「延長」と「延伸」。
似ていますよね…。
もしかして同じ意味なのだろうか…。
確かに「距離の延長」といいますし、「距離の延伸」ともいいます…。
でもよく考えると、「接待ゴルフは仕事の延長だ」とはいいますが、「接待ゴルフは仕事の延伸だ」とはいわないような…。
ということは、「延長」と「延伸」には違いがあるということか??
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「延長」と「延伸」には決定的な違いがありました!
本記事では、「延長」と「延伸」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「延長」と「延伸」の意味の違い!
最初に、「延長」と「延伸」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「延伸」とは、距離・時間・期間などをのばすことで、一続きのものという意味はありません。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「延長」の意味とは!
「延長」は、距離・時間・期間などをのばすこと。
ただし「延長」には、物事に対する一続きのものという意味もあります。
まずは「延長」の、距離・時間・期間などをのばすことから、わかりやすく解説していきますね。
距離・時間・期間といいましたが、全てその「始まり」と「終わり」があるものに限定されます。
距離であれば「起点」と「終点」、時間であれば「開始時間」と「終了時間」、期間であれば「開始日」と「終了日」という具合。
その、「始まり」と「終わり」の間が長くなるということが「延長」なのです。
たとえば、実際の使い方は以下のとおり。
「通信距離を延長するための対策」(距離)
「試合が続いているため、放送時間を延長する」(時間)
「工事期間を延長する」(期間)
といった使い方をします。
ちなみに、「始まり」である「開始日」だけを、後ろにのばす場合は「延長」とはいいません。
この場合は「延期」になります。
続いて、もう一つの「延長」の意味である、物事に対する一続きのものという意味を説明します。
具体的には、「修学旅行は遊びではなく、授業の延長だ」といった使い方をする「延長」。
この「延長」は、距離や時間をのばす意味ではなく、修学旅行と授業は一続きのものという意味です。
あとは、「接待ゴルフは仕事の延長だ」といった使い方もしますよね。
この意味は「延伸」にはありません。
②「延伸」の意味とは!
「延伸」は、距離・時間・期間などをのばすこと。
この意味は「延長」と全く同じで、「始まり」と「終わり」の間をのばす意味で使われる言葉です。
ですから、前項の例文の「延長」を「延伸」に置き換えることが可能。
「通信距離を延長するための対策」は、「通信距離を延伸するための対策」ともいいます。
「試合が続いているため、放送時間を延長する」を「試合が続いているため、放送時間を延伸する」でもよいのですが…。
この場合は「延長」が定着しきっているために、若干の違和感はあります…。
「工事期間を延長する」は、「工事期間を延伸する」で違和感はありません。
「延伸」には、「延長」のように一続きのものという意味はありません。
そんなわけで、「修学旅行は遊びではなく、授業の延長だ」を「修学旅行は遊びではなく、授業の延伸だ」とはいいません。
③「延長」と「延伸」の違いを整理!
それでは、ここで一度「延長」と「延伸」の違いを整理します。
「延長」と「延伸」は、どちらも距離・時間・期間などをのばすこと。
この部分は、お互いの共通の意味です。
ただし「延長」には、物事に対する一続きのものという意味がありますが、「延伸」にはこの意味はありません。
2.「延長」と「延伸」の辞書での意味!
続いて、辞書による「延長」と「延伸」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「延長」の辞書での意味!
【延長】
1長さや期間を延ばすこと。また、延びること。「会期を延長する」⇔短縮。
2足し合わせた全体の長さ。「延長二万キロに及ぶ航空路線」
3ひと続きのもの。つながるもの。「仕事を遊びの延長とする人」
4数学で、線分を、それを含む直線上の両方向または一方向へ、より長く延ばすこと。
5哲学で、物体が空間を占める存在の様式。延長を物体の本性として物そのものに帰属させる立場(デカルト)と、純粋直観の形式として主観に帰属させる立場(カント)とがある。広がり。
6「延長戦」の略。「同点のまま延長に入る」
引用元:デジタル大辞泉
意味1と3については、説明したとおりの内容です。
意味2は説明しませんでしたが、総距離のことでこの意味も「延伸」にはありません。
その他は、「数学用語」や「哲学用語」などもありますので、頭の片隅にでも置いておいてください。
②「延伸」の辞書での意味!
【延伸】
・時間や距離などをのばすこと。また、のびること。延長。
引用元:デジタル大辞泉
こちらは、説明どおりですね。
「延長」と共通の意味です。
3.「延長」と「延伸」の使い方!
次に、「延長」と「延伸」の使い方を例文で紹介します。
①「延長」の使い方!
・パートナーシップを2023年まで延長できたことは素晴らしいニュースです。
・テレワークになることで、かえって労働時間延長となっている実状。
・USB機器の接続距離を最大500メートルまで延長できるエクステンダーを発売した。
・コンサルするのも、ブログを書くのも、僕のとっては「遊び」の延長線上にある。
②「延伸」の使い方!
・延伸工事が進む北海道新幹線は、新函館北斗―札幌間212kmに4駅が建設される。
・休校期間延伸に伴い、本校への問い合わせ対応時間を以下のように変更します。
・工期を平成29年8月から平成32年5 月末まで延伸いたします。
・自立して生活できる「健康寿命」をいかに延伸できるかについて関心が高まっている。
4.「延長」や「延伸」には似た意味の言葉がたくさんある!
「延長」や「延伸」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「延長」と「延伸」の意味の違いと使い分けについてでした。
「延長」は、距離・時間・期間などをのばすこと、また、物事に対する一続きのものという意味もあります。
「延伸」は、距離・時間・期間などをのばすことで、一続きのものという意味はありません。
ほぼ同じ意味ではありますが、「一続きもの」という意味の有無が違いのポイントです。