故事成語である「助長」。
「力を添えて、ある物事の成長や発展などを助ける」という意味です。
また、この場合「成長」「発展」といった「良い方向へ」力を添えるという意味ですが、「悪い傾向を一層強める」といった意味もあります。
実は、本来はこの「悪い方向へ」力を添えるという意味であり、言い換えるならば「余計なお世話」「いらぬお節介」「ありがた迷惑」ということ。
では、この「助長」、どのような場面でどのように使うべきなのか?
ということで、「助長」の使い方を例文で紹介していきます。
特に、簡単な短文でわかりやすく紹介しますので、ご期待ください。
1.故事成語「助長」の例文を簡単な短文で(良い方向)!
・アジア太平洋地域における経済成長を助長し、開発途上加盟国の経済発展に貢献する。
・幼稚園の目的は、幼児を保育し適当な環境を与えてその心身の発達を助長すること。
・日本国内では農業改良助長法により、効率的・安定的な農業経営などを支援してきました。
・住宅の長寿命化にむけた技術の発展を助長し、普及啓発を図ることを目的とした事業。
・同委員会は、世界銀行の一層のガバナンス改革を助長する勧告を行いました。
・発足当初の活動目的は、会員相互の信頼をつくり、公正な取引慣行の育成助長としていた。
・G20サミットの最終宣言では、経済成長を助長し共に行動する決意が強調された。
・日本とタイ両国の親交増進、文化交流ならびに経済関係の助長を図ることを目的。
2.故事成語「助長」の例文を簡単な短文で(悪い方向)!
・落書きを放置するのは、犯罪を助長する恐れがある。
・差別や偏見を助長する表現が減少傾向ではあるが、現実はどうなのか。
・活動家の台頭が反ユダヤ主義やマイノリティーへの憎悪を助長していると警告している。
・この人物の発言は混乱を助長しているが、本来はデモや暴動等を抑える発言をすべき。
・大統領はこれまでいかなる形や方法でも、暴力を推進したり助長したことなどない。
・誤情報の拡散を助長していると批判されたフェイスブックが、アルゴリズムを変更した。
・首脳同士の応酬となれば対立をさらに助長し、双方にマイナスになると判断した。
・報道関係者が紛争を助長しない報道手法を学ぶことは大切。
・速度違反を助長させる部品を販売したとして、京都府警は会社員の男を逮捕した。
・黒瀬氏の発信者情報開示を認めると、言論の自由の萎縮とスラップ訴訟の助長を招く。
まとめ
以上が、「助長」の例文についてでした。
「助長」の由来は、中国戦国時代の儒学者で思想家の「孟子(もうし)」。
孟子の、「公孫丑(こうそんちゅう)・上」という故事が由来です。
孟子は弟子に対して、ゆとりのあるより良い精神に育成するには、心の成長とともに育てるべきだと教えよとしていました。
そのための例えとして、「宋の国の農民が、苗をより早く成長させるために力ずくで苗の茎を引きのばしたことで、全ての苗をだめにしてしまった」という話をしました。
要するに、不必要な力添え、余計な力添えをすることは、良くない傾向を強めてしまうという意味で「助長」という言葉がうまれました。