テレビでニュースをみていると、「大義」という言葉が出てきます。
総理に対し「解散は大義があるのか!」といった具合。
そして、四字熟語に「大義名分」という言葉があります。
「リストラをする大義名分になるものか…」
といった使い方をします。
なんとなく、自分は同じような意味だと思っていましたが…。
ということで、この「大義」と四字熟語の「大義名分」を、徹底調査してみることにしました。
本記事では、「大義」と「大義名分」の意味の違いや使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「大義」と「大義名分」の意味の違い!
最初に、「大義」と「大義名分」の違いについて端的にお伝えしますね。
「大義名分」とは、人が守らなくてはいけない行動のこと、また行動を起こす根拠のことです。
どちらも、人間としての正しい行動と、行動の重要性や根拠という意味も。
ほぼ同じような意味に見えてしまいますが、わかりやすく紐解いていきますね。
①「大義」の意味とは!
まずは、「大義」の意味からわかりやすく解説していきます。
「大義」とは、最初に説明したとおり「人が行うべき正しい道」のこと。
そして「行動の重要性」という意味もあります。
わかりやすく言ってしまえば、「人として批判されることのない正しい行動」のことですね。
これは、「道義」と言い換えることができます。
そして「行動の重要性」なので、「その行動はどれほどの価値があるのか?」と聞かれた時に「こんなに大切な意味があるんだよ!」という返答も「大義」ということになります。
②「大義名分」の前に、「名分」の意味とは!
「大義」の説明をしましたので、今度は「大義名分」の「名分」を説明します。
「名分」とは、「身分や立場になどに応じて守らなくてはいけない規則」のこと。
この「守らなくてはいけない規則」という部分が「大義」とは違う部分になるのですね。
君主国家の場合は、その国家の王様のもとで、その人が守らなくてはいけないということ。
「大義」は人としての正しい行動で、「名分」は国民としての守るべき規則。
「名分」の方が、締めつけが厳しくなるイメージですね。
そして、「行動を起こす理由」といった意味もあります。
これは、「大義」の後半の意味である「行動の重要性」とほぼ同じような意味になります。
③「大義名分」の意味をわかりやすく解説!
「大義」と「名分」の意味を説明したところで、「大義名分」の意味をわかりやすくまとめますね。
「大義」は人としての正しい行動で、「名分」は国民としての守るべき規則ですので、合わせると以下のとおりです。
「大義名分」とは、人として正しく、さらに国民として守らなくてはいけない規則のこと。
つまり、「大義」より上からの縛りがある分、他者からの批判を受けにくくなります。
ですがこの「大義名分」の場合は「名分」単独の意味とは違い、「規則」といっても実際の「法律」などのことではなく「正しい人の道」を厳しくしたイメージです。
この「大義名分」という四字熟語は、中国の儒教がもとになった言葉。
君主の命令は、絶対に正しいことであり、それは絶対に守らなくてはいということがもとになっているのです。
一人の君主の指示が絶対に正しいというのも少し恐ろしいものが…。
そして、この「大義名分」があれば、ほぼ全ての人が反対しにくくなるということでもあります。
④「大義」と「大義名分」の違いを整理!
ということで、一旦「大義」と「大義名分」の違いを整理します。
「大義」は、人としての正しい行動のことで、道義ともいいます。
「大義名分」は、人として正しく、国民として守るべき規則のようなもの。
ですから、「大義名分」の方が上からの締め付けがある分、他者からの文句は出にくくなります。
そして、「大義」と「大義名分」の共通している部分が、「その行動の重要性、理由」ということ。
ですが、実際には「大義」と「大義名分」はほぼ同じような意味として使われており、細かい使い分けはされていないのが現実です。
2.「大義」と「大義名分」の辞書での意味!
今度は、一応ですが「大義」と「大義名分」の意味を辞書で確認していきます。
①「大義」の辞書での意味!
【大義】
①人がふみ行うべき大切な道義。特に君主・国家に対してつくすべき道。「―を守る」
②重要な意義。
引用元:旺文社国語辞典
意味①は最初の説明とだいたい同じです。
ただし、「特に君主・国家にたいして…」とありますが、「つくすべき道」とありますので上からの締め付けはありません。
意味②は最初の項のとおりです。
②「大義名分」の辞書での意味!
【大義名分】
①人として、また臣民として守らなければならない節義と本分。
②何かをするよりどころとなる、正しくもっともな理由。「―が立つ」
引用元:旺文社国語辞典
意味①に「臣民として」とありますが、これは「君主の支配下で」ということ。
そして、正しい道を守りとおすという意味の「節義」「本分」と説明しています。
「規則」といった厳しい表現ではありません。
ですが、「名分」を単独で調べると「守るべき分限」という表現になります。
「分限」とは「規則」のことですね。
意味②は最初の項のとおりです。
3.「大義」と「大義名分」の使い方!
最後は、「大義」と「大義名分」の使い方を例文でご紹介します。
①「大義」の使い方!
・その解散総選挙は大義があるといえるのか。
・平等であるという大義を唱えていく。
・いつでも大義に殉ずるのが武士道だ。
・大義のためには耐えなくてはいけない。
②「大義名分」の使い方!
・経営状態が悪化したこと自体がリストラの大義名分になる。
・退職はこれまでお世話になった人に対する大義名分が必要だ。
・オーストラリアで勉強することが会社を休む大義名分になるだろうか。
・稼業に専念するという大義名分を立て、会長職の辞任を申し出る。
ということで、例文をみていただいてもわかると思いますが、「大義名分」は正式な「規則」にしたがっているものではありません。
まとめ
以上が、「大義」と「大義名分」の意味の違いや使い分けについてでした。
人としての正しい行動が「大義」のことです。
「大義」は「道義」と言い換えることができます。
そして「大義名分」とは、人として正しく、国民として守るべき規則のようなもの。
実際に「規則」ではないのですが、それほどのものということです。
ですから「大義名分」の方が若干強い意味があり、他者からの批判を抑えつけることができます。
そして、両者とも「行動の重要性」や「行動の理由」という意味もあります。