「金」と「黄金」。
これまでの人生で、「金」と「黄金」の違いなど考えたこともありませんでした…。
つまり、自分の頭の中では「同じ物」という認識です。
でもよくよく考えると…。
「金メダリスト」とはいいますが、「黄金メダリスト」といいません…。
ということは、「金」と「黄金」には違いがあるということ??
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「金」と「黄金」には微妙な違いが存在しました!
本記事では、「金」と「黄金」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「金」と「黄金」の意味の違い!
最初に、「金」と「黄金」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
また「金」と「黄金」は、どちらも「きん色」「おかね」「貴重なもの」という意味もあります。
ただし、「金」は「金属」や「かたいもの」といった意味がありますが、「黄金」には「金属」「かたいもの」という意味はありません。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「金」「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」とは!
「金」「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」は、全て同じ「きん」。
美しい光沢を放つ貴金属のひとつ、「きん」のことです。
「金」は字のとおりですが、「黄金(おうごん)」も「黄金(こがね)」も「きん」。
ちなみに、「金メダリスト」の「金」は、この「きん」のことです。
冒頭で「黄金メダリスト」とは言わないと記載しましたが、確かにそのとおり。
「黄金メダリスト」とは言いませんが、「黄金のメダル」といった表現でも間違いではありませんよ。
そして、「きん」は「貴金属」ですので貴重な金属です。
ですから、貴重である「おかね」「金銭」のことも「金」「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」と呼ばれるようになりました。
「金」であれば、「金一封」「手切れ金」といった使い方。
「黄金(おうごん)」は例文がありませんが、貨幣の意味があります。
「黄金(こがね)」も例文がありませんが、かつては「大判」「小判」のことを「黄金(こがね)」と呼んでいました。
また「おかね」以外でも、「金」と「黄金(おうごん)」は「貴重なもの」のたとえとして使われます。
たとえば、「金」であれば「金言」。
「黄金(おうごん)」であれば「黄金(おうごん)時代」「黄金(おうごん)の左ストレート」といった使い方。
さらに「金」「黄金(こがね)」は、貴金属の「きん」から、その色を表す言葉としても使われます。
「金髪が似合う」といった使い方や、稲穂が揺れる様子を「黄金(こがね)の波」といいます。
「黄金(こがね)の波」の「こがね」は、「こがね色」のことですね。
②「金」独自の意味とは!
「金」「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」は、おおむね同じ意味なのですが、違いもあります。
それは、「金」には全ての「金属」の意味があるのです。
たとえば、「板金」や「合金」といった使い方。
この「金」は、美しい貴金属の「金」ではなく、「金属」の意味です。
さらに、「金属」は「かたい」ものですので、かたいもののたとえとして使われます。
たとえば「金城」、これは堅固な城の意味。
こういった、「金属」や「かたいもの」という意味は、「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」にはありまあせん。
「金」独自の意味ということですね。
③「金」と「黄金」の違いを整理!
それでは、ここで一度「金」と「黄金」の違いを整理します。
「きん」=「金」「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」
「おかね」=「金」「黄金(おうごん)」「黄金(こがね)」
「貴重なもの」=「金」「黄金(おうごん)」
「きん色」=「金」「黄金(こがね)」
「金属」=「金」
「かたいもの」=「金」
2.「金」と「黄金」の辞書での意味!
続いて、辞書による「金」と「黄金」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「金」の辞書での意味!
【金】
①かね。金属。「金石・金鉄・合金」
②かなもの。刀。「金瘡」
③きん。こがね。「黄金・金塊・金貨・純金・砂金」
④金色の。「金髪・金柑」
⑤美しい。美しいもののたとえ。「金魚・金殿玉楼」
⑥堅固な。かたいもののたとえ。「金剛不壊・金城鉄壁」
⑦貴い。たいせつな。貴重なもののたとえ。「金言・金科玉条」
⑧通貨。おかね。「金銭・金額・現金・即金・元金・貯金・募金」
⑨五行の一つ。ごん。
⑩七曜の一つ。「金曜」または「金曜日」の略。
引用元:旺文社国語辞典
意味①②⑥はともに説明どおり、「金属」と「かたいもの」のこと。
意味③が「きん」、意味④は「きん色」、意味⑦が「貴重なもの」、意味⑧が「おかね」のことで、説明どおり。
以降は説明していまませんが、意味⑤は「美しいもの」。
意味⑨は「五行」、「木」「火」「土」「金」「水」の五つの元素の一つ。
意味⑩は「金曜日」のことですね。
②「黄金」の辞書での意味!
【黄金(おうごん)】
①きん。こがね。「―の杯」
②金銭。貨幣。
③非常に価値あるもののたとえ。「―の左腕」
引用元:旺文社国語辞典
「黄金(おうごん)」は「色」の意味がありません。
【黄金(こがね)】
①きん。おうごん。
②金貨。
③(「こがね色」の略)金のように輝く黄色。「―の波(=実った稲穂の形容)」
引用元:旺文社国語辞典
「黄金(こがね)」は「貴重なもの」という意味がありません。
3.「金」と「黄金」の使い方!
次に、「金」と「黄金」の使い方を例文で紹介します。
①「金」の使い方!
・純金製のボードゲームが発売される。(きん)
・対象者は条件に応じた割増退職金を受け取る。(おかね)
・「謙虚な姿勢を失うな」との金言を授かった。(貴重)
・金ボタンのロング丈コートを羽織る。(色)
②「黄金」の使い方!
・「黄金のトイレ」が英国のブレナム宮殿から盗まれた。(きん)
・女子プロゴルフ界の中心にいるのが1998年度生まれの「黄金世代」。(貴重)
・エコーライン沿いは黄金色の田んぼの背景に八ヶ岳を望める絶景スポット。(色)
・仮想通貨は今も「デジタル黄金」。(おかね)
4.「金」や「黄金」には似た意味の言葉がたくさんある!
「金」や「黄金」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「金」と「黄金」の意味の違いと使い分けについてでした。
「金」「黄金」は、ともに「きん」「おかね」「貴重なもの」「きん色」のこと。
ただし、「金」は「金属」と「かたいもの」といった意味があります。
「黄金」には、「金属」の意味も「かたいもの」の意味もありません。