「給与」と「給付」。
まぎらわしい言葉ですが、漢字そのものも似ています…。
「給」は共通で、「与える」と「付ける」の違い…。
「給与」の方は「給与明細」というように、毎月もらえる給料のイメージがあります…。
しかし、「給与」にはその他の意味があるらしい…。
その辺が「給付」とのまぎらわしい部分ということなのだろうか…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「給与」と「給付」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「給与」と「給付」の意味の違い!
最初に、「給与」と「給付」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「給付」とは、公的機関や保険会社などが、ある規定に基づき金品を払い渡すこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「給与」の意味とは!
「給与」には2つの意味があります。
「給与」の意味の1つ目、品物や金銭をあてがい与えることから説明しますね。
現在は滅多に使われませんが、労働に対する対価ということではなく、「金品をあてがい与える」という意味があります。
「あてがい与える」とは、「払い渡す」や「引き渡す」ことではありません。
似てはいますが、「あてがう」というのは「適当と思われるものを与える」ということ。
たとえば、「彼には、酒さえあてがっておけば静かになる」「子供がうるさいので玩具をあてがう」といった使い方をします。
少し、上から目線で嫌な言葉ですよね…。
しかも、「あてがい与える」の「与える」もかなり上から目線。
「与える」を詳しく説明すると、「恩恵的な意味で目下の者に授ける場合に多く用いる」となっています。
ですから「与える」とは、単に「渡す」よりも高圧的な言葉ということ。
そういった意味が、最近滅多に使われない理由なのかもしれません。
具体的な使い方については以下のとおり。
「作業用の個室を給与される」
「工具を給与する」
「制服が給与された」
こういった使い方をします。
続いて「給与」のもう1つの意味が、官公庁や会社などから労働の見返りとして支払われる全ての金銭のこと。
これは、勤務する会社などから毎月もらえるお金のことです。
働きに対する対価のことですね。
ちなみに、「給与」というと「給料」を思い浮かべる方が多いと思いますが…。
「給与」は時間外手当やボーナスなど含む全てのお金こと。
そして、「給料」にはそういった手当は含まれていません。
具体的には、「給与明細書」「給与所得控除」といった使い方をします。
②「給付」の意味とは!
「給付」は、公的機関や保険会社などが、ある規定に基づき金品を払い渡すこと。
まず払い渡す側が、国や公共団体といった公的機関、保険会社などというようにかなり限定的になります。
よく「給付金」という言葉を耳にしますが、これはほぼ公的機関と保険会社などが払い渡しているのですね。
公的機関では東日本大震災の被害に関連し「住まいの復興給付金」というものがありますし、保険会社であれば「入院給付金」というものがあります。
そして、こういった「給付」は公平性が重要視されますので、厳正に審査されます。
その時の審査に使われるのが「規定」。
手を上げた人全てがもらうことができる、という物ではありません。
規定に基づいて、「給付」を受ける人が特定されるということ。
ちなみに、「給付」で払い渡すものは「金品」となっています。
つまり、「金銭」と「品物」。
「金銭」は先ほどの「給付金」が該当しますが、「品物」では「商品券」などが払い渡されることがあります。
③「給与」と「給付」の違いを整理!
それでは、ここで一度「給与」と「給付」の違いを整理します。
品物や金銭をあてがい与えること、また、官公庁や会社などから労働の見返りとして支払われる全ての金銭、という2つの意味を持つのが「給与」。
公的機関や保険会社などが、ある規定に基づき金品を払い渡すのが「給付」。
「給与」と「給付」、言葉は似ていますが性質は全く違います。
2.「給与」と「給付」の辞書での意味!
続いて、辞書による「給与」と「給付」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「給与」の辞書での意味!
【給与】
①品物や金銭をあてがい与えること。また、その品物や金銭。「現物―」「制服を―する」
②官公庁や会社などに勤める人に支払われる賃金・手当などをまとめた呼び名。給料。サラリー。俸給。「―所得」
引用元:旺文社国語辞典
意味が2種類で、内容も説明どおりですね。
②「給付」の辞書での意味!
【給付】
・国や公共団体などが金品を支給すること。「補助金の―」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
3.「給与」と「給付」の使い方!
次に、「給与」と「給付」の使い方を例文で紹介します。
①「給与」の使い方!
・会社が社員に衣服を支給する場合には現物給与として所得税の対象となることがある。
・業界の多くが給与に不満を抱えているなどの実態が明らかになる。
・従業員への食事代は、福利厚生費か給与のどちらかで処理される場合がほとんど。
・地方の安い給与水準に全体が引っ張られているようなケースもある。
②「給付」の使い方!
・家計向け現金給付について、基準を全国で一律にする方針。
・生命保険各社が入院給付金の支払い対象とする方向で検討していることが判明。
・「かんたん請求」で簡単で迅速な給付金支払いに対するお客さまのニーズに対応。
・現金給付の考え方について、制度設計の背景について説明した。
4.「給与」や「給付」には似た意味の言葉がたくさんある!
「給与」や「給付」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「給与」と「給付」の意味の違いと使い分けについてでした。
「給与」は、品物や金銭をあてがい与えること、また、官公庁や会社などから労働の見返りとして支払われる全ての金銭のこと。
「給付」は、公的機関や保険会社などが、ある規定に基づき金品を払い渡すこと。
与えるのが「給与」、付けるのが「給付」です。