「そして」と「また」。
どちらも、スピーチや文書作成において不可欠な言葉ですよね。
でも、この「そして」と「また」なのですが、双方を入れかえても意味が変わらない場合もあるし、入れかえが出来ない場合も…。
不思議です…。
これはつまり、同じ意味でもあり、違う意味でもあるということ?
ということで、この2つの言葉の意味と、順番を含めた使い方を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「そして」と「また」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「そして」と「また」の意味の違いと使い分け!
最初に、「そして」と「また」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
(1)前の物事と、「継続」する後ろの物事をつなぐ。
(2)前の物事を受け、その「結果」で生じる物事へ誘導。
(3)前の物事に対し、別の物事を「付け加える」ことを表す。
接続詞としての「また」の役割は下の2つです。
(1)前の物事に続き別の物事を「列挙」する。
(2)前の物事に対し、別の物事を「付け加える」ことを表す。
短くまとめると、こういった違いです。
それでは、例文も交えながらわかりやすく紐解いていきますね。
①「そして」の意味とは!その役割は?
「そして」の接続詞としての意味は、冒頭で触れたとおり「継続」「結果」「付加」の3つ。
・食事をした。そして、食後のコーヒーを頼んだ。
・朝起きて、そして、最初に顔を洗った。
これは、Aという物事からBの物事への継続した流れをつなぐ役割。
「それから」に言い換えることができます。
・怠慢経営を続けた。そして、2年後に倒産した。
・マラソンに初挑戦し、そして、筋肉痛で苦しんだ。
これは、Aという物事があり、その結果にBという物事が生じたということ。
「そのため」に言い換えができますね。
・教職員の資格がある。そして、スポーツインストラクターの資格もある。
・頭脳明晰で、そして、見た目も素晴らしい。
Aという物事に対し、Bという物事を付け加えていますね。
これは、「さらに」に言い換えできます。
ちなみに、この「付け加え」は「また」と同じ意味。
ですから、「また」に言い換えても違和感がありませんよ。
②「また」の意味とは!その役割は?
接続詞としての「また」の意味は、「列挙」「付加」の2つ。
・明日でもいいよ。また、明後日でも大丈夫。
・ボールペン、また、油性ペンにしてください。
これは、Aという物事とBという物事を並べています。
「あるいは」に言い換えることができます。
・彼は公認会計士だ。また、弁護士資格もある。
・富士山は日本一高い山であり、また、見た目も美しい。
Aという物事に、Bという物事を付け加えています。
「さらに」に言い換えが出来るほか、「そして」の「付け加え」とも同じ意味。
「そして」に言い換えても大丈夫ですね。
③「そして」と「また」は順番に決まりはあるのか?
「そして」と「また」、同じ接続詞として使う場合、順番に決まりがあるのか?
気になるところです…。
ですが、順番には決まりはありません。
「私はイヌが大好きだ。またネコも大好きで、そしてウサギも好き」
「私はイヌが大好きだし、そしてネコも大好き。また、ウサギも好き」
これは、「そして」と「また」をどちらも付け加える意味で使っていますが、順番をかえても意味がわかりますよね。
しかし、「付け加え」以外で使う場合は、必ず前の文との関係性が重要になりますので、全て順番を入れかえてもよいというものではありません。
「試験は鉛筆、また、シャーペンを使ってください。そして、必ず机に出してください」
これは、「また」が「列挙」で、「そして」が「継続」。
入れかえると、下のようになります。
「試験は鉛筆、そして、必ず机に出してください。また、シャーペンも大丈夫です」
意味が通じないことはありませんが、なんとなくスッキリしませんよね。
ですから「そして」と「また」は、文脈を考えながら順番を判断することが大切です。
あと、接続詞の多用や、同じ接続詞の連続使用は、文章が読みにくくなりますので使いすぎには気をつけてくださいね。
④「そして」と「また」の違いを整理!
それでは、ここで一度「そして」と「また」の違いを整理します。
「そして」は、前の物事と後ろの物事をつなぐ接続詞で、前の物事に対し「継続」「結果」「付け加える」役割。
接続詞としての「また」は、前の物事に対し「列挙」「付け加え」で後ろの物事とつなぐ役割があります。
ちなみに、副詞としての「また」は、全く意味が違いますので注意が必要!
副詞の「また」は、「台風がまた来る」のような「再び」や、「私もまた、人の心がある」のように「同様に」という意味があります。
2.「そして」と「また」の辞書での意味!
続いて、辞書による「そして」と「また」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「そして」の辞書での意味!
【そして】(而して・然して)
・(接)「そうして」の短縮形。
引用元:旺文社国語辞典
元々が「そうして」であり、変化したのが「そして」。
ということで、「そうして」を調べました。
【そうして】(然うして)
・(接)それから。そして。さらに。「友達と食事をした。―映画を見た」
引用元:旺文社国語辞典
「それから」が「継続」、「そして」となっていますがこの場合は「結果」、「さらに」が「付け加え」ですね。
②「また」の辞書での意味!
【また】(又・復・亦)
①(接)その上に。「学者であり、―政治家でもある」
②(接)あるいは。または。「バスでも、―電車でも行ける」
引用元:旺文社国語辞典
意味①が「付け加え」、意味②が「列挙」ですね。
3.「そして」と「また」の使い方!
次に、「そして」と「また」の使い方を例文で紹介します。
①「そして」の使い方!
・会社に到着した。そしてパソコンの電源を入れた。(継続)
・無事に就職。そして、それを機に結婚した。(結果)
・旅館でゲームをした。そして、ゆっくりと温泉にも浸かった。(付加)
・英語も話せるし、そして、スペイン語も話せる。(付加)
②「また」の使い方!
・旅館の浴衣は大きいサイズ、また、小さいサイズしかない。(列挙)
・白熱灯はないので、蛍光灯か、また、LEDのどちらか。(列挙)
・旅館でゲームをした。また、ゆっくりと温泉にも浸かった。(付加)
・英語も話せるし、また、スペイン語も話せる。(付加)
4.「そして」や「また」以外の使い方がまぎらわしい言葉!
「そして」や「また」のように、使い方がまぎらわしい言葉はたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「そして」と「また」の意味の違いと使い分けについてでした。
「そして」は、前の物事に対し「継続」「結果」「付け加える」接続詞。
接続詞としての「また」は、前の物事に対し「列挙」「付け加える」役割があります。
「そして」と「また」の順番に決まりはありませんが、文脈を考慮しながら使う必要がありますよ。
また、同じ接続詞の連続使用や、接続詞の多用は文章が読みにくくなります。
気をつけてくださいね。