「非常」と「異常」。
似ていますよね…。
たとえば…。
「非常に寒い!!」
「異常に寒い!!」
といった使い方をしますが、これ、違いはあるの??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみました!
実は、「非常」と「異常」には、意外な違いが隠れていますよ!
本記事では、「非常」と「異常」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「非常」と「異常」の意味の違い!
まずは、「非常」と「異常」の意味の違いを端的にお伝えします。
「異常」とは、普通とは違うこと。
ただし、「非常」には普段と異なること、また、普通でない緊急の状態という意味もあります。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「非常」と「異常」の違いのポイント!
「非常」は並たいていでないさまのことで、「異常」は普通とは違うこと。
こう説明しても、同じような意味に思えてしまいますよね…。
それもその通りで、意味はすごく似ているからなのです。
ただし、違いはありますよ。
わかりやすく言うと「異常」の「普通とは違う」という言葉の中には「病的」な意味合いが隠れています。
たとえば、「彼の動きは異常な行動だ!」といった場合、ボンヤリと病的な意味合いを感じ取れませんか?
ちなみに、「彼の動きは非常な行動だ!」とはいいません。
それから、「非常に頭脳明晰だ」とはいいますが、「異常に頭脳明晰だ」となると変ですよね…。
これは、「頭脳明晰」という言葉に対し、病的な意味合いが隠れている「異常」が不釣り合いということなのですね。
また、「非常に寒い!!」と「異常に寒い!!」では、なんとなくニュアンスの違いを感じませんか?
「非常に寒い」は、「大変寒い」「すごく寒い」といった意味合い。
「異常に寒い」は、「ありえないぐらい寒い」「こんな寒さは記憶にない」といった意味合いです。
天候に対して「病的」という言葉が適切かどうかはわかりませんが、「異常」の方が「病的といってもいいほど…」といった意味合いが強いということですね。
②「非常」には別の意味も!
「非常」には、「並たいていでないさま」以外の意味もありますよ。
それは、「普段と異なること」また、「普通でない緊急の状態」といった意味。
「普段と異なること」というのは、「平常ではない」「正常ではない」といった意味として使う「非常」です。
前項の「並たいていでないさま」と似ているのですが、違います。
前項は「形容動詞」で、「普段と異なること」として使う「非常」は名詞。
名詞の「非常」は、「すごい」「大変」といった意味合いではありませんよ。
あくまでも、「平常ではない」「正常ではない」ということ。
そして、もう一つは「普通でない緊急の状態」。
こちらは、「普通ではない」ということに加え「急いで対応する必要がある」という意味。
「これは、非常事態だ!大至急避難しなくては!」といった使い方をする「非常」ですね。
③「非常」と「異常」の違いを整理!
それでは、ここで一度「非常」と「異常」の意味の違いを整理します。
並たいていでない様子が「非常」で、普通とは違うことが「異常」。
「異常」の方に限っては、「病的」なニュアンスが隠れています。
それから「非常」には、普段と異なること、また、普通でない緊急の状態という意味もあります。
2.「非常」と「異常」の辞書での意味!
続いて、辞書による「非常」と「異常」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「非常」の辞書での意味!
【非常】
①ふだんと異なること。ふつうでない緊急の状態。「―事態」
②[仏]変化すること。無常。
③なみひととおりでないさま。程度がはなはだしいようす。「―にうれしい」「―な寒さ」
引用元:旺文社国語辞典
意味①と③は説明どおりですね。
意味②は説明しませんでしたが、仏教用語です。
②「異常」の辞書での意味!
【異常】
・ふつうとは違うこと。また、そのさま。アブノーマル。「―な暑さ」↔正常
引用元:旺文社国語辞典
ポイントは、「アブノーマル」という部分。
これには、「病的」な意味があります。
3.「非常」と「異常」の使い方!
最後に、「非常」と「異常」の使い方を例文で紹介します。
①「非常」の使い方!
・非常に頭の回転が速いですね。
・非常に強い台風が接近しています。
・台風の接近によりグアムとサイパンで非常事態宣言が発令された。
・非常口から避難する。
②「異常」の使い方!
・電車の異常な音を感知して停止した。
・猛暑など異常気象が問題になる。
・異常な免疫反応が原因。
・ドライバー異常時対応システムを搭載した。
まとめ
以上が、「非常」と「異常」の意味の違いと使い分けについてでした。
「非常」は、並たいていでないさまのこと。
「異常」は、普通とは違うこと。
「非常に寒い」より「異常に寒い」の方が、少し病的な意味合いが隠れています。
さらに「非常」には、普段と異なること、また、普通でない緊急の状態という意味もあります。