「抑留」と「拘禁」。
この言葉を辞書で調べると、どちらも「身柄拘束」といった説明がされています。
人の自由を奪ってしまうことに違いはありませんが、では何がどのように違うのか??
わかりやすく説明されている資料って、なかなかありませんよね…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「抑留」と「拘禁」には微妙な違いがありました!!
本記事では、「抑留」と「拘禁」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「抑留」と「拘禁」の意味の違い!
最初に、「抑留」と「拘禁」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「拘禁」とは、人を捕らえて一定の場所に閉じ込めておくこと。
法律用語としての「抑留」は短期間の身柄拘束のことで、法律用語としての「拘禁」は長期間の身柄拘束のこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「抑留」の「拘禁」の違いをくわしく!
「抑留」は一定の場所に無理におさえとどめることで、「拘禁」は人を捕らえて一定の場所に閉じ込めておくこと。
どちらも、やっていることは人の自由を奪ってしまうことであり、同じことをしています。
ただし、「抑留」はおさえてとどめる、「拘禁」は捕らえて閉じ込める、ということで「拘禁」の方が自由の奪い方が厳重になります。
あくまでも、言葉の持つ意味のイメージですよ。
「抑留」の「抑」は、「おさえる」という意味。
「抑圧」「抑止」「抑揚」といった使い方をします。
「抑留」の「留」は、「とどめる」「とめる」という意味。
「保留」「停留所」「残留」といった使い方をします。
ということで、「抑留」は人の自由を「おさえて」、「とどめる」ということ。
「拘禁」の「拘」は、「つかまえる」「とらえる」という意味。
「拘束」「拘置所」といった使い方をします。
「拘禁」の「禁」は、「とじこめる」という意味。
「監禁」「禁固刑」といった使い方をします。
ということで、「拘禁」は人を「つかまえて」、「とじこめる」ということ。
「とどめる」と「とじこめる」は、どちらも自由な行動ができなくなりますが、「とじこめる」方がより厳しく制限されるイメージです。
②法律用語の「抑留」と「拘禁」の違い!
法律用語としての「抑留」と「拘禁」は、どちらも人を拘束することです。
ですから、一見すると意味が同じ。
ただし、その拘束する期間により「抑留」と「拘禁」が使い分けされています。
短期間の身柄拘束が「抑留」、長期間の身柄拘束が「拘禁」。
「逮捕」も身柄を拘束することなのですが、実はこの「逮捕」とは「抑留」するための手段なのです。
ですから、「逮捕」から自然に「抑留」という流れになるわけですね。
この期間が短期間であれば、これが「抑留」。
そして、「逮捕」から「送検」され、「起訴」の後に裁判で「判決」となります。
この間に、証拠隠滅や逃亡のおそれがある人は自由な行動が許されません。
したがって、長期間身柄を拘束されますが、これが「勾留」であり、つまりは「拘禁」しているということです。
また、判決後は「刑務所」で拘束されるのですが、これも「拘禁」されているということ。
ちなみに、「拘置所」は判決前に拘束される場所なのですが、刑罰の種類によって判決後に「刑務所」ではなく「拘置所」で拘束される人もいます。
これも「拘禁」です。
③「抑留」と「拘禁」の違いを整理!
それでは、ここで一度「抑留」と「拘禁」の違いを整理します。
一定の場所に無理におさえとどめることが「抑留」。
そして、人を捕らえて一定の場所に閉じ込めておくことが「拘禁」。
ただし法律用語としては、短期間の身柄拘束が「抑留」、長期間の身柄拘束が「拘禁」です。
2.「抑留」と「拘禁」の辞書での意味!
続いて、辞書による「抑留」と「拘禁」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「抑留」の辞書での意味!
【抑留】
①無理におさえとどめておくこと。
②[法]㋐逮捕や勾引によって短期間身柄を拘束すること。
②[法]㋑国際法上、他国の人や船舶を強制的に自国内にとどめおくこと。
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
法律用語の意味②の㋑は説明しませんでしたが、こういった意味もあるようです。
まあでも、「おさえとどめておく」ということですね。
②「拘禁」の辞書での意味!
【拘禁】
①人を捕らえて一定の場所に閉じ込めておくこと。監禁。
②[法]被告人・被疑者などを比較的長期間留置場などに拘束すること。
引用元:旺文社国語辞典
内容は説明どおりですね。
3.「抑留」と「拘禁」の使い方!
次に、「抑留」と「拘禁」の使い方を例文で紹介します。
①「抑留」の使い方!
・留置所は、被疑者を抑留するために警察署に設けられた施設。
・72時間の抑留で取り調べを受けた後のことは覚えていない。
・現代峨山の社員が開城工業団地に抑留されてから15日になる。
・北朝鮮に抑留されていた韓国漁船と船員4人が29日に解放され、韓国側に引き渡された。
②「拘禁」の使い方!
・内戦で荒廃したシリアの拘禁施設で人道に対する罪に当たる行為に及んだ疑いがある。
・ビルマのヤカイン州では警察が人権活動家を恣意的に拘禁した。
・執行猶予違反の罪で自宅拘禁中だったリンジー・ローハンが、刑期満了で自由となった。
・カルロス・ゴーン被告が拘禁されていた東京拘置所。
4.「抑留」や「拘禁」には似た意味の言葉がたくさんある!
「抑留」や「拘禁」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「抑留」と「拘禁」の意味の違いと使い分けについてでした。
「抑留」は、一定の場所に無理におさえとどめること。
「拘禁」は、人を捕らえて一定の場所に閉じ込めておくこと。
「おさえとどめる」と「捕らえ閉じ込める」の違いです。
そして、法律用語としての「抑留」は短期間の身柄拘束のことで、法律用語としての「拘禁」は長期間の身柄拘束のこと。