「又は」と「または」。
普段は、漢字の「又は」はあまり目にしません。
これって、なぜ漢字が使われていないのか、不思議ですよね…。
使い方の決まりがあるのだろうか…。
ということで、この2つの言葉の使い方を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「又は」と「または」の意味と使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「又は」と「または」の意味と使い分け!違いはある?
最初に、「又は」と「または」の意味と使い分けを簡潔にお伝えします。
そして、接続詞についてはなるべく漢字ではなく仮名、つまり「または」と書きます。
ただし、公用文については漢字、つまり「又は」と表記しなくてはいけません。
簡単にまとめると、こういった使い分けです。
それでは、こういった使い分けの根拠などについて、詳しく紐解いていきますね。
①「又は」と「または」、なるべく仮名表記の理由!
基本的には「又は」ではなく、仮名表記である「または」を使いましょう。
ただし、これはあくまでも「なるべく」であり、絶対ではありませんよ。
これは「または」だけではなく、他の接続詞も対象となります。
たとえば、以下のとおり。
「或いは」→「あるいは」
「尚」→「なお」
「従って」→「したがって」
なんとなく、普段はこういった接続詞の漢字表記は目にしませんよね。
これは、遠い昔に国が定めたルールにのっとっているのです。
そのルールとは、昭和21年(1946年)11月5日の「当用漢字表(使用上の注意事項)」にあります。
昭和21年11月5日
当用漢字表
使用上の注意事項
ロ 代名詞・副詞・接続詞・感動詞・助動詞・助詞は,なるべくかな書きにする。
引用元:昭和21年11月5日「当用漢字表(使用上の注意事項)」
ちなみにこれは、現在は無くなった「当用漢字表」に関する注意事項です。
現在は「常用漢字表」を使用しており、「当用漢字表」は無くなりました。
ですから、厳密には守る必要はありません。
惰性で、過去の注意事項が継続されているということですね。
まあ、使い方が身に染みてしまったようなものかもしれません。
②「又は」と「または」、公用文は漢字表記の理由!
基本的には、なるべく仮名表記の「または」を使いますが、これが公用文となると違ってきます。
公用文の場合は、漢字表記の「又は」を使わなくてはいけません。
公用文ですので、官公庁が作成する文書が対象。
ですから、私的な文書や民間企業は関係ありませんよ。
その根拠は、平成22年(2010年)11月30日の「公⽤⽂における漢字使⽤等について」にあります。
内閣訓令第1号
公⽤⽂における漢字使⽤等について
なお,昭和56年内閣訓令第1号は,廃⽌する。
平成22年11⽉30⽇
(別紙)
公用文における漢字使用等について
1 漢字使用について
(2) 「常用漢字表」の本表に掲げる音訓によって語を書き表すに当たっては,次の事項に留意する。
オ 次のような接続詞は,原則として,仮名で書く。
例 おって かつ したがって ただし ついては ところが ところで また ゆえに
ただし,次の4語は,原則として,漢字で書く。
及び 並びに 又は 若しくは
引用元:平成22年11⽉30⽇ 内閣訓令第1号「公⽤⽂における漢字使⽤等について」
「又は」の他に、「及び」「並びに」「若しくは」も漢字を使わなくてはいけません。
実は、この取り扱いは平成22年からではなく、昭和56年からです。
昭和56年のものを平成22年に一部修正したということですね。
接続詞4語の漢字表記は、昭和56年から変わっていません。
③「又は」と「または」の意味と使い分けを整理!
それでは、ここで一度「又は」と「または」の違いを整理します。
「又は」と「または」はどちらも接続詞で、2つ以上の物事を列挙し、どれかを選択するための言葉。
一般的には、なるべく仮名表記の「または」を使いましょう。
ただし、会社独自の文書作成基準などで決まりがある場合は、その決まりに従ってくださいね。
また、公用文については、必ず漢字表記の「又は」を使わなくてはいけません。
2.「又は」と「または」の辞書での意味と使い方!
続いて、辞書による「または(又は)」の意味と、使い方を例文で紹介します。
①「または(又は)」の辞書での意味!
【または(又は)】
・(接)それでなければ。あるいは。「父―母が出席します」
引用元:旺文社国語辞典
AなのかBなのか、どちらかを選択するための接続詞ですね。
②「または(又は)」の使い方!
・イタリアン、またはフレンチ、どっちにしましょうか?
・必ず油性ボールペン、または油性サインペンを使ってください。
・熱いうどん、または冷たいうどんでも大丈夫ですよ。
・パン、またはご飯から選ぶことができます。
・バス、またはタクシーで来てください。
3.「又は」や「または」以外の使い方がまぎらわしい言葉!
「又は」や「または」のように、使い方がまぎらわしい言葉はたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「又は」と「または」の意味と使い分けについてでした。
公用文では、漢字の「又は」を使うことが定められています。
そして、公用文以外ではなるべく仮名表記の「または」を使いましょう。
ですから、私的な文書や民間企業であれば仮名表記の「または」。
ただし、これは絶対ではありませんよ。
会社独自のルールがある場合は、そのルールに従ってくださいね。