「実感」と「痛感」。
似ています…。
確かに「厳しさを実感する」といいますし、「厳しさを痛感する」ともいいますよね…。
ですが、よく考えると「まだ実感がない」とはいいますが、「まだ痛感がない」とはいいません。
ということは、「実感」と「痛感」には違いがあるということか?
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「実感」と「痛感」には確かな違いがありました!
本記事では、「実感」と「痛感」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「実感」と「痛感」の意味の違い!
最初に、「実感」と「痛感」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「痛感」とは、強く心に感じとること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「実感」の意味とは!
「実感」は、実際の物事などに接して感じること。
「実感」の意味のポイントは、「実際の物事」という部分。
ですから、実際の物事に接して、そのことを自分がどのように感じとるのかということが「実感」です。
つまり、「実際の物事」と「それに対する感じ方」が必ずリンクしているということ。
「実感」という言葉を使う際は、必ず前提に「実際の物事」があるのです。
たとえば、「就職して、社会の厳しさを実感する」といった使い方をします。
この場合は、「就職」が「実際の物事」。
そして、「社会の厳しさ」ということが「感じとったもの」ですね。
必ず、「実際の物事」と「感じる」がセットになります。
あとは、「役職に就任したといっても、まだ人づてに聞いただけなので実感がない」といった使い方も。
この例文は、「実際の物事」として「役職への就任」があり、そのことに対して「どのように感じているのか」という例文。
この場合は、まだ又聞きの状態なので感じるものは何もないということを言っています。
②「痛感」の意味とは!
「痛感」は、強く心に感じとること。
「痛感」の意味のポイントは、「強く心に」という部分。
「強く心に」ということは、ただ感じるだけではなく、「身にしみるほど感じる」ということです。
そもそも「痛感」は、「いたい」の「痛」と「かんじる」の「感」という字の組み合わせ。
つまりは、「痛い」ほど「感じる」ということです。
そして、「痛く感じる」とはどういうことか?ですが、これは「負の感情」のこと。
自分の「マイナスの気持ち」ということですね。
また、「感じる」ということは、必ず何か実際の物事がきっかけになります。
ですから、「痛感」の場合も「実際の物事」というきっかけが存在するということ。
ただし「実感」の場合は、「ある実際の物事」ということと、「その物事に対してどう感じるか」といったものでした。
ですが「痛感」に関しては、「実際の物事」と「それに対する感じ方」を必ずリンクさてその思いを表現するものではありません。
ただし、リンクさせてはいけないというものではありませんよ。
実際の使い方を、例文に当てはめてみますね。
前項で紹介した、「就職して、社会の厳しさを実感する」の「実感」を「痛感」に置き換えてみましょう。
「就職して、社会の厳しさを痛感する」ということで、違和感なく使うことができます。
この場合は「社会の厳しさ」ということで「負の感情」なので置き換えることができます。
しかも「痛感」の場合は、「実感」よりも強く、身にしみて感じるということ。
そして、この例文は「実際の物事」と「感じる」ことがリンクしています。
ただし、「役職に就任したといっても、まだ人づてに聞いただけなので実感がない」は「実感」を「痛感」に置き換えることはできません。
その理由は、「実感がない」ということは、「負の感情」どころか何も感じていないから。
したがって、「役職に就任したといっても、まだ人づてに聞いただけなので痛感がない」とはいいません。
あとは、「ありがたみを痛感する」「大切さを痛感する」といった使い方もします。
これは「負の感情」ではないのでは?と思うかもしれませんが、実は違いますよ。
この感情は「ありがたみ」や「大切さ」を、もっと強く、またはもっと早く感じなくてはいけなかったものを、今まで気付かないでいたという感情。
要するに、「後悔」「残念」「惜しむ」に似た「負の感情」です。
③「実感」と「痛感」の違いを整理!
それでは、ここで一度「実感」と「痛感」の違いを整理します。
実際の物事などに接して感じることが「実感」。
「実際の物事」に対して「どう感じるか」という、「物事」と「感じる」がリンクします。
そして、強く心に感じとることが「痛感」。
「痛く感じる」ということで、「負の感情」を表現する言葉です。
しかも、それをより強く、身にしみるほど感じるのが「痛感」です。
2.「実感」と「痛感」の辞書での意味!
続いて、辞書による「実感」と「痛感」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「実感」の辞書での意味!
【実感】
・実際の物事や情景に接したときに受ける感じ。また、それを感じること。「まだ―がわかない」「国民性の違いを―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「痛感」の辞書での意味!
【痛感】
・強く心に感じとること。身にしみて感じると。「自分の力不足を―する」
引用元:旺文社国語辞典
「負の感情」という説明はありません。
ですが、「よろこびを痛感する」「うれしさを痛感する」というように、プラスの感情に「痛感」はふさわしくありません。
3.「実感」と「痛感」の使い方!
次に、「実感」と「痛感」の使い方を例文で紹介します。
①「実感」の使い方!
・珍しく大雪が降り、久々にスタッドレスタイヤの必要性を実感した。
・4月から新学年となったが、なかなか実感がわかない。
・恋愛を通じて、初めて「結婚」「将来」という言葉の意味を実感した男性もいる。
・辛いトレーニングを重ねてきたが、昨日の試合で初めてその成果を実感した。
②「痛感」の使い方!
・上司と部下の間に挟まれ、自身の無力さを痛感する日々を過ごしていた。
・料理研究家といえども毎回食事を作ることの大変さも痛感している。
・自分自身が決め切れなかった悔しさもあったし、自分の実力のなさも痛感した。
・コントロールも直球も、全てにおいて力不足だと痛感しました。
4.「実感」や「痛感」には似た意味の言葉がたくさんある!
「実感」や「痛感」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「実感」と「痛感」の意味の違いと使い分けについてでした。
「実感」は、実際の物事などに接して感じること。
「痛感」は、強く心に感じとること。
「アトラクションを経験し、楽しさを実感する」とはいいますが、「アトラクションを経験し、楽しさを痛感する」だと違和感がうまれます…。