「雪辱」と「屈辱」。
どちらも、よくスポーツなどの勝負ごとで使われる言葉ですが…。
使う場面が似ていて、まぎらわしいですよね…。
勝負で勝った時に「雪辱を果たす」?それとも「屈辱を果たす」??
もしかして、「雪辱を晴らす」?「屈辱を晴らす」??
これは、意味をキッチリと理解する必要がありますね。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「雪辱」と「屈辱」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「雪辱」と「屈辱」の意味の違い!
最初に、「雪辱」と「屈辱」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「屈辱」とは、屈服させられて恥ずかしい思いをさせられること。
「屈辱」で恥ずかしい思いをして、「雪辱」することで仕返しにより恥を消し去ります。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「雪辱」の意味とは!
「雪辱」は、以前受けた恥を仕返すことによって消し去ること。
多くの辞書では、「恥をすすぐこと」といった説明がされています。
この聞きなれない「すすぐ」という言葉、漢字では「雪ぐ」と書きます。
「雪ぐ」の意味は「不名誉を取り除くこと」。
つまりは、「仕返すことで恥を消し去る」ということですね。
たとえば、「春の大会で敗れた相手に、夏の甲子園で雪辱を果たす」といった使い方をします。
この場合、春の大会で敗れることで嫌な思いをさせられたのですが、夏の大会で勝利してその嫌な思いを消し去るという意味。
負けた相手に、勝って仕返しをするということです。
ちなみに、「雪辱を果たす」という使い方が正しいのですが、よく「雪辱を晴らす」といった使い方を見受けます。
実は、「雪辱を晴らす」は間違った使い方。
この「晴らす」は、「うっぷんを晴らす」「疑いを晴らす」といった使い方をするとおり、「わだかまりなどを消し去る」という意味です。
そして、「雪辱」の意味も「恥を消し去る」。
要するに「雪辱を晴らす」とは、「恥を消し去り、それをまた消し去る」という意味になってしまいます。
ということで、「雪辱を晴らす」は間違い、「雪辱を果たす」が正しい使い方です。
②「屈辱」の意味とは!
「屈辱」は、屈服させられて恥ずかしい思いをさせられること。
「雪辱」は嫌な思いを消し去りましたが、「屈辱」は嫌な思いをさせられることです。
ですから、最初に「屈辱」があって、仕返しをして「雪辱」するということ。
たとえば、「春の甲子園で、大差で敗れ屈辱を味わう」といった使い方をします。
また、「春の屈辱を晴らす」といった使い方も。
この場合は、「晴らす」が正しい使い方です。
嫌な思いを、消し去るということ。
逆に、「屈辱を果たす」は間違いです。
「果たす」は、「成し遂げる」という意味。
ですからこの場合は、「恥ずかしい思いをさせられることを成し遂げる」という意味になってしましいます。
「屈辱を晴らす」が正しい使い方ですよ。
③「雪辱」と「屈辱」の違いを整理!
それでは、ここで一度「雪辱」と「屈辱」の違いを整理します。
以前受けた恥を仕返すことによって消し去ることが「雪辱」。
屈服させられて恥ずかしい思いをさせられることが「屈辱」。
「雪辱」は「果たす」で、「屈辱」は「晴らす」です。
2.「雪辱」と「屈辱」の辞書での意味!
続いて、辞書による「雪辱」と「屈辱」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「雪辱」の辞書での意味!
【雪辱】
・(「雪」はすすぐ意)勝負事などで、前に負けて受けた恥をすすぐこと。「―を果たす」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
「雪ぐ」とは、不名誉を取り除くこと。
②「屈辱」の辞書での意味!
【屈辱】
・はずかしめられて面目を失うこと。「―感」「―を受ける」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「雪辱」と「屈辱」の使い方!
次に、「雪辱」と「屈辱」の使い方を例文で紹介します。
①「雪辱」の使い方!
・2連覇を狙うエルス、そして昨年の雪辱を誓うタイガーが火花を散らす。
・ウォーオブウィル、プリークネスステークス優勝でダービーの雪辱を果たす。
・遠藤が炎鵬を突き出して先場所の雪辱を遂げ、5勝4敗とした。
・そうなれば、雪辱に燃える伊藤の闘志に火が点くことは言うまでもない。
②「屈辱」の使い方!
・初めて出場した北京五輪で味わった全敗という屈辱。
・山川は、実は昨シーズンにかつてないほどの大きな屈辱を味わっていた。
・攻守共に振るわず、屈辱の完封負けをくらう。
・屈辱のKO負けを乗り越えて成長した姿を見せる!
4.「雪辱」や「屈辱」には似た意味の言葉がたくさんある!
「雪辱」や「屈辱」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「雪辱」と「屈辱」の意味の違いと使い分けについてでした。
「雪辱」は、以前受けた恥を仕返すことによって消し去ること。
「屈辱」は、屈服させられて恥ずかしい思いをさせられること。
嫌な思いを消し去るのが「雪辱」、嫌な思いをするのが「屈辱」です。