「苦難」と「困難」。
似ていますよね…。
しかも、「苦難を乗り越える」ともいいますし、「困難を乗り越える」ともいいます…。
なんとなく、どちらも同じ意味のような感じが…。
違いはあるのだろうか…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「苦難を乗り越える」と「困難を乗り越える」では、指している物事に違いがありました!
本記事では、「苦難」と「困難」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「苦難」と「困難」の意味の違い!
最初に、「苦難」と「困難」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「困難」とは、やり遂げるのが非常に難しいこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「苦難」の意味とは!
「苦難」は、心身の苦しみのこと。
「困難」は「難しい」ですが、「苦難」は「苦しい」です。
たとえば、「苦難を乗り越えて、太平洋をヨットで横断した」といった使い方をします。
この場合の「苦難」とは、具体的には「荒波」とか「暴風雨」といった「苦しみ」のこと。
ヨットで海の真っ只中にいる時、悪天候は辛いですよね…。
こういった、心や体に降りかかる「辛さ」「苦しさ」が「苦難」です。
②「困難」の意味とは!
「困難」は、やり遂げるのが非常に難しいこと。
「苦難」は「苦しい」でしたが、「困難」は「難しい」です。
わかりやすい例を紹介すると、「太平洋を泳いで横断するのは困難だ」といった使い方。
太平洋を泳いで渡るというのは、「非常に難しい」ですよね…。
普通は体力が持ちません…。
これが「困難」です。
それから、前の項目で紹介した「苦難を乗り越えて、太平洋をヨットで横断した」という例文。
この「苦難」を、「困難」に置き換えると以下のようになります。
「困難を乗り越えて、太平洋をヨットで横断した」
これでも、違和感はありません。
つまり、「太平洋をヨットで横断」することは、簡単にやり遂げられることではなく非常に難しいことだからです。
したがって、「困難」も使えるということ。
ですが、「苦難」と「困難」では、同じ「ヨットでの横断」であっても、指している物事は同じではありません。
「苦難を乗り越えて、太平洋をヨットで横断した」の場合は「暴風雨」などの「苦しみ」のこと。
「困難を乗り越えて、太平洋をヨットで横断した」の場合は「やり遂げることの難しさ」を指しています。
③「苦難」と「困難」の違いを整理!
それでは、ここで一度「苦難」と「困難」の違いを整理します。
心身の苦しみが「苦難」。
やり遂げるのが非常に難しいのが「困難」。
苦しみを乗り越えるのが「苦難を乗り越える」で、難しさを乗り越えるのが「困難を乗り越える」です。
2.「苦難」と「困難」の辞書での意味!
続いて、辞書による「苦難」と「困難」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「苦難」の辞書での意味!
【苦難】
・心身の苦しみ。難儀。「―に耐える」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりです。
②「困難」の辞書での意味!
【困難】
・やりとげるのが非常にむずかしいこと。また、そのさま。「解決が―な問題」「―を極める」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
3.「苦難」と「困難」の使い方!
次に、「苦難」と「困難」の使い方を例文で紹介します。
①「苦難」の使い方!
・リコールなど数々の苦難を乗り越え、売上高営業利益率は2ケタに上昇している。
・その後従業員から未払い残業代を求める訴訟もあり、会社は苦難に陥った。
・真珠湾攻撃の後、米国では多くの日系人が強制収容され苦難を強いられた。
・あのときの苦難や逆境が自分を成長させてくれた。
②「困難」の使い方!
・育児に困難を抱える親は、「自己肯定感」の低さが深く関わっているのではないか?
・非常に複雑なピースに「最適解」を見出すのは困難だ。
・失明という思いもかけない困難に遭遇して精神のバランスを崩す。
・歩行困難などの症状のため、都内の病院に入院した。
4.「苦難」や「困難」には似た意味の言葉がたくさんある!
「苦難」や「困難」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「苦難」と「困難」の意味の違いと使い分けについてでした。
「苦難」は、心身の苦しみのこと。
「困難」は、やり遂げるのが非常に難しいこと。
腰が痛くて立てない場合、「腰痛」という「苦難」があり、「立つのが難しい」という「困難」があります。