「長らく」と「永らく」。
どちらも読み方は「ながらく」です。
同じ読み方なのに、漢字が異なる言葉って多いですよね…。
しかも、意味が全く違う場合もあります…。
では、この「長らく」と「永らく」…違いはあるのだろうか??
実は、微妙な違いがあるみたいです…。
ということで、この2つの言葉を徹底的に深掘りしてみましたよ!
本記事では、「長らく」と「永らく」の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり掘り下げましたので、ご期待ください!
1.「長らく」と「永らく」の意味の違い!
最初に、「長らく」と「永らく」の意味の違いを端的にお伝えします。
「永らく」とは、時間的に「長らく」より遥かに「長い」ことで、つまり「かなり長い間」「相当に長い期間」のこと。「終点」があるものの他に「終点」がないものにも使われる。
一言にまとめると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に深掘りしていきますね。
①「長らく」の意味とは!
「長らく」は、時間的に「長い」ことであり、「長い間」「長い期間」のこと。
ですから、距離的に「長い」物事には使えません。
具体的には…。
①「長らくお待たせしております」
②「長らく雨が降っていませんので、農作物が心配です」
③「すみません。長らく入院していたもので…」
こういった使い方ですね。
この、「長い」に関する「期間」に決まりがあるわけではありませんが…。
例文でもわかるとおり、数分から数年レベルの長さに多く使われます。
例文①は数分、②は数週間、③は数週間~数か月くらい。
ですが、数年~数十年の長さに「長らく」を使っても間違いではありませんよ。
それから、「長らく」を使う物事には「終点」が存在することが多くなります。
例文①は待たされていますが解決することが終点、②は雨が降る日が終点、③は退院日が終点ということ。
もちろん、「終点」がない物事に「長らく」を使っても間違いではありません。
この「期間」と「終点」の有無については、使い分ける際の一つの目安にしてください。
②「永らく」の意味とは!
「永らく」も時間的に「長い」ことなのですが、「長らく」より遥かに「長い」ことです。
つまり、「かなり長い間」「相当に長い期間」ということ。
「永らく」の「永」は、「永遠」「永久」などに使われますが…。
「永遠」「永久」は、「果てしなく続く」「際限なく持続する」といった意味があります。
このように、遥かに長いという意味で用いられるのが「永」の方なのですね。
具体的には…。
①「明治の時代から永らく旅館業を営んできた老舗が、廃業するらしい」
②「この路線バスは、永らく市民の足として親しまれている」
③「永らく氷河に覆われた山脈として知られてきたヒマラヤは…」
このような使い方です。
こちらの「永らく」も、「長さ」に関する「期間」に規定があるわけではありません…。
ですが、例文のとおり数十年以上の長さに多く使われます。
例文①は百数十年、②は不明ですが数十年レベル、③は数百年以上でしょう。
ただし、数十日~数年の長さに「永らく」を使っても間違いではありませんよ。
また、「永らく」を使う物事には、「終点」が存在する場合と存在しない場合があります。
例文①は「廃業日」という終点がありますが、②と③には終点がありません。
延々と継続しており終点がない物事には「永らく」が適しています。
ただし、「終点」がない物事に「長らく」を使っても間違いではありません。
「永らく」のだいたいの「期間」と「終点」の有無にについて説明しましたが、あくまでも使い分ける際の一つの目安としてご理解いただければ幸いです。
2.「長らく」と「永らく」の辞書での意味!
「長らく」と「永らく」の意味が、辞書ではどうなっているのか?
調べたところ、「長らく」と「永らく」は全く同じ意味として、同一の欄に記載されていました。
【長らく・永らく】
・長い間。長いこと。久しく。「-お待たせしました」
引用元:旺文社国語辞典
このように、「長らく」と「永らく」は辞書の中では違いがありません。
意味が異なるわけではありませんが、使い分ける際は遥かに長い場合に「永らく」が使われます。
ただ、この「遥か」がどの程度なのかに決まりがないということ。
3.「長らく」と「永らく」の使い方!
最後に、「長らく」と「永らく」の使い方を例文で紹介します。
①「長らく」の使い方!
・長らくご利用いただきました当システムは、昨日をもって運用を停止させていただきました。
・長らく対面での面会ができない状態でしたが、本日より対面での面会を再開することとなりました。
・長らく地域のコミュニティスペースとして使用されてきました、 当商店街の施設。
・2/15で閉店致します。長らくのご愛顧ありがとうございました。
・デビュー以来数々の作品を送り出すも、近年は長らく音楽活動を休止していた。
②「永らく」の使い方!
・城塞は、近隣の住民の間でさえ知名度は低く、永らく荒れ果てた状態のまま放置されている。
・温泉津に永らく湯治場としての評判をつくってきた由緒ある温泉です。
・常泉寺は豊臣秀吉公生誕の聖地として永らく伝えられ、その御霊が眠る地であります。
・ハンザ同盟の貿易港として永らく栄えたことで、歴史にその名を残している。
・頭ヶ島は永らく定住者のいない無人島で、江戸時代には病人の療養所として利用されていた。
まとめ
以上が、「長らく」と「永らく」の意味の違いと使い分けについてでした。
「長らく」は、時間的に「長い」ことで、「長い間」「長い期間」のこと。
「永らく」は、時間的に「長らく」より遥かに「長い」ことで、「かなり長い間」「相当に長い期間」のこと。
「長らく」は「終点」があるものに多く使われ、「永らく」は「終点」があるものの他に「終点」がないものにも使われます。