「考慮」と「留意」。
似ていますよね…。
使う場面も似ていてまぎらわしいです…。
たとえば、「○○について留意してください」「○○について考慮してください」といった具合。
この場合、何がどのように違うのだろう…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「考慮」と「留意」には明確な違いがありました!
本記事では、「考慮」と「留意」の意味の違いと使い分けについて、例文でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「考慮」と「留意」の意味の違い!
最初に、「考慮」と「留意」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「留意」とは、ある物事に心をとどめること、また、気をつけること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「考慮」の意味とは!
「考慮」は、物事の判断や行動の前に、いろいろな要素を含めて考えること。
前提に、物事の判断や行動があります。
その判断や行動をする前に、「それは正しい判断なのか?」「間違った行動ではないのか?」とよく考えることが「考慮」。
しかも、その考える上で大切なことが、いろいろな要素を合わせるということです。
たとえば、他人の意見を参考にしたり、物事を違った方向から見たりといったこと。
具体的には、ミュージカルのオーディションで「彼女は、歌唱力は今一つですが、優れた英語のスキルや抜群の演技力などを考慮して採用した」といった使い方。
この場合は、オーディションの選考という「判断」が前提にあります。
そして、「歌唱力」「英語のスキル」「演技力」という3つの要素について考えて決めたということ。
つまりは、「判断」するために「いろいろな要素」を「考えた」ということです。
これが「考慮」ですね。
②「留意」の意味とは!
「留意」は、ある物事に心をとどめること、また、気をつけること。
「留意」は、「考慮」のように「よく考える」必要がありません。
ただ、心にとどめる、気をつけるだけでよいのです。
たとえば、「館内では携帯電話をマナーモードにするなど、以下の点にご留意ください」といった使い方。
これは、「以下の点を心にとどめてください」という意味。
「以下の点」の1つは、「携帯電話をマナーモードにする」ということです。
この例文の「留意」を「考慮」に置き換えると、「館内では携帯電話をマナーモードにするなど、以下の点にご考慮ください」となります。
この場合は、「館内での行動」が前提となり、「館内での行動は、いろいろな要素を含めてよく考えてください!」といっていますが…。
そもそも、考える必要などないことなので、「考慮」はふさわしくありません。
ちなみに、この「留意」は「注意」と似ていますが、「気をつける」度合いに違いがあります。
「注意」は「警戒」「用心」に近いものがありますが、「留意」は心にとどめる程度。
しかも、他人から「注意してください」、または「留意してください」と言われた時に、「留意」の方がやわらかくなります。
③「考慮」と「留意」の違いを整理!
それでは、ここで一度「考慮」と「留意」の違いを整理します。
物事の判断や行動の前に、いろいろな要素を含めて考えることが「考慮」。
ある物事に心をとどめること、また、気をつけることが「留意」。
使う場面は似ていますが、「考慮」は考えることで、「留意」は心にとどめることです。
2.「考慮」と「留意」の辞書での意味!
続いて、辞書による「考慮」と「留意」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「考慮」の辞書での意味!
【考慮】
・何かを判断したり実施したりするに際して、種々の要素や条件を考え合わせること。「―の余地がある」「―に入れる」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「留意」の辞書での意味!
【留意】
・心にとどめること。気をつけること。「健康に―する」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「考慮」と「留意」の使い方!
次に、「考慮」と「留意」の使い方を例文で紹介します。
①「考慮」の使い方!
・来年7月に開催予定の東京五輪を考慮して、入国制限の緩和を検討する。
・お客様の健康および安全を最優先に考慮し、イベントの開催を中止します。
・こんにゃくとの相性を考慮し、和風仕立てのスープに仕上げました。
・いろんな消しゴムを見てきたが、肌当たりを考慮した消しゴムは初めて。
②「留意」の使い方!
・緑の党が欧州レベルの広がりを持つことにも留意すべきである。
・セキュリティに留意したオンライン会議を行う際のポイントとチェックリスト。
・業種ごとの感染拡大予防ガイドラインに関する留意点とは。
・業績は、環境の変化により実際の結果と異なる可能性もあることにご留意ください。
4.「考慮」や「留意」には似た意味の言葉がたくさんある!
「考慮」や「留意」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「考慮」と「留意」の意味の違いと使い分けについてでした。
「考慮」は、物事の判断や行動の前に、いろいろな要素を含めて考えること。
「留意」は、ある物事に心をとどめること、また、気をつけること。
「考慮」は、「留意」に比べると、よく考えなくてはいけないので労力が必要です。