「慣習」と「習慣」。
これ、両方とも同じ意味で使っていました…。
漢字の前後を入れ替えただけの言葉で、違いはないものと…。
と思っていたのですが、実は意味には微妙に違いが…。
ということで、「慣習」と「習慣」の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「慣習」と「習慣」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「慣習」と「習慣」の意味の違い!
最初に、「慣習」と「習慣」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「習慣」とは、個人が繰り返し行うならわしやしきたりという意味と、社会の集団によるならわしやしきたりという意味があります。
簡単に表現すると、こういった違いになります。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「慣習」と「習慣」の違いのポイント!
「慣習」と「習慣」の最大の違いのポイントなるのが、その対象者。
「慣習」は対象となるのが「社会の集団」ということで、「個人」には使いません。
たとえば、社会の集団で行う「まつり」や「その時期にその地域で決まって食べる料理」など。
「この地域では、古くから○○祭りが行われています」
これが「慣習」ですね。
「毎年、この祭りの時期ではどの家でも決まって○○を食べます」
こういったものも「慣習」。
個人ではなく、社会の集団でのならわしやしきたりということです。
一方の「習慣」は、対象となるのが「個人」と「社会の集団」ということ。
「社会の集団」という部分では、「慣習」と同じ意味となるのですね。
ただし、どちらかといえば「習慣」は「個人」に多く使われます。
「自分は、夜の22時前には必ず寝る習慣がある」
「自分は、外出先でも食後に必ず歯磨きをする習慣がある」
こういった具合に、「個人」のならわしやしきたりに多く使います。
②「慣習」のもう一つの特徴!
「慣習」の特徴はもう一つ、「意図的に受け継ぐ」という部分。
では、「習慣」は「意図的に受け継ぐ」ものは含まれないのか?といえばそんなことはありません。
「習慣」は「意図的に受け継ぐ」「自然に受け継ぐ」「自然に身につく」全て当てはまります。
対して「慣習」は、必ず「意図的に受け継ぐ」ものなのですね。
たとえば、日本人は箸を使って食事をするのが「慣習」ですよね。
この箸の持ち方は、子供の頃に親に意図的に教えてもらいます。
地域のお祭りも、代々意図的に受け継がれますし、祭りの定番料理もそうですね。
これが「慣習」。
「慣習」の多くは、長い歴史の流れの中、現在まで伝わってきているものなのですね。
③「慣習」と「習慣」の違いを整理!
それでは、ここで一度「慣習」と「習慣」の違いを整理します。
社会の集団による、伝えられて引き継がれてきたならわしやしきたりが「慣習」。
個人と社会の集団によるならわしやしきたりが「習慣」です。
社会の集団が「慣習」、主に個人が「習慣」ですね。
さらに、「慣習」は長い歴史の中で受け継がれてきたものに限定されます。
2.「慣習」と「習慣」の辞書での意味!
続いて、辞書による「慣習」と「習慣」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「慣習」の辞書での意味!
【慣習】
・古くから伝えられひきつがれている、ある社会一般に通じるならわしやしきたり。「―に従う」
引用元:旺文社国語辞典
「古くから伝えられひきつがれている」という部分がポイント。
ただし、「個人」や「社会の集団」といった記述はありません。
②「習慣」の辞書での意味!
【習慣】
①その土地で慣例・しきたりとして行われていること。風習。「土地の―に従う」
②繰り返し行うことにより、それがその人のならわしとなること。「早起きの―」
引用元:旺文社国語辞典
意味①が「社会の集団」、意味②が「個人」ということ。
そして、「古くから受け継がれてきたもの」といった記述はありません。
ということは、「古くから受け継がれてきたもの」でも「そうでないもの」でも問わないということですね。
3.「慣習」と「習慣」の使い方!
次に、「慣習」と「習慣」の使い方を例文で紹介します。
①「慣習」の使い方!
・葬儀へ参列する時に派手な洋服は着ないことが慣習となっている。
・イースターはキリスト教の祭事であり古くからの慣習です。
・和服の更衣は第二次大戦前まで受け継がれてきた慣習です。
・正月に餅料理を食べるのは古くからの慣習。
・日本の和紙は、白い紙は「浄化する力」を持つと信じてきた慣習がもとにある。
②「習慣」の使い方!
・三食後に必ずコーヒーを飲むのが習慣になっている。
・朝は5時に起床するのが習慣で、目覚まし時計が不要になったほど。
・当幼稚園では昼寝の習慣を身につけてもらっている。
・○○部は5キロのランニング後にサーキットトレーニングが習慣になっている。
・朝目を覚ましたら習慣的に水を飲んでいる。
4.「慣習」や「習慣」には似た意味の言葉がたくさんある!
「慣習」や「習慣」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「慣習」と「習慣」の意味の違いと使い分けについてでした。
「慣習」は、社会の集団による伝えられて引き継がれてきたならわしやしきたりのこと。
「習慣」は、個人と社会の集団によるならわしやしきたりのことです。
社会の集団が「慣習」で、主に個人が「習慣」と覚えておきましょう。
長い歴史の中で受け継がれてきたものが「慣習」、「習慣」もそうですがそうでないものも含みます。