「請求」と「要求」。
すごく似ています…。
「求める」の「求」という字が共通点ですが…何がどう違うのか?
「金銭を請求する」ともいいますし、「金銭を要求する」でもありそうな…。
でも、よく考えたら「誘拐犯が金を要求する」とはいいますが…。
「誘拐犯が金を請求する」だと、なんとなく違和感を覚えます…。
ということは、「請求」と「要求」には何らかの違いがあるということか…???
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「請求」と「要求」には意外な違いがありました!
本記事では、「請求」と「要求」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「請求」と「要求」の意味の違い!
最初に、「請求」と「要求」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「要求」とは、相手に対し、強く求めること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「請求」の意味とは!
「請求」は、相手に対し、当然の権利として金銭や物などを自分に与えるように求めること。
「相手に対して求める」という部分では、「要求」と同じです。
ですが、「請求」の場合は主に「金銭」や「物」を「私にください」と求めること。
「請求」には「行為」を求めるという意味もありますが、特に「金銭」や「物」が対象となります。
しかも、この「請求」は基本的に「当然の権利」を持っている場合に使われる言葉。
たとえば、何かを購入してその代金の支払いが済んでいなかった場合、販売者は購入者に対して代金の支払いを求める権利があります。
この時に、「販売者」が「購入者」に代金の支払いを求めること、それが「請求」。
「請求書」といった書類を、支払者に渡します。
ちなみに、これが当然の権利がなかった場合はどうなるか。
たとえば、「架空請求」や「不当請求」といった言葉があります。
「請求」する権利がないにもかかわらず、相手に金品を求めますので、本来は「請求」してはいけません。
ですから、「架空請求」や「不当請求」は犯罪になる可能性があります。
もちろん、「誘拐犯が金を請求する」だと変ですよね…。
②「要求」の意味とは!
「要求」は、相手に対し強く求めること。
この「求めるもの」の中には、「金銭」や「物」も含まれます。
したがって、「要求」の意味の中には「請求」が含まれるということ。
大きな「要求」があり、その中に「請求」が含まれるのです。
「要求」で「求めるもの」は幅が広くなります。
たとえば、「職場の環境を改善するように要求した」といったとしましょう。
この場合は、相手により良い「環境」を求めています。
また、「委員長に対し辞任を要求する」といった場合。
これは、相手に辞任という「行為」を求めています。
それから、「請求」の対象となる金品も当てはまります。
たとえば、「金銭を要求する」といいますし、「残業手当を要求する」といった使い方も。
ということで、「要求」は相手に対し求めることなのですが、その対象の幅はかなり広くなります。
また、「要求」の場合は、基本的に権利の有無は関係ありません。
ですから、「誘拐犯が金を要求する」でも違和感なく使えます。
③「請求」と「要求」の違いを整理!
それでは、ここで一度「請求」と「要求」の違いを整理します。
相手に対し、当然の権利として金銭や物などを自分に与えるように求めることが「請求」。
相手に対し、強く求めることが「要求」。
「要求」の意味の中に「請求」が含まれます。
ですから、金銭を求めることは「請求」ですが、「要求」といっても間違いではありません。
2.「請求」と「要求」の辞書での意味!
続いて、辞書による「請求」と「要求」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「請求」の辞書での意味!
【請求】
・(正当な権利として)金銭や物を要求すること。「―書(=代金の支払いを求める文書)」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですが、「請求」は「相手に行為を求める」という意味もあります。
この意味は、辞書によっては記載されていないものもあるようです。
②「要求」の辞書での意味!
【要求】
・当然のこととして自分に与えるよう求めること。また、必要とすること。欲しがること。「―を通す」「人員を―する」「時代が―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
3.「請求」と「要求」の使い方!
次に、「請求」と「要求」の使い方を例文で紹介します。
①「請求」の使い方!
・退職した従業員から残業代請求が増える可能性がでてくる。
・「収納代行」を悪用した新たな架空請求詐欺の手口が急増している。
・毎月の請求書発行や顧客管理をミスなく漏れなく行う。
・印鑑の押印がない請求書の使用は認められるのか?
・請求書をスキャンするだけで仕訳データへの変換が瞬時にできるサービス。
②「要求」の使い方!
・「新しい体制をつくるべきだ」といった経営トップの辞任要求が強まっている。
・人事権をちらつかせて大幅利下げを再び要求した。
・組織委はその状況において合理的な変更を考慮するようにIOCに要求できる。
・「金を出せ」と現金を要求し、レジから現金約2万円を奪って逃走した。
・上下関係を利用した不当な要求は、職場環境に影響するおそれがある。
4.「請求」や「要求」には似た意味の言葉がたくさんある!
「請求」や「要求」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「請求」と「要求」の意味の違いと使い分けについてでした。
「請求」は、相手に対し、当然の権利として金銭や物などを自分に与えるように求めること。
「要求」は、相手に対し、強く求めること。
どちらも「相手に求めること」ですが、「請求」は対象が限定的で、「要求」は幅広く使えます。
また「請求」は、厳密には「相手に行為を求める」という意味もあります。
ただし、この「相手に行為を求める」という意味は辞書によっては記載されていません。