「均等」と「均衡」。
意味が似ていて、まぎらわしいですよね…。
ですが、たとえば…。
「均等な軍事力」
「均衡した軍事力」
というように、2つの使い方を並べてみると、なんとなく意味が違うような…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「均等」と「均衡」には明確な違いがありました!
併せて、「均等待遇」と「均衡待遇」の違いも調べてみましたよ。
本記事では、「均等」と「均衡」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「均等」と「均衡」の意味の違い!
最初に、「均等」と「均衡」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「均衡」とは、2つ以上の物事の間につり合いが取れていること。
そして、労働者における「待遇」の違いについては以下のとおりです。
「均等待遇」とは、労働内容が同じであれば同じ賃金を支払うこと。
「均衡待遇」とは、労働内容に違いがあればつり合いの取れた賃金を支払うこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①一般的な「均等」と「均衡」の違い!
2つ以上の物事の間で、「均等」は差が全くなく等しいことであり、「均衡」はつり合いが取れていること。
わかりやすくするために、「均等」と「均衡」を「軍事力」にたとえますね。
たとえば、両国間の軍事力において、「軍事予算」「兵員」「戦闘機」「戦車」といった物が同じだった場合、これは「均等」です。
つまり両国間は、軍事力においては全く差がなく等しいということ。
この場合、「両国間の軍事力は均等と考えてよいでしょう」といった使い方をします。
一方の「均衡」は、必ず差がなく等しいということではありません。
仮に、A国とB国が一触即発の敵対関係だった場合。
たとえば、A国が圧倒的な軍事予算と人員を有していたとします。
片やB国では、お金も無ければ人もいない状況であっても、強力な兵器を有していたならば…。
A国がB国の兵器を脅威に感じ、手出しができない状態となります。
つまり、両国間で紛争が起きなかったということであれば、「均衡」が取れているということですね。
必ず等しいということではなく、つり合いが取れているということ、これが「均衡」です。
具体的には、「国家間の軍事力の均衡により、紛争は避けられた」といった使い方をします。
②「均等待遇」と「均衡待遇」の違い!
「均等待遇」は、労働内容が同じであれば同じ賃金を支払うこと。
たとえば、正社員が1人と派遣社員が1人、またアルバイト1人で3人の従業員がいたとします。
そして、この3人が1カ月間全く同じ仕事を行った場合、全員に全く同じ賃金を支払うこと。
要するに、仕事の内容が同じならば、それぞれの雇用形態が違っても同じ賃金を支払う、これが「均等待遇」です。
「均衡待遇」は、労働内容に違いがあればつり合いの取れた賃金を支払うこと。
この場合の労働内容の違いというのは、具体的に①職務内容、②職務内容と配置の変更の範囲、③その他事情といった3つ、この違いを考慮してつり合いを取るということです。
①職務内容とは、業務の内容と責任の大きさのこと。
また、②職務内容と配置の変更の範囲とは、人事異動の範囲のこと。
そして③その他事情とは、個人の努力であげた業績、個人のこれまでの経験、個人の能力といったもの。
労働者の中には、「重い責任を負うのは嫌だ」「転勤はしたくない」「経験不足」といった人がおります。
そういった、様々なものを考慮してつり合いの取れた賃金を支払うこと、これが「均衡待遇」です。
③「均等」と「均衡」の違いを整理!
それでは、ここで一度「均等」と「均衡」の意味の違いを整理します。
2つ以上の物事の間に、差が全くなく等しいのが「均等」。
2つ以上の物事の間に、つり合いが取れているのが「均衡」。
労働内容において、全く同じ場合に同じ賃金を支払うのが「均等待遇」、違う場合につり合いの取れた賃金を支払うのが「均衡待遇」です。
2.「均等」と「均衡」の辞書での意味!
続いて、辞書による「均等」と「均衡」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「均等」の辞書での意味!
【均等】
・みなひとしいさま。平等。「機会―」「―に配分する」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「均衡」の辞書での意味!
【均衡】
・二つ以上の物事の間につりあいがとれていること。バランス。「―を保つ」「不―」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりです。
3.「均等」と「均衡」の使い方!
最後に、「均等」と「均衡」の使い方を例文で紹介します。
①「均等」の使い方!
・タイヤの場所を入れ替え、溝の減り方を均等にする方法がタイヤローテーション。
・肥満に苦しむ人と飢餓に苦しむ人がいることが食の不均等。
・教育機会の均等を促進する。
・高等教育を受ける機会を均等にするように提言する。
②「均衡」の使い方!
・新たな借金なしで歳入と歳出を均衡させなければならないのか?
・目指した転出と転入の均衡は実現せず人口は減少した。
・さらに貿易不均衡によって貿易戦争に至ろうとさえしている。
・インドは現在、米国などとの間で中国の台頭に対する勢力の均衡について協議。
まとめ
以上が、「均等」と「均衡」の意味の違いと使い分けについてでした。
「均等」は、2つ以上の物事の間に差が全くなく等しいこと。
「均衡」は、2つ以上の物事の間につり合いが取れていること。
そして、労働環境については以下のとおりです。
「均等待遇」は労働内容が同じであれば同じ賃金を支払うことで、「均衡待遇」は労働内容に違いがあればつり合いの取れた賃金を支払うこと。
これも、賃金が全く同じなのが「均等待遇」で、賃金につり合いが取れているのが「均衡待遇」ですので、言葉の持つ意味のとおりですね。