「事例」と「事案」。
会社でよく使いますよね…。
「○○の事例について検討する」
「○○の事案について検討する」
といったように、並べてみると、「これ同じでしょ!」と思ってしまいます…。
しかし!同じような場面で使われる「事例」と「事案」、実は微妙な違いがあるようで…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「事例」と「事案」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「事例」と「事案」の意味の違い!
まずは、「事例」と「事案」の意味の違いを端的にお伝えします。
「事案」とは、問題になっている事柄のこと。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「事例」の意味とは!
「事例」は、前例になる事実のこと。
過去に実際に起こったこと、という言い方もできます。
過去に起こったこと、ということは現在進行形のことではありませんよ。
もちろん、未来のことでもありません。
過去、昔に起こったことです。
たとえば、ある交差点でしょっちゅう交通事故が発生して、問題になったとしますね。
そういった場合、警察では、その交通事故の原因は何か?何を改善すれば交通事故を防げるのか?といったこと模索します。
そういった時に使うのが、「過去の交通事故の事例を検証する」という言葉。
これは、過去に発生した交通事故全てを徹底的に調べるということです。
交通事故の過去の「事例」、つまり過去に実際に起こった事実ということですね。
②「事案」の意味とは!
「事案」は、問題になっている事柄のこと。
たとえば、社内の換気システムが故障して悪臭が充満したとしますね。
悪臭のために、仕事ができないといった問題が発生しました。
この「仕事ができない」という問題になっていること、これが「事案」です。
そして、ポイントとなるのが「問題になっている事柄」の「なっている」という部分。
「なっている」ということは、現在起きていることをあらわしています。
つまり、現在の事柄ということですね。
ただし、過去の事柄や、未来に予想される事柄に対し、「事案」は全く使えないのか?といえばそうではありません。
過去や未来に対しても「事案」は使うことがあります。
たとえば、過去であれば「過去にも不審者が後をつけてくる事案があった」といった使い方。
これは、過去のことですので、「事例」への置き換えが可能です。
未来では、「情報漏洩等の事案発生を想定し対策をたてる」といった使い方。
ですが、基本的には現在の事柄が「事案」です。
③「事例」と「事案」の違いを整理!
それでは、ここで一度「事例」と「事案」の違いを整理します。
前例になる事実が「事例」。
「事例」は、過去の事柄です。
問題になっている事柄が「事案」。
「事案」は、基本的には現在の事柄ですが、過去や未来の事柄にも使うことが可能。
ですから、過去に問題となった事柄の場合は「事例」「事案」ともに使うことが可能です。
2.「事例」と「事案」の辞書での意味!
続いて、辞書による「事例」と「事案」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「事例」の辞書での意味!
【事例】
①前例になる事実。「―に照らして考える」
②一つ一つの場合のそれぞれの実例。ケース。「―調査」
引用元:旺文社国語辞典
意味が2種類ありますが、意味②の方がより具体的な事柄を指しています。
意味としては、説明どおりですね。
②「事案」の辞書での意味!
【事案】
・問題になっている事柄。
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、前の項目で説明したとおりの内容です。
3.「事例」と「事案」の使い方!
次に、「事例」と「事案」の使い方を例文で紹介します。
①「事例」の使い方!
・それでは我が社の成功事例を紹介します。
・二度と同じミスを起こさないために事例検討会を実施。
・ヒヤリハット事例集を再度確認する。
・注文住宅建築にあたり建築事例を参照する。
②「事案」の使い方!
・空調設備の故障は放っておけない事案だ。
・測定データの書き換えなど不正事案についての調査。
・事案の性質上お答えすることは差し控えたい。
・コンプライアンスへの取り組みに課題視された事案を挙げる。
4.「事例」や「事案」には似た意味の言葉がたくさんある!
「事例」や「事案」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「事例」と「事案」の意味の違いと使い分けについてでした。
「事例」は、前例になる事実のこと。
「事案」は、問題になっている事柄のこと。
「事例」は過去、「事案」は基本的に現在ですが過去や未来にも使います。
ちなみに「事例」の「例」は、前にすでにあったことという意味です。