「順応」と「適応」。
これ、同じ意味でしょ…??
それとも、微妙に意味が違うのか…。
ちなみに、自分は今まで全く同じ意味として認識していましたが…。
やはり、ハッキリさせる必要がありますね…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「順応」と「適応」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「順応」と「適応」の意味の違い!
まずは、「順応」と「適応」の意味の違いを端的にお伝えします。
「適応」とは、環境などに合わせること。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「順応」の「適応」の微妙な違い!
「順応」と「適応」は、ほぼ同じ意味といってもよいくらい似ています。
冒頭で、「順応」は慣れる、「適応」は合わせる、と説明しましたが、これはあえて違いを区別化するため。
ですから「順応」も合わせること、といっても間違いではないのです。
たとえば、「新しい職場に順応する」とか、「新しい職場に適応する」といった使い方をしますよね。
これは、その職場環境に慣れ、歯車のように合い、仕事ができているということ。
だいたい同じようなことなのですが、それぞれの微妙なニュアンスについて説明していきます。
「順応」は「慣れる」ことなのですが、その理由は「順」という漢字がポイント。
「順」は、「従う」「素直」という意味です。
「従順」「順当」の「順」ですね。
要するに、流れに逆らわずに素直になるという意味合い。
「逆らわない」ということで、「慣れる」のが「順応」ということです。
「適応」は「合わせる」ことですが、「適」という字が関係しています。
「適」は、「当てはまる」という意味。
「適切」「適確」の「適」です。
つまり、「適応」はピッタリと当てはまるように「合わせる」といった意味合い。
流れに逆らわずに「慣れる」のが「順応」、ピッタリと当てはまるように「合わせる」のが「適応」ということです。
しかし、双方はほぼ同じような意味ともいえます。
②生物学的な「順応」と「適応」の違い!
「順応」と「適応」は、生物学の世界でもよく使われる言葉。
しかも、意味が違います、
「順応」は、環境の変化や刺激などに応じて、生物の体の機能などが低下、または変化すること。
たとえば、低い気温で生活するペンギンが、動物園で日本の暑い夏でも生活できるようになることです。
これは、暑さに対する感覚が低下したということ。
「適応」は、生活環境に応じて、長いスパンで生物の体の機能や感覚を変化させること。
同じように感じるかもしれませんが、「適応」は長い時間をかけて変化することです。
要するに、進化のことですね。
たとえば、大昔は水中だけにいた生物が、徐々に陸に上がるようになって肺呼吸が可能となることです。
これが「適応」ですね。
生物学的には、「順応」と「適応」は全く違うということです。
③「順応」と「適応」の違いを整理!
それでは、ここで一度「順応」と「適応」の意味の違いを整理します。
環境などに慣れることが「順応」。
環境などに合わせることが「適応」。
ニュアンス的に若干の違いはありますが、ほぼ同じ意味ともいえます。
2.「順応」と「適応」の辞書での意味!
続いて、辞書による「順応」と「適応」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「順応」の辞書での意味!
【順応】
①環境や境遇の変化に従って性質や行動を適応させること。「―性」「環境に―する」
②生物に同じ刺激を連続して与えた場合、これに適応するよう感覚器官などが次第に変化する現象。
引用元:旺文社国語辞典
意味①に「適応させる」とありますので、ほぼ同じ意味であるということができます。
内容的には、説明どおりですね。
②「適応」の辞書での意味!
【適応】
①ある状況や条件によく合うこと。また、合うように行動すること。「環境に―する」
②[生]生物が環境に応じて、器官の構造や機能を変化させること。
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、前の項目で説明したとおりの内容です。
3.「順応」と「適応」の使い方!
最後に、「順応」と「適応」の使い方を例文で紹介します。
①「順応」の使い方!
・厳しい環境におかれたが、徐々に順応していく。
・どうしても職場に順応することが出来なかった。
・何色へも順応するスタンダードなホワイトで秋服へシフト。
・米大リーグで環境に順応する。
②「適応」の使い方!
・気候変動適応法案を閣議決定した。
・環境政策への適応に伴う困難を訴えるオランダ農家。
・海外で生活するためには異文化への適応力が必要。
・今夏アーセナルに加入したペペが新しい環境に適応することの難しさを語る。
まとめ
以上が、「順応」と「適応」の意味の違いと使い分けについてでした。
「順応」は、環境などに慣れること。
「適応」は、環境などに合わせること。
生物学的には、短い期間で機能などが変化するのが「順応」、長い期間で変化するのが「適応」です。