「取り消し」と「撤回」。
ほとんど同じ意味に思える2つの言葉…。
似ている!というよりも、もしかして全く同じ意味なのだろうか…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は!!なんと、「取り消し」と「撤回」には決定的な違いがありました!
本記事では、「取り消し」と「撤回」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「取り消し」と「撤回」の意味の違い!
最初に、「取り消し」と「撤回」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「撤回」とは、前に書いたり言ったりしたことを、後になって引っ込めること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「取り消し」の意味とは!
「取り消し」は、前に書いたり言ったりしたことを、無かったことにすること。
「撤回」は、後になって引っ込めることなので、似ているのですが違います。
わかりやすくするために、一つの例で説明しますね。
たとえば、行政から2020年8月10日から事業指定を受けて事業展開したとします。
その後問題が発覚し、行政より2020年9月15日に事業指定が「取り消し」された場合。
「取り消し」は無かったことにすることなので、2020年8月10日~2020年9月15日の期間の「事業指定」は無かったことになります。
つまり、事業指定の効力が指定した日までさかのぼって無くなるということ。
ですから、8月10日~9月15日の期間に事業指定されたことによる恩恵は全て無くなるということです。
②「撤回」の意味とは!
「撤回」は、前に書いたり言ったりしたことを、後になって引っ込めること。
「取り消し」は、無かったことにすることでしたが、「撤回」は後になって引っ込めることです。
ですから、「無かったこと」にはしません。
前項の例文に当てはめてみます。
行政から2020年8月10日から事業指定を受けて事業展開し、そして行政より2020年9月15日に事業指定が「撤回」された場合。
この場合、2020年8月10日~2020年9月15日の期間の「事業指定」は無かったことにはなりません。
つまり、「取り消し」のように、さかのぼるようなことはしないのです。
したがって、8月10日~9月15日の事業指定は有効ですので、その間の恩恵は受けることができます。
③「取り消し」と「撤回」の違いを整理!
それでは、ここで一度「取り消し」と「撤回」の違いを整理します。
前に書いたり言ったりしたことを、無かったことにするのが「取り消し」。
前に書いたり言ったりしたことを、後になって引っ込めるのが「撤回」。
よくニュースなどで、政治家が「前言を撤回します」と発言しますよね。
「前言を取り消します」の場合は、「発言を無かったことにする」意味なのですが…。
「前言を撤回します」となると、「確かに発言したのですが、数日たって自分の発言は誤りであることに気付いたので、ただ今より発言を引っ込めます」という意味になります。
2.「取り消し」と「撤回」の辞書での意味!
続いて、辞書による「取り消し」と「撤回」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「取り消し」の辞書での意味!
【取り消し】
・一度記載・陳述した事柄をあとから打ち消して、なかったことにすること。「予約の―」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「撤回」の辞書での意味!
【撤回】
・一度提出・公示などしたものをとりやめにすること。ひっこめること。「命令を―する」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「取り消し」と「撤回」の使い方!
次に、「取り消し」と「撤回」の使い方を例文で紹介します。
①「取り消し」の使い方!
・女性町議について、県が処分を取り消しし正式に復職することが決まりました。
・これがコース外走行と判定され、このラップのタイムが取り消しとなりました。
・200mの世界記録が、走った距離が185mだったことが判明して記録は取り消しとなった。
・介護予防サービス事業者の指定を取り消し、5年間の事業停止処分としました。
②「撤回」の使い方!
・撤回されたのは、2016年と2017年に投稿した2つの論文です。
・通販サイトで購入額に応じて送料を無料にする方針は撤回しない考えだ。
・ブラジルで48時間の一時停止命令が発効されたが、約12時間で同命令が撤回された。
・副大臣は「誤解に基づくものだった」などとして、答弁を撤回し謝罪しました。
4.「取り消し」や「撤回」には似た意味の言葉がたくさんある!
「取り消し」や「撤回」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「取り消し」と「撤回」の意味の違いと使い分けについてでした。
「取り消し」は、前に書いたり言ったりしたことを、無かったことにすること。
「撤回」は、前に書いたり言ったりしたことを、後になって引っ込めること。
効力が無くなるのはいつなのか?というところが違いのポイントです。