故事成語である「漁夫の利」。
「鴫(しぎ)と蛤(はまぐり)が争っているうちに、漁師が鴫と蛤を両方とも捕まえた」という意味。
つまりは、2人が争っている間に、争いに関係のない第三者が利益を手に入れるという意味です。
では、この「漁夫の利」、どのような場面でどのように使うべきなのか?
ということで、「漁夫の利」の使い方を例文で紹介していきます。
特に、小学生にでもわかりやすいように簡単な短文で紹介しますので、ご期待ください。
1.「漁夫の利」の例文を小学生にでもわかりやすく!
・1500メートル走で優勝候補の2人がトップ争いで激しく競り合った。その結果2人とも息切れで失速、優勝候補ではない俺が優勝してしまったのはまさに漁夫の利だな。
・サッカー大会の決勝で相手チームの2人の間にトラブルがあったようだ。その隙にうまくゴールを決めることができたのは漁夫の利だね。
・彼女に告白したい男性が2人で、どちらが告白するか言い争いをしていた。その間に別の男性が告白して了解をもらったそうだ。まさに漁夫の利を得たのはその人だね。
・小選挙区の選挙で与党自民党員が2名立候補してしまった。その結果与党支持者の票が2人に割れてしまい、結果して2人とも落選。漁夫の利を得て当選したのは野党の候補者だった。
・米中貿易摩擦でアメリカと中国が規制しあったおかげで、需要が台湾に流れた。台湾の経済は米中の間で漁夫の利を得た1年だったといえるのかもしれない。
・ゴルフツアーにおいて首位から後退したポールは、終盤に巻き返して堂々の勝利。実はトップ争いをしていた選手同士が精神的に追い込まれて自滅した可能性が大きい。ポールは漁夫の利を得たといっても過言ではない。
・このF1レースでは、トップ争いをしていたケインとグレッグがともにスピンしてクラッシュ。結局3番手につけていたジョシュが漁夫の利を得て優勝してしまった。
・格闘技トーナメントで優勝候補が準決勝で激突。しかし、激戦の末に勝ち上がったロバートが大きなダメージを負ってしまった。その結果、決勝では格下のショーン相手に簡単にノックアウト負けを喫する。漁夫の利を得たのはショーンだった。
2.「漁夫の利」の由来とは!
「漁夫の利」の由来は、中国の史書「戦国策」。
その「戦国策」の中の「蘇代(そだい)」にあります。
趙(ちょう)という国と、燕(えん)という国が争っていました。
趙が攻撃を開始しようとしていた時、燕の蘇代(そだい)が趙の恵文王(けいぶんおう)に会い説いたのです。
ここに来る途中の川で、シギとハマグリがいました。
ハマグリを食べようとシギがクチバシを差し込んだところ、ハマグリは咄嗟に貝を閉じてシギのクチバシを挟んでしまったのです。
シギは身動きがとれなくなったため、ハマグリに言いました。
「このまま雨が降らなければ、お前は干上がって生きていけないだろう」
しかし、負けずにハマグリもシギに言いました。
「そういうお前こそ、このままでは何も食べることができずに生きてはいけないだろう」
両者はそう言い合って、一歩も譲ろうとしません。
その双方が争っている間に、漁師がやって来て逃げることができないシギとハマグリを捕らえてしまいました。
燕の蘇代は、このエピソードを趙の恵文王にきかせたのです。
シギとハマグリのように趙と燕が戦うことで両国が疲弊すれば、強大な国である秦が乗り出して弱った趙と燕ともに敗れ去るのではないかということを説きました。
それを聞いた趙の恵文王は、燕に攻め入るのをやめたという話です。
まとめ
以上が、「漁夫の利」の例文についてでした。
参考にしていただければ幸いです。
「漁夫の利」と同じような意味では、「犬兎の争い(けんとのあらそい)」「田父の功(でんぷのこう)」があります。
どちらも、二者の争いのおかげで第三者が利益を得るという意味。
あと似た意味で「小股を掬う」という言葉もありますが、これは第三者ではなく他人のスキを狙って利益を得るという意味です。