「懸念」と「心配」。
意味が似ていますよね…。
ちなみに、辞書を調べてみたらほとんど同じような内容が載っていました…。
でも、「帰ってこない息子を心配する」とはいいますが、「帰ってこない息子を懸念する」っていいませんよね…。
これはおそらく、「懸念」と「心配」には何らかの違いがあるということ…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「懸念」と「心配」には微妙な違いがありました!
本記事では、「懸念」と「心配」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「懸念」と「心配」の意味の違い!
最初に、「懸念」と「心配」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「心配」とは、気にかかって不安に思うことで、公の場で使う他に個人的な心情をあらわす時に使う言葉。
また「心配」には、世話をすることという意味もあります。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「懸念」と「心配」の違いをわかりやすく!
「懸念」と「心配」は、どちらも気にかかって不安に思うこと
言葉の意味自体に違いはありません。
ですが、「使い方」には違いが存在します。
それは、「懸念」は主に公の場で使う言葉であり、「心配」は公の場で使う他に個人的な心情をあらわす言葉ということ。
たとえば、豪雨による被害が予想される場合。
「懸念」は、「浸水の被害を懸念する」といった使い方をします。
「心配」の方は、「浸水の被害を心配する」といった使い方。
これ、どちらも浸水が気にかかって不安に思うことなのですが…。
「懸念」の方はなんとなく「他人事」であり、「心配」は「家主本人の気持ち」という印象を受けませんか?
印象のとおり「懸念」は公の場で、人に伝えることを主な目的としている言葉なのです。
ですから、新聞やテレビ、会社の会議などで使われことが多いのが「懸念」。
一方の「心配」は、「懸念」と同様の使い方をする他に、個人的な気持ちをあらわす意味としても使われます。
具体的には、「小学生の息子が、いつまで経っても帰ってこないため心配する」といった使い方をしますが、これは親の気持ちですよね。
ちなみに、この例文を「懸念」に置き換えると、「小学生の息子が、いつまで経っても帰ってこないため懸念する」となります。
親個人の気持ちをあらわす意味では、若干の違和感をおぼえます…。
さらに、これがテレビで「子供が行方不明」というニュース報道された場合はどうなるか?
その場合は、親の気持ちを表現する時は「親は心配している」となりますし、親の気持ちではない場合は「安否が懸念される」となります。
ただし「心配」は、「懸念」と同様に公の場で、しかも心情以外でも使うことが可能。
ですから、「安否が懸念される」は「安否が心配される」と報道されることもあります。
②「心配」だけの独自の意味とは!
「心配」には、気にかかって不安に思うこと以外に、世話をすることという意味もあります。
たとえば、「近所の孫が食事の心配をしてくれる」といった使い方をする「心配」。
これは、孫が食事の世話をしてくれるという意味です。
つまりは「気にかかって不安に思う」から、その不安を解消するために「行動」まで発展したということ。
あとは、「運営資金を心配してやった」といった使い方もします。
これも、お金の世話をするという意味。
ですが、この「世話をすることと」という意味はあまり使われません…。
③「懸念」と「心配」の違いを整理!
それでは、ここで一度「懸念」と「心配」の違いを整理します。
「懸念」と「心配」は、どちらも気にかかって不安に思うこと。
ですが、公の場では主に「懸念」を使い、個人的な心情をあらわす時は適しません。
そして「心配」は、公の場で使うことも可能であり、さらに個人的な心情をあらわす時にも適しています。
それから「心配」には、世話をすることという意味もあります。
2.「懸念」と「心配」の辞書での意味!
続いて、辞書による「懸念」と「心配」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「懸念」の辞書での意味!
【懸念】
①気にかかって不安に思うこと。「先行きに―をいだく」「安否が―される」
②[仏]執念。
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容ですね。
意味②は説明しませんでしたが、仏教用語で「執念」の意味もあるそうです。
②「心配」の辞書での意味!
【心配】
①気にかけて思いわずらうこと。気がかり。「―のたね」「子供を―する」
②世話をすること。斡旋すること。「就職の―をする」
引用元:旺文社国語辞典
意味が2つあり、内容も説明どおりです。
3.「懸念」と「心配」の使い方!
次に、「懸念」と「心配」の使い方を例文で紹介します。
①「懸念」の使い方!
・感染拡大で国内の経済活動への影響が強まることを懸念し、売り注文が膨らんでいます。
・部活動を休止しているため、体力低下や練習不足が懸念されると説明した。
・職業従事者の移動や物流などに悪影響が出る懸念がある。
・春の雪どけ水が少なくなることによる農業用水不足も懸念される。
②「心配」の使い方!
・世界文化遺産だけに、今後がどうなっていくのか心配です。
・夜になっても井土さんと連絡がとれなかったため、心配した家族が警察に捜索願を提出。
・最大震度4を観測する地震が発生しましたが、この地震による津波の心配はありません。
・しかし、市の担当者はある心配を抱えていました。
4.「懸念」や「心配」には似た意味の言葉がたくさんある!
「懸念」や「心配」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「懸念」と「心配」の意味の違いと使い分けについてでした。
「懸念」は、気にかかって不安に思うことで、主に公の場で使う言葉。
「心配」は、気にかかって不安に思うことで、公の場で使う他に個人的な心情をあらわす時に使う言葉。
「母親の体を心配する」といいますが、「母親の体を懸念する」となると変ですよね…。
個人の心情は「心配」が適しています。
また「心配」には、世話をすることという意味もあります。