「削除」と「消去」。
同じように使われることが多い、この2つの言葉。
ですが、どちらか一方にしか使えない場合があります。
たとえば、「盗み食いがバレないように、痕跡を消去する」といった場合、自然な感じがしますよね。
ですが、「盗み食いがバレないように、痕跡を削除する」といった場合、なんとなく違和感があります。
実は、言葉の持つ意味合いが微妙に違うようで…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「削除」と「消去」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「削除」と「消去」の意味の違い!
最初に、「削除」と「消去」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「消去」とは、消し去ること。存在を無くしてしまうこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①一般的な「削除」と「消去」の違い!
「削除」は削って除くこと、「消去」は消し去ること。
これが、「削除」と「消去」の意味です。
「削除」の方から詳しく説明していきますね。
「削る」ということは、「鉛筆を削る」シーンを思い浮かべてみてもわかると思いますが、鉛筆の本体が無くなることはありません。
鉛筆の一部分が削られて、芯があらわれるイメージ。
ですから「削除」は、文章の一部を削り取る場合に多く使います。
たとえば、以下のとおり。
「本日は、太陽が照っており、快晴です」
↓↓↓↓↓↓↓↓
「本日は、快晴です」
これが、「太陽が照っており」という部分を「削除」したということ。
一方の「消去」は、消し去ることですので、存在を無くしてしまうことです。
一般的には、文章に対して「消去」は使いません。
何かを選択する際に使う「消去法」や、データなどに多く使います。
たとえば、「ハードディスクに録画した番組を消去する」といった使い方。
ですから、最初に紹介した「痕跡」の場合は、削り取る「削除」ではなく消し去る「消去」がふさわしいのですね。
ただし、データに関しては「削除」も使うことがあります。
その辺について、次項でさらに深掘りしていきますね。
②アプリ・プログラム・データに関する「削除」と「消去」!
スマホのアプリを長押しすると、「削除」という言葉が出てきます。
また、パソコンの場合はアイコンに合わせて右クリックすると、「削除」が選択肢として現れます。
この操作で「削除」したとしても、実は完全にそのプログラムが無くなったことにはなりません。
そのプログラムへの入り口用のボタンが消えただけ。
プログラム自体は残っていますので、すぐに復活が可能な状態なのです。
そのアプリやプログラムを、完全に無くしてしまうには「アンインストール」しなくてはいけません。
つまり、この「アンインストール」が「消去」ですね。
アプリやプログラムにおいての「削除」と「消去」は、こういった違いがあります。
それから、パソコンやスマホ内のデータや、ブルーレイレコーダーなどの録画データなどについては、「削除」と「消去」は同じ意味として使われています。
「録画データを削除した」
「録画データを消去した」
「パソコンのハードディスクがいっぱいで、写真データを削除する」
「パソコンのハードディスクがいっぱいで、写真データを消去する」
といったように、どちらも違和感なく使われています。
あとは、エクセルにおいての「削除」と「消去」は微妙に違いますよ。
エクセルの「削除」は、セルや行・列などを削り除きます。
そして、エクセルの「消去」は、セル内の文字や数式などが跡形もなく消し去られてしまうのですね。
ちなみに、エクセルの場合の「削除」と「消去」は、どちらも簡単に復元が可能。
③「削除」と「消去」の意味の違いを整理!
それでは、ここで一度「削除」と「消去」の意味の違いを整理します。
削って除くのが「削除」。
特に、文章などの一部を削って除く時に多く使います。
消し去るのが「消去」。
存在を無くしてしまうことです。
「取り除く削除」と「消し去る消去」といった場合、意味が似ていますよね。
ですからこの2つの言葉は、場合によっては同じ意味として使われることが多いのが実情です。
2.「削除」と「消去」の辞書での意味!
続いて、辞書による「削除」と「消去」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「削除」の辞書での意味!
【削除】
・文章などの一部を削って除くこと。とり去ること。「条文を―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりの内容ですね。
②「消去」の辞書での意味!
【消去】
・消えてなくなること。また、消し去ること。「録音を―する」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、前の項目で説明したとおりの内容ですね。
3.「削除」と「消去」の使い方!
最後に、「削除」と「消去」の使い方を例文で紹介します。
①「削除」の使い方!
・条文の第二条第一項を削除、第二項以降はそのままに。(「消去」不可)
・文書の放送禁止用語だけを削除してください。(「消去」不可)
・論文の引用が間違っていたのでその部分を削除した。(「消去」不可)
・スマホの動画を削除する。
・ラインで誤送信したため既読前に削除した。
②「消去」の使い方!
・浸入の証拠を完全に消去した形跡がある。(「削除」不可)
・録音したデータを消去して証拠を隠滅する。
・パソコンの文書を全て消去してほしい。
・スマホの動画を消去する。
・ラインで誤送信したため既読前に消去した。
まとめ
以上が、「削除」と「消去」の意味の違いと使い分けについてでした。
「削除」は、削って除くという意味。
特に、文章などの一部を削って除く場合に多く使います。
「消去」は、消し去るという意味。
存在を無くしてしまう場合に使います。
すごく似た意味なのですが、データ関係においては「削除」と「消去」は、同じ意味として使われることもあります。