「指示」と「教示」。
まぎらわしいです…。
たとえば、上司に対して「ご指示ください」ということもありますし、「ご教示ください」ということも…。
どちらであっても、上司は答えてくれますが…。
よくよく調べたところ、「ご指示ください」と「ご教示ください」では求めているものが違っていることがわかりました。
ですから、その際の上司の返答の内容も、それぞれ違ってくるのです。
本記事では、「指示」と「教示」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「指示」と「教示」の意味の違い!
最初に、「指示」と「教示」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「教示」とは、知識や方法などを教え示すこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「指示」の意味とは!
「指示」は、あることを行うように言いつけて、人を動かすこと。
「指図する」「命令」とほぼ同じような意味です。
ただし、意味が似ているものの、「指図する」「命令」と比べて柔らかいイメージであり、嫌な感じは受けません。
この「指示」は、職場などで頻繁に使われる言葉です。
たとえば、重大な判断が必要な場面では「上司の指示を待ちます」といった使い方をします。
これはつまり、責任の所在が不明であることから、自分で判断するのではなく上司の判断に委ねるということ。
ちなみに、「上司の指示を待ちます」の「指示」を、「指図」や「命令」に置き換えても同じ意味になります。
「上司の指図を待ちます」
「上司の命令を待ちます」
といったように、「指図」の方は文章的に不自然ではありますが、「命令」の方は違和感がありません。
上司の「指示」が出た段階で、部下はその内容のとおり動きます。
②「教示」の意味とは!
「教示」は、知識や方法などを教え示すこと。
「教える」という部分と、「人を動かすことではない」ということがポイントです。
「指示」の方は、「言いつけて人を動かすこと」なのですが、「教える」わけではありません。
たとえば、「ご指示をお願いします」の場合。
この場合は「何をしたらよいのか?」「どのようにしたらよいのか?」といった判断を求めています。
また、「指示」を受ける側はあくまでも、その「何」や「どのように」といったその「物事」に対する知識などはあらかじめ持っているということ。
ですから、「知識」を知りたいわけではありません。
これが、「ご教示お願いします」となると「教える」が加わります。
たとえば、「どういった手順が適切なのか?」「その手順にはどういった意味があるのか?」といった物事に対する「知識」を求めているということ。
求めているのは「判断」ではなく、「知識」なのです。
ですから、誰でもわかり切っているような簡単な物事に対して「教示」は使いません。
それから、「教示」は「人を動かすことではない」ということもポイントです。
「○○やりなさい!」「○○しろ!」といった、「指図」や「命令」ではありません。
あくまでも、「○○は、○○なので、○○ですよ」と教え示してくれているだけであり、行動を強制しているわけではないのです。
ということで、「指示」と比較して「教示」は、教えてもらえる他に行動を強制されない、柔らかい言葉ということ。
③「指示」と「教示」の違いを整理!
それでは、ここで一度「指示」と「教示」の違いを整理します。
あることを行うように言いつけて、人を動かすことが「指示」。
知識や方法などを教え示すことが「教示」。
どうするべきかという判断は「指示」、無知を補う時は「教示」を求めます。
2.「指示」と「教示」の辞書での意味!
続いて、辞書による「指示」と「教示」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「指示」の辞書での意味!
【指示】
①それと指し示すこと。「―代名詞」
②指図すること。また、その指図。「細かい―を与える」
引用元:旺文社国語辞典
意味①は説明しませんでしたが、「命令」ではなく「これです」と指し示すこと。
意味②は、説明したとおりの内容です。
②「教示」の辞書での意味!
【教示】
・教え示すこと。きょうし。「―を得る」「ご―ください」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですね。
3.「指示」と「教示」の使い方!
次に、「指示」と「教示」の使い方を例文で紹介します。
①「指示」の使い方!
・適切な作業や日頃の点検での確実な確認を徹底するよう指示した。
・市民は対策本部の指示に従ってもらいたい。
・他のコンサルタント会社も、時差出勤などを従業員に指示している。
・毎朝の検温、素手で触れた部分の消毒を徹底するよう指示しました。
②「教示」の使い方!
・ノバク・ジョコビッチに跳躍のコツを教示するというものだった。
・プロの目を通した動作チェックや知識の教示をしながらサポートする。
・ロボットそのものに簡単かつ安全に手づたえで教示する。
・中学生や無職の未成年3人に不正な活動を教示するなどしたとして逮捕される。
4.「指示」や「教示」には似た意味の言葉がたくさんある!
「指示」や「教示」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「指示」と「教示」の意味の違いと使い分けについてでした。
「指示」は、あることを行うように言いつけて、人を動かすこと。
「教示」は、知識や方法などを教え示すこと。
「教示」されたとしても動く必要はありませんが、「指示」を受けると動く必要があります。