「経緯」と「理由」。
似ていて、まぎらわしいですよね…。
たとえば、「事故の経緯」といいますし、「事故の理由」ともいいます…。
仮に、誰かに尋ねられた場合は同じことを言ってしまいそうな気がします…。
まぎらわしいものは、違いをハッキリさせなくてはいけませんね。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「経緯」と「理由」には微妙な違いがありました!
本記事では、「経緯」と「理由」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「経緯」と「理由」の意味の違い!
まずは、「経緯」と「理由」の意味の違いを端的にお伝えします。
「理由」とは、物事のそのようになった事情のこと。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「経緯」の意味とは!
「経緯」は、物事の込み入った詳しい事情のこと。
「理由」がそのようになった事情ですが、「経緯」は込み入った詳しい事情です。
要するに、「経緯」の方がより詳細な事情ということ。
たとえば、車を電柱にぶつけるという事故を起こしてしまったとしましょう。
この事故の直接的な原因が、ブレーキとアクセルの踏み間違いです。
そして、この事故の「経緯」を説明する場合は以下のとおり。
「前日は、夜遅くまで友人と二人で盛り上がった」
「盛り上がった関係上、就寝が午前3時だった」
「朝は眠かったが、会社に出勤するため車を運転した」
「運転中に眠気をもよおし、一瞬意識を失った」
「気づいた時には目前に電柱があり、慌ててブレーキではなくアクセルを踏んでしまった」
これが込み入った詳しい事情です。
つまり、ただ単に「ブレーキとアクセルの踏み間違いをした」ということではなく、そこに至るまでの詳しい顛末が必要になるということ。
「経緯」を説明するのは簡単ではありませんよ。
それから、「経緯」には「物事の込み入った詳しい事情」以外に2つの意味があります。
1つ目の「経緯」の意味が、「経」が「たて」で「緯」が「よこ」で、「たとよこ」のこと。
この由来は、織物のたて糸とよこ糸にあります。
ちなみに、織物のたて糸とよこ糸は、細かく複雑に入り組んでいますよね。
「経緯」の込み入った詳しい事情という意味は、そこから来ています。
2つ目の「経緯」の意味が、地球の経度と緯度のこと。
この由来も織物で、まさにたてが経線で、よこが緯線です。
②「理由」の意味とは!
「理由」は、物事のそのようになった事情のこと。
こっちは、詳しい事情であっても、簡単な事情であっても「理由」は「理由」です。
ですから、ブレーキとアクセルの踏み間違いで車を電柱にぶつける事故を起こしてしまった場合。
「理由」として、「ブレーキとアクセルを踏み間違ったのが理由です」と発言すれば成立します。
また、前項の「経緯」のように、込み入った詳しい事情を説明することも「理由」です。
「前日は、夜遅くまで友人と…」
から始まり、最後に「慌ててブレーキではなくアクセルを踏んでしまった」でもオッケー。
この場合は、「理由」と「経緯」が同じ意味として扱われたことになります。
ただし、「理由」は必ずしも込み入った詳しい事情を説明する必要はありませんよ。
それから、「理由」には「物事のそのようになった事情」以外の意味があります。
それは、「言い訳」「口実」という意味。
よく上司に「理由を説明しろ!」と言われて説明すると、「言い訳するな!」と怒声を浴びせられるといったエピソードを耳にします…。
しかし、実は「理由」には「言い訳」の意味があるので、この上司の発言はかなり理不尽なのですね。
ですが、「物事のそのようになった事情」と「言い訳」「口実」は違います。
「言い訳」や「口実」は、相手の了解を得るための言い逃れのこと。
似てはいますが、これは自己保身のためのもので、正確には違いがあります。
たとえば、「病気を理由に部活をサボった」といった使い方をする「理由」ですね。
③「経緯」と「理由」の違いを整理!
それでは、ここで一度「経緯」と「理由」の違いを整理します。
物事の込み入った詳しい事情が「経緯」。
物事の発端から、そこまで至るまでの顛末が必要になります。
物事のそのようになった事情が「理由」。
込み入った詳しい事情であっても、簡単な事情であっても「理由」です。
2.「経緯」と「理由」の辞書での意味!
続いて、辞書による「経緯」と「理由」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「経緯」の辞書での意味!
【経緯】
(「経」は織物のたて糸、「緯」はよこ糸の意)
①たてとよこ。
②地球の経線と緯線。経度と緯度。
③物事の細かい事情。いきさつ。「事件の―」
引用元:旺文社国語辞典
意味が3種類で、内容も説明どおりです。
②「理由」の辞書での意味!
【理由】
①物事のそうなったわけ。事情。「遅れた―」
②言いわけ。口実。「病気を―に欠席する」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、意味が2種類で内容も説明したとおりです。
3.「経緯」と「理由」の使い方!
次に、「経緯」と「理由」の使い方を例文で紹介します。
①「経緯」の使い方!
・警察が、タイヤが落下していた詳しい経緯を調べています。
・伐採した木を腐葉土にした経緯は、カブトムシの幼虫が関係している。
・なぜダイエットをすることになったのか、経緯を説明してくれた。
・犯人は逮捕されたが、その事件の経緯についてまとめました。
②「理由」の使い方!
・転職した最大の理由は体力的な問題が大きい。
・ニンニクを爆食いする理由は、わざと臭くして人に会う欲望を抑えるため。
・引退の理由について「モチベーションの低下」を挙げた。
・体育の日がスポーツの日に変わる理由は、世界の人々と分かち合うため。
4.「経緯」や「理由」には似た意味の言葉がたくさんある!
「経緯」や「理由」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「経緯」と「理由」の意味の違いと使い分けについてでした。
「経緯」は、物事の込み入った詳しい事情のこと。
「理由」は、物事のそのようになった事情のこと。
違いは微妙なのですが、「経緯」の方はより詳細な事情が必要になります。