「起きる」と「起こる」。
「火事が起きる」といいますし、「火事が起こる」ともいいます…。
しかし、「私は6時に起きる」とはいいますが、「私は6時に起こる」とはいわないような…。
「起きる」と「起こる」…、この使い分けの決まりって…あるのだろうか?
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「起きる」と「起こる」の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「起きる」と「起こる」の違い!
最初に、「起きる」と「起こる」の違いを簡潔にお伝えします。
どちらも、間違いではありません。
ですが、もともと「起きる」は、人間や動物の行為のことで、「私は6時に起きる」といった使い方をしていました。
そして、もともと「起こる」は、人間や動物の行為ではなく、何か出来事が発生する時だけに使い、「火事が起こる」といった使い方だったのです。
現在は、人間や動物の行為に「起こる」は使いませんが、出来事の発生時には「起きる」「起こる」両方使います。
短くまとめると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「起きる」の「起こる」の違いのポイント!
「起きる」の意味は、もともと横になっている体勢から立ち上がるという意味です。
そして、この「起きる」の主語は、必ず「自分自身」「他人」「動物」。
ですから、もともとは「自分自身」「他人」「動物」が横の状態から立ち上がることが「起きる」だったのです。
その後、「立ち上がる」という意味から派生して「発生する」という意味として使われるようになりました。
そして、「発生する」ということは、出来事であり行為ではありません。
出来事が発生した時には、「起きる」ではなく「起こる」を使うようになりました。
昔は、人間や動物の行為は「起きる」で、出来事が発生する時が「起こる」といったように、使い分けされていたということ。
それが、時代が進んで「発生」したものに、「起こる」の他に「起きる」も使われるようになったのです。
ですから、現在では「火事が起こる」も「火事が起きる」もどちらも正解、間違いではありませんよ。
また、行為ではない出来事である「病気」も同じ。
「腹痛が起こる」「腹痛が起きる」どちらも正解です。
ただし、人間や動物の行為の場合は「起きる」だけ。
ですから「私は6時に起きる」が正解で、「私は6時に起こる」は間違いです。
また、「犬が早く起こる」ともいいません。
この使い方は、変化することなく現在も継続されているのですね。
②「出来事の発生」なのに「起きる」が使えないケース!
出来事の発生でありながら、「起きる」が使えないケースがあります。
「起きる」と「起こる」は、どちらも動詞。
ですが、他の動詞と複合させる「複合動詞」として使えるのが「起こる」だけなのです。
たとえば、「巻く」と「起こる」を合わせると「巻き起こる」。
「巻く」と「起きる」は、合わせることが不可能で「巻き起きる」とはいいません。
ですから、「大ブームが巻き起こる」とはいいますが、「大ブームが巻き起きる」は間違い。
あとは、「湧く(沸く)」と「起こる」を合わせて「湧き起こる」。
「拍手が湧き起こる」といった使い方をしますが、「拍手が湧き起きる」とはいいません。
出来事の発生で、「起こる」しか使えないケースがあることも覚えておいてください。
③「起きる」と「起こる」の違いを整理!
それでは、ここで一度「起きる」と「起こる」の違いを整理します。
現在は、「火事が起きる」と「火事が起こる」はどちらも正しい使い方で、間違いではありません。
ですが、もともと「起きる」は人間や動物の行為だけ、「起こる」は出来事が発生する時だけに使われていました。
ですから、昔は「火事が起こる」が正解で、「火事が起きる」は間違いだったということ。
現在は、「火事が起きる」「火事が起こる」どちらも正解。
ただし、「ブームが巻き起こる」「拍手が湧き起こる」といった複合動詞の場合、「起きる」は使えませんので要注意ですよ。
2.「起きる」と「起こる」の辞書での意味!
続いて、辞書による「起きる」と「起こる」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「起きる」の辞書での意味!
【起きる】
①横になっていたものが立ち上がる。
②目を覚ます。目を覚まして、寝床から出る。
③眠らないでいる。「父が帰って来るまで―・きている」
④発生する。起こる。「事件が―」
引用元:旺文社国語辞典
意味①と意味④は説明どおりですね。
その他に、「目を覚ます」「眠らずにいる」という意味もあります。
②「起こる」の辞書での意味!
【起こる】
・新たに生じる。発生する。始まる。「事件が―」「デフレから―問題」「持病が―」
引用元:旺文社国語辞典
出来事の発生のことですので、説明したとおりの内容ですね。
3.「起きる」と「起こる」の使い方!
最後に、「起きる」と「起こる」の使い方を例文で紹介します。
①「起きる」の使い方!
・突然大きな地震が起きる。
・南太平洋で津波が起きる。
・睡眠不足ではあるが頑張って起きる。
・子供たちが一斉に起きる。
②「起こる」の使い方!
・突然大きな地震が起こる。
・南太平洋で津波が起こる。
・地球温暖化について世界中で論争が巻き起こる。
・激しい試合に自然に歓声が湧き起こる。
まとめ
以上が、「起きる」と「起こる」の違いと使い分けについてでした。
現在では、「火事が起きる」と「火事が起こる」はどちらも正解で、間違いではありません。
ですが、「私は6時に起きる」とはいいますが「私は6時に起こる」は間違い。
また、「ブームが巻き起こる」「拍手が湧き起こる」は正解ですが、「ブームが巻き起きる」「拍手が湧き起きる」は間違いです。
昔は人や動物が寝た状態から立ち上がることを「起きる」、出来事が発生することを「起こる」と使分けされていました。