「でも」と「しかし」。
同じような意味合いの言葉ですよね。
自分は仕事の中では、ほとんど「しかし」を使います。
特に文書をつくる時には、「でも」はほぼ使わないかな~。
ところで、この「でも」と「しかし」、本当に完全に同じ意味なのだろうか??
ということで、この2つの言葉の意味と使い方を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「でも」と「しかし」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「でも」と「しかし」の意味の違いと使い分け!
最初に、「でも」と「しかし」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
ただし、「係助詞」としての「でも」は、意味の幅が広く「他を類推」「だいたい」「全て」「せめて」という意味があります。
短くまとめると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①接続詞としての「でも」と「しかし」は使い分けが必要か?
接続詞としての「でも」と「しかし」は、どちらも前の文に対し「逆の内容」「つり合わない内容」を表す言葉で同じ意味です。
ですから、どちらを使っても同じということですね。
「逆の内容」の例は、以下のとおり。
・暑い夏がやってきた。 [しかし・でも] 、彼はいつも涼しそうだ。
・万全の準備をして試験に臨んだ。 [しかし・でも] 、結果は不合格だった。
前の文を打ち消して、逆の内容を表していますよね。
「つり合わない内容」の例文は、下のとおりです。
・よく結婚に踏み切ったね。 [しかし・でも] 、無職で生活は大丈夫?
・難関校に合格おめでとう! [しかし・でも] 、授業にはついて行けている?
前の文とつり合わない内容を表していますが、話題を転じているということもできます。
それから、「しかし」は前の文が無い場合もあります。
・ [しかし] 、この暑さでよく涼しそうにしていられるね。
・ [しかし] 、あの難関校によく合格できたね。
この使い方は、驚きや感動を表す使い方。
前の文が無い中で「しかし」を使っているのですが、実は前の文が見えないだけで存在しているとも言えます。
たとえば、最初の例文の前には「暑い夏がやってきたが」といった意味合いの文が入るのですが、省略しているということ。
これは、「逆の内容」ですね。
また、後半の例文の場合は、「誰もが認める秀才の■■が不合格となった○○校」といった意味合いの文が前に付きますが、省略されているのです。
この場合は、「つり合わない内容」ということ。
この場合の「でも」と「しかし」は同じ意味なのですが、比較的ビジネス上で多用されるのが「しかし」で、親しい関係の間で多く使われるのが「でも」です。
つまり「しかし」の方が、少しかたいイメージがあるのですね。
②係助詞としての「でも」は使い方がたくさん!
冒頭で短く説明しましたが、係助詞としての「でも」は大きく「他を類推」「だいたい」「全て」「せめて」といった4つの意味があります。
a.極端な例で他を類推させる「でも」
極端な例を出して、類似点を推測するといった「でも」の使い方があります。
「そんなことは、小学生 [でも] 知っているよ」
「小学生でも」といった極端な例を出し、子供でもわかるような簡単なことであるということを類推しているということ。
b.だいたいの物事を表す「でも」
だいたいの物事を表す「でも」の使い方もあります。
「冷たい物 [でも] 飲んで、一休みしようか」
「冷たい飲み物」といった、だいたいの休憩にふさわしい飲料を表しています。
c.全ての場合に後の物事が成立する「でも」
それから、「全部大丈夫ですよ」といった意味合いの使い方もあります。
「開催日は、いつ [でも] 大丈夫ですよ。」
何月何日であっても全て大丈夫ですよ、といった使い方。
d.「せめて…だけでも」の意味の「でも」
「せめて…だけでも」といった意味もありますよ。
「朝食は、少し [でも] いいので食べて行きなさい」
まさに「せめて…」といった意味合いですね。
③「でも」と「しかし」の違いを整理!
それでは、ここで一度「でも」と「しかし」の違いを整理します。
「接続詞」の「でも」と「しかし」はどちらも同じ意味で、前の文に対し、逆の内容やつり合わない内容を表す言葉。
ただし、「でも」の方は「接続詞」の他に「係助詞」としての使い方もあります。
この場合の「でも」は、「子供でもわかること」「コーヒーでも飲もう」「誰でもよい」「せめて、これだけでもやりなさい」など、主に4種類の使い方があります。
2.「でも」と「しかし」の辞書での意味!
続いて、辞書による「でも」と「しかし」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「でも」の辞書での意味!
【でも】
①(接)それはそうだが。しかし。
②(係助)極端な例を示して、他の場合を類推させる。「子供―知っている」
③(係助)だいたいの事柄を示す。「お茶―飲もうか」
④(係助)(不定称代名詞に付いて)すべての場合にあとの事柄の成り立つ意を表す。「なん―いただく」「だれ―よい」
⑤(係助)(あとに命令・願望・仮定を表す語を伴って)「せめて…なりとも」「…だけでも」の意を表す。「少し―食べなさい」「人目―会いたい」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりの内容ですね。
②「しかし」の辞書での意味!
【しかし(併し・然し)】
①(接)前の文や段落の事柄とあとの文や段落の事柄とが、逆あるいわつり合わない関係にあることを表す。けれども。だが。そうではあるが。
②(接)感動や驚きをこめて話し始めるのに用いる。それにしても。「―思いきった事をしたね」
引用元:旺文社国語辞典
意味①と意味②というように、意味が2種類になっていますが、前の項目で説明した内容と同じです。
3.「でも」と「しかし」の使い方!
次に、「でも」と「しかし」の使い方を例文で紹介します。
①「でも」の使い方!
・雨が降り始めた。でも運動会を決行する。
・プログラムについてはサルでも理解できるくらいに説明してもらわないと。
・お菓子でもいかがですか?
・この際、パソコンを使える人なら誰でもいいから。
・食欲がないのはわかるがスープだけでも飲んでおかないと。
②「しかし」の使い方!
・激しい雪で前が見えない。しかし、高速道路なので止まるわけにはいかない。
・これは無理じゃないか?しかし、「無理」とか言っている場合じゃないか。
・よく退職を決断したね。しかし、今後の生活は大丈夫?
・家を売った?しかし、思い切ったね。
・しかし、よく起業できたね。
4.「でも」や「しかし」以外の使い方がまぎらわしい言葉!
「でも」や「しかし」のように、使い方がまぎらわしい言葉はたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「でも」と「しかし」の意味の違いと使い分けについてでした。
接続詞の「でも」と「しかし」はどちらも、前の文に対し、逆の内容やつり合わない内容を表す言葉です。
つまり、接続詞の「でも」と「しかし」は同じ意味ですね。
ただし、「しかし」はかたいイメージで、ビジネスで多用されます。
一方の「でも」はやわらかいイメージで、親しい関係の間で多用されます。
接続詞ではなく係助詞の「でも」は、上の内容とは違った意味でも使われますよ。