「尽力」と「努力」。
この2つの言葉、似ていてまぎらわしいですよね…。
逆に同じ意味で、違いはないのでは?と思ってしまいます…。
でもよく考えると、「東大合格を目指し、努力している最中だよ」とはいいますが、「東大合格を目指し、尽力している最中だよ」となるなんとなく違和感が…。
ということは、「尽力」と「努力」には微妙な違いがあるということか…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「尽力」と「努力」には確かな違いがありました!
本記事では、「尽力」と「努力」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「尽力」と「努力」の意味の違い!
最初に、「尽力」と「努力」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「努力」とは、ある事の実現のために力をつくすことですが、誰の目的実現であっても当てはまります。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「尽力」の意味とは!
「尽力」は、ある事の実現のために力をつくすこと。
この部分は「努力」と共通の意味。
ただし「尽力」の場合は、自分のための目的実現のためには一般的に使いません。
たとえば、「会社発展のために尽力させていただきます」といった使い方。
これは、自分のためではなく会社のための「発展」ということを実現するために力をつくすということ。
あとは、「彼は長年、商店街活性化に尽力されました」といった使い方。
これも、自分のためではなく商店街のための「活性化」を実現するために力をつくしたということです。
②「努力」の意味とは!
「努力」は、ある事の実現のために力をつくすこと。
そして、「尽力」は自分の目的実現には使いませんが、「努力」は誰の目的実現であっても使うことが可能です。
ですから、前項でご紹介した例文の「尽力」を「努力」へ置き換えることもできます。
「会社発展のために努力させていただきます」
「彼は長年、商店街活性化に努力されました」
というように、「努力」でも違和感なく使うことが可能。
ただし、「努力」は自分の目的実現も含まれるため、「自分以外のため」を強調する時などは「尽力」を使う方がふさわしい場合もあります。
それから「努力」特有の、自分の目的実現に関する例文は以下のとおり。
「東大合格を目指し、自分は寝る間を惜しんで努力している」
「私は、ダイエットのために空腹を我慢して努力を続ける」
といった具合ですが、これを「尽力」に置き換えると以下のようになります。
「東大合格を目指し、自分は寝る間を惜しんで尽力している」
「私は、ダイエットのために空腹を我慢して尽力を続ける」
この例文は、違和感を覚えます。
③「尽力」と「努力」の違いを整理!
それでは、ここで一度「尽力」と「努力」の違いを整理します。
「尽力」と「努力」はともに、ある事の実現のために力をつくすことで、この部分は共通の意味。
ただし、自分の目的実現のためにつくす場合は、「尽力」は一般的に使いません。
そして、誰の目的実現であっても使えるのが「努力」。
それから、「努力」と「尽力」という言葉を使う際の共通の注意事項があります。
相手を敬う場合、「自分」が「他人」のためにつくす時には、過去形で「努力」や「尽力」は使わない方がよいでしょう。
「私はあなたのために努力した」
「私はあなたのために尽力した」
この場合、自分で自分を高評価していますので、図々しい発言になります。
ですから、この例文はどちらも「努力」「尽力」ではなく「お手伝いさせていただいた」と控えめに表現するのがよいでしょう。
また、同様に相手を敬う場合、「自分」が「他人」へ「つくしてほしい」と依頼する時も使うべきではありません。
「私のために、あなたに努力してほしい」
「私のために、あなたに尽力してほしい」
こうなると、押しつけがましい言い方になってしまいます。
この場合は、「努力」「尽力」ではなく「力になってほしい」とお願いする方がよいでしょう。
2.「尽力」と「努力」の辞書での意味!
続いて、辞書による「尽力」と「努力」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「尽力」の辞書での意味!
【尽力】
・(ある事を実現するために)力をつくすこと。ほねおり。「町の発展のために―する」
引用元:旺文社国語辞典
この内容だと、「誰のために」といった記載はありません。
ですが、一般的には「自分のため」という目的は除かれます。
②「努力」の辞書での意味!
【努力】
・力をつくして励むこと。「―家」「たゆまず―する」
引用元:旺文社国語辞典
こちらは、説明どおりです。
3.「尽力」と「努力」の使い方!
次に、「尽力」と「努力」の使い方を例文で紹介します。
①「尽力」の使い方!
・今まで以上にお客様にご満足頂けるよう尽力して参ります。
・その陰には、皇帝を支えた臣下の尽力がありました。
・今後も防犯活動の普及に尽力したい。
・開催にご尽力いただいたすべての皆様に改めて心よりお礼を申し上げます。
②「努力」の使い方!
・どんな小さな努力でも、それをすることで無限の結果が生まれてくる。
・みなさんが活動に注いでいる時間と努力に感謝しています。
・ハッキリ言いたいのは、そのような無駄な努力をすべきではないということ。
・医療などの分野では休むことなく努力を続けている人たちがいます。
4.「尽力」や「努力」には似た意味の言葉がたくさんある!
「尽力」や「努力」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「尽力」と「努力」の意味の違いと使い分けについてでした。
「尽力」は、ある事の実現のために力をつくすことですが、一般的に自分の目的実現のためにつくす場合を除きます。
「努力」は、ある事の実現のために力をつくすことですが、誰の目的実現であっても当てはまります。
どちらも「力をつくす」ことですが、「誰のためか?」という部分が使い分けの分岐点になります。