「拡張」と「拡大」。
同じ意味では…??
「面積を拡張」
「面積を拡大」
といったように、どちらも違和感がありませんよね…。
いやいや…、実は「拡張」と「拡大」には微妙な違いがあるようで…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「拡張」と「拡大」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「拡張」と「拡大」の意味の違い!
最初に、「拡張」と「拡大」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「拡大」とは、意図的に広げて大きくすること、また、自然に広がり大きくなること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「拡張」の「拡大」の違いは意識!
「拡張」と「拡大」の最大の違いのポイントはその意識です。
「拡張」は意図的に広げることだけに限定していますが、「拡大」は自然に広がる意味もあるということ。
もちろん「拡大」には、意図的に広げる意味もあります。
ですから、大きな「拡大」の意味があり、その中に「拡張」が含まれるということですね。
「拡張」は意図的に広げて大きくすること。
したがって、「台風が勢力を拡張しています」とはいいません。
「台風が勢力を拡大しています」といいます。
台風の勢力は、人間が意図的に広げたのではなく、自然に広がるものだから。
また、「公園の砂場を拡張した」といいますし、「公園の砂場を拡大した」でも間違いではありません。
これは「拡張」「拡大」ともに、意図的に広げるという意味があるということです。
意図的に広げることに限定しているのが「拡張」、意図的に広げることと自然に広がる意味があるのが「拡大」です。
②「拡張」の対象となるものとは!
「拡大」は様々なものに使える言葉なのですが、「拡張」が使えるものは限定的です。
具体的には、範囲・規模・勢力などに対して使うのが「拡張」。
範囲であれば、前の項目で紹介したが「公園の砂場を拡張した」といった使い方。
規模だと「会社の事業規模を拡張する」、勢力では「勢力圏を拡張し、占領地域を広げる」といった使い方ですね。
もちろん、この使い方は「拡張」を「拡大」に置き換えることも可能。
「公園の砂場を拡大した」
「会社の事業規模を拡大する」
「勢力圏を拡大し、占領地域を広げる」
では、範囲・規模・勢力以外のものとは何か?です。
それは、たとえば新聞の文字。
「新聞の文字を虫メガネで拡大して読む」
といった使い方をしますよね。
「新聞の文字を虫メガネで拡張して読む」
とはいいません。
この違いを一言であらわすならば、「拡張」は付け加えて大きくするものということです。
砂場であれば面積を付け加えますし、事業規模であればマーケットや人員などを付け加えますよね。
ですから、「拡張」は付け加えて広げるものだけ、「拡大」はその他に新聞の文字など、付け加えて大きくするものではないものにも使えるということですね。
③「拡張」と「拡大」の違いを整理!
それでは、ここで一度「拡張」と「拡大」の意味の違いを整理します。
意図的に広げて大きくするのが「拡張」。
意図的に広げて大きくすること、また、自然に広がり大きくなるのが「拡大」。
範囲・規模・勢力など、付け加えて広げるものに限定されるのが「拡張」ですが、「拡大」はその対象に制限はありません。
2.「拡張」と「拡大」の辞書での意味!
続いて、辞書による「拡張」と「拡大」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「拡張」の辞書での意味!
【拡張】
・範囲・規模・勢力などを広げて大きくすること。「道路を―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですね。
②「拡大」の辞書での意味!
【拡大】
・広がり大きくなること。また、広げて大きくすること。「被害が―する」「不―」↔縮小
引用元:旺文社国語辞典
「拡大」についても、前の項目で説明したとおりの内容です。
3.「拡張」と「拡大」の使い方!
最後に、「拡張」と「拡大」の使い方を例文で紹介します。
①「拡張」の使い方!
・栽培面積を拡張する。
・道路の拡張工事が再開される。
・生産施設の規模を拡張した。
・軍事勢力の拡張。
②「拡大」の使い方!
・工場の面積を拡大する。
・放送時間を拡大してお送りいたします。
・パソコンで画像を拡大して見る。
・望遠鏡で拡大された月は美しい。
まとめ
以上が、「拡張」と「拡大」の意味の違いと使い分けについてでした。
「拡張」は、意図的に範囲・規模・勢力などを広げて大きくすること。
「拡大」は、意図的に広げて大きくすること、また、自然に広がり大きくなること。
自然に広がるものは「拡大」だけで、「拡張」には使いません。
また、「拡張」は範囲・規模・勢力など、付け加えて広げるものに限定されます。