いやって心を配るのが「配慮」です。
たとえば、「体調が悪い同僚に配慮して、彼の仕事を手伝った」といった使い方をします。
この例文では、自分ではなく「同僚」に対して思いやって心を配っていますよね。
「人」以外では、「地球環境に配慮して、フロンガスを処理する」といった使い方。
この場合は、「地球環境」に対して心を配っています。
あと、冒頭で紹介した「健康に配慮して生活する」という使い方も。
ところで、「配慮は自分以外の人に心を配ることなのに、健康は自分ことでは?」と思いますよね…。
しかしこの場合は、好き放題したい自分の「意識」と、大切にすべき「体」ということで、別物という扱いになります。
②「注意」の意味とは!
「注意」は、気を付けること。
「配慮」とは違い、「誰に対して」という定義はありません。
さらに「思いやり」「心配り」の気持ちも不要です。
ただ単に、「気を付ける」「気を配る」「意識を向ける」ことが「注意」。
ですから、「配慮」よりもハードルが低くなります。
「配慮」に至るまでの前段階が「注意」ということもできますね。
たとえば、「アサガオの成長を注意して観察する」といった使い方をします。
この例文の「注意」を「配慮」にするとどうなるか?
「アサガオの成長を配慮して観察する」となり、少し変ですよね…。
ただし前項で紹介した「健康」は、「健康に注意して生活する」と「健康に配慮して生活する」というようにどちらも違和感がない場合もあります。
ですが意味には若干の相違があり、前者は「健康に気を付ける」で、後者が「体を思いやって心を配る」ということ。
ついでに前項で紹介した、「体調が悪い同僚に配慮して、彼の仕事を手伝った」「地球環境に配慮して、フロンガスを処理する」の「配慮」を「注意」に置き換えてみましょう。
「体調が悪い同僚に注意して、彼の仕事を手伝った」
「地球環境に注意して、フロンガスを処理する」
何となく、おかしな文章になりました。
それから、「注意」には他の意味もあります。
それは、「気を付ける」「気を配る」「意識を向ける」をさらに強めた「警戒」「用心」「集中」という意味。
たとえば、「車に注意して横断する」といった使い方をします。
また、他人に対する「忠告」という意味もあります。
「自分のミスに気付いていないため、注意した」といった使い方をする「注意」ですね。
③「配慮」と「注意」の違いを整理!
それでは、ここで一度「配慮」と「注意」の違いを整理します。
他の人や他の物事に対し心を配ることが「配慮」。
自分以外の人や物事に対して、思いやって心を配ります。
そして、気を付けることが「注意」。
誰に対してという定義はなく、ただ「気を付ける」「気を配る」「意識を向ける」ことが「注意」です。
2.「配慮」と「注意」の辞書での意味!
続いて、辞書による「配慮」と「注意」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「配慮」の辞書での意味!
【配慮】
・心をくばること。心づかい。「―に欠ける」「相手の気持ちを―する」
引用元:旺文社国語辞典
ほぼ説明したとおりの内容ですが、「誰に対して」という記載は特にありません。
②「注意」の辞書での意味!
【注意】
①心をとめること。心を集中すること。「虫の生態を―して観察する」
②気をつけるよう戒めること。忠告。「厳重に―する」
③用心。警戒。「火の始末に―を怠らない」「不―」
④[心]意識作用を集中すること。
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
「注意」は意味が広く、幅広く使われています。
3.「配慮」と「注意」の使い方!
次に、「配慮」と「注意」の使い方を例文で紹介します。
①「配慮」の使い方!
・このタイヤは、アイス路面での性能が長持ちするよう配慮されている。
・2020年度卒業予定者などの就職・採用活動への配慮を行うよう、関係団体に要請した。
・障害者や高齢者といった特別な配慮が必要な人を受け入れる施設。
・報道機関にも、患者のプライバシー保護に十分な配慮をいただくことをお願いする。
②「注意」の使い方!
・パスワードの漏洩などから生じた損害については保証いたしませんのでご注意下さい。
・沖縄のビーチでオコゼが捕獲されたことから児童らに注意を促す。
・作業開始時期によってマニュアルが異なりますので、ご注意ください。
・子どもが飛び出してくる危険もあるので、行動をよく観察し注意を払いましょう。
4.「配慮」や「注意」には似た意味の言葉がたくさんある!
「配慮」や「注意」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「配慮」と「注意」の意味の違いと使い分けについてでした。
「配慮」は、他の人や他の物事に対し心を配ること。
「注意」は、気を付けること。
「誰に対してか」という部分と、「思いやり」の有無が「配慮」と「注意」の違いのポイントです。